STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
「ルカ子も、久しぶりだな」
「はい……」
ルカ子が嬉しそうに微笑んだ。
線が細く、あいかわらず女の子のように可憐だ。だが、男だ。
漆原るか。まゆりの同級生で、実家でもある柳林神社で良く手伝いをしている。本当はもう、ルカ子と呼ぶべきでもないのだろう。とはいえ、るか、と呼ぶのは照れくさい。ずっとルカ子と呼んできたわけだしな。
「なんだか、とても懐かしいような気がします。僕、ときどきラボに顔を出すんですけど、岡部さん、最近あんまり来ていませんよね?」
「あ、ああ。大学のゼミが忙しいんだ。ATFの準備もあったしな」
それが終わった今も、真帆やレスキネン教授のこと、『Amadeus』のことがあってなかなか落ち着くことが出来ない。
「あと、サークルにも入ってるからな」
そう言うと、フェイリスとルカ子はとても驚いた顔をした。
「そ、そんなに驚くことか?」
「凶……オカリンに限って、そんな軟派なものに入るニャンて……あ、分かったニャ!UFOとかUMAとか?」
俺を何だと思ってるんだ…。確かに鳳凰院凶真という厨二病全開のイタイ奴だったが、別にそういったものに興味があるわけじゃなかった。都市伝説ハンターではなかったのだから。
「テニスサークルだ」
俺はどや顔を決めて言った。
「えええーーっ?」
「えええーーっ?」
これまた驚いた顔をされた。周囲の人も何事かと振り返っている。
「な、なんでテニス?」
「岡部さん、今までテニスなんてやってましたっけ?」
「初心者に決まっているだろう」
こう見えても運動は大の苦手だ。走るなんてほとんどできない。身長のわりにガリガリだからな。カロリーを摂取してもなかなか太らないんだよな。
「じゃあニャンで?」
「大学のゼミの准教授がサークルの顧問なんだよ。それで誘われてな。それで試しにやってみたら、全戦全勝。こんなことならプロテニスプレイヤーを目指しておけばよかったかな」
「わぁ~、岡部さん、流石ですね!」
「……ふぅん」
目を輝かせるルカ子と、白々しい目を向けてくるフェイリス。おい、やめろ。そんな目で俺を見るな。
「目指せ、ウインブルドンだね~」
「…………」
「な、なんだよ…」
「どこからどうツッコめばいいのやら……って、フェイリスは大人ニャから何も言わないでおくのニャ。ピュアなルカにゃんとマユシィに感謝するのニャ」
まゆりとルカ子は良く分かっていないようだ。こんなに純粋だと、将来マルチ商法に引っかかる恐れがあるな。
「じゃあ、サークルの練習が忙しいんですね…」
「ん?あ、いや。練習はあんまりしてない…かな」
「はい?」
「…じゃあ何をしてるのニャ?」
「合コン、とか」
「えええーーっ?」
「えええーーっ?」
だからそんなに驚かなくてもいいだろう。
「お、俺だって普通の大学生なんだぞ」
「そ、そうですよね。すみません。うぅ……でも」
ルカ子は何か言いたそうにもじもじしている。
「フェイリスというものがありながら、他の女の子たちと楽しく合コン……許せないニャ」
とはいえ、別に俺は合コンを満喫できているわけではない。厨二病は卒業しても、リア充には程遠い。所詮はにわかだ。誘いを無碍にするのも悪いし、手当たり次第に行ってみたが、俺には無謀な挑戦だった。