STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
世界線変動率1.055821
β世界線
「……………」
ここ、は…?
「……………」
どこだ?
「……………」
俺はなにをして、いる?
「ぁ…………」
声を出そうとするが、上手く出ない。
どうやら俺は、ベッドの上に寝かされているようだ。それも、やけに硬いベッドだ。ゆっくりと辺りを見回す。ラボでもなければ、俺の自室でもない。
いやに薄暗く古ぼけた部屋だ。当然、見覚えなどない。どうして俺はこんなところにいるんだ?
「っ……!」
頭の中に何か————それこそ電極でも差し込まれたような痛みが走る。ベッドに横たわったまま手を挙げようとするも、重くてなかなか挙がらない。関節という関節が固まってしまったみたいだ。
「っ………ぅぁ……」
全身の力を込めるようにして、ようやくゆっくりと体を起こす。ほんの少し動くたびに、節々が悲鳴をあげ、全身に痛みが走った。
何分もかけ、ようやくの事でベッドに腰を掛けて視線を落とすと、自分がまるで病人が着るような白い服を身につけている事に気付く。頭にはヘッドギアのような装置をかぶせられていて、そこから伸びたケーブルが妙な機械に接続されている。
俺はいったい、どうしてしまったというんだ?
さっきまでの俺は————。
「……………」
そうだ。かがりだ。
頭の中に、紅莉栖の記憶をダウンロードされてしまったかがり。彼女の中から紅莉栖の記憶を取り除くべく、かがり本人の記憶を上書きしようとして———。
そして———。
ああ、思い出した。あの直後、また世界線が変動したんだ。それから……どうなった?
「……………」
思い出そうにも、どうにも頭の中が靄に包まれたようで、記憶がハッキリとしない。とにかく、今はここがどこなのかを確かめるのが先決だ。
俺は頭のヘッドギアを取り外して、ベッドから降り————。
「っ————!」
思いっきり転倒してしまった。
おかしい。頭がハッキリしていないせいで、眩暈でも起こしたのか。そう思い、再び立ち上がろうとするも————。
「くっ………!」
足に力が入らない。何度か試みては転び、最終的にはベッドに掴まるようにしてようやく、立ち上がる事が出来た。
「はぁ……っ……」
ただ両足で立つだけで、こんなにも疲れるなんて。何か悪い病気にでもかかったのか?それで数日間、寝込んでいたとか?
「……っ……」
力の入らない足を引きずるようにして、ようやくドアまで辿り着いた。ドアは異常なまでの重さだった。いや、単に俺がそう感じるだけなのか。
ともかく、全体重をかけるようにして押し、それでようやく扉を開ける事が出来た。鍵はかかってはいたようだが、内側からは開けられるようになっているらしい。壁に身体をもたせかけ支えながら、薄暗い廊下を進む。
その先には階段。手すりに摑まりながら、ゆっくりゆっくり踏みしめるようにして階段を上ると、そこにハッチのような扉があった。背中全体で持ち上げ、やっとの事でハッチを開けて外に出る。
そこは……古びたビルの中だった。何がどうなっているのかわからないまま、剥がれ落ちた壁や天井を踏みしめながら廊下を進み、ようやく外侮へと通じるドアを見つけた。
疲労困憊になりながら、外に出た俺の目に飛び込んできた光景。
それは……。