STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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「オカリン。じゃあどうするん?一番怪しいのは大学のサーバーだと思われ。あのプロテクトがかかってたとこが一番怪しいお」

 

ストラトフォーが紅莉栖の記憶データを持ち出したものだとばかり考えていたが、どうにも分からない。それとも、西側の軍関係の組織によるものなのだろうか。

 

ストラトフォーをこれ以上探るよりも、大学の方を調べるべき、か……。

 

「………侵入出来るか?」

 

「出来るけど、これはちょっと骨が折れると思われ……」

 

「どれくらいかかりそうだ?」

 

「わからんけど、下手したらまるっと半日以上はかかるかも……」

 

ダルがそう言うくらいだ。余程厳重なプロテクトがかけられているんだろう。

 

「しかも途中でハッキングかけてるのがバレたら全部おじゃん」

 

「…………」

 

紅莉栖の記憶データを消去するためには、ハッキングは必要条件だ。ダルがハッキングを終えるまで、ストラトフォーの注意を他に向けなければならない。問題はどうやって注意を引くか、だ。

 

「『Amadeus』と通信している最中は、こっちの位置情報はどうなるんだ?」

 

「全部把握されるわ。当然、プログラムを持っている連中にもね」

 

やはりか…。

 

「問題は、まだ『Amadeus』に繋がるかどうか、ね」

 

まずはこのアプリが繋がるかどうか、試してみる必要がある。もし繋がるのなら、俺は一つ、アイデアが思い浮かんだ。

 

「真帆、ひとつ、無茶な頼みをしていいか?」

 

 

 

 

 

 

2011年2月2日(水)

 

 

オペレーション発動から丸一日近くが経過した。ダルによるフォルダのロック解除はまだ成功していない。幸いなことに、今のところはまだ連中に感づかれていないようだが、だからと言って安心してはいられない。

 

ダルに任せている間に、俺の方が今出来ることをやり終え、後は真帆にバトンタッチしていた。俺が行動を起こしたことで、未来は既に変わっているのかもしれないが、それでもやるべきことはやっておかねばならなかった。

 

「おじさん。あたしたちに出来ることはないの?」

 

鈴羽が険しい顔で詰め寄って来る。ようやく第三次世界大戦を回避すべく動き始めたというのに、何も出来ないじぶんに苛立ちさえ覚えているのだ。

 

「そう言うな。お前にはラボの警備をしてもらってるだろ?俺はお前の強さを知っているからな」

 

未来で見た、軍人鈴羽の動き。ある程度戦闘もこなせるのだろう、くらいに考えていたのだが、違った。漫画でしか見たことのないような動きを平然とやってのけていた。

 

「それは……そうだけどさ」

 

「電話レンジ(仮)についても俺たちにできることはもうやってしまったからな。まぁ、鈴羽はもう少し詳しいのだと思っていたが…」

 

「うっ…」

 

鈴羽はポンコツだった。タイムマシンの操作なら誰にも引けを取らないが、それはあくまで操作についてだ。メカニック的な才能は全くなかった。全く……。前の世界線で見た時よりも、ずっと。

 

「し、しかたないだろ!そういうのは父さんの領分で、あたしはタイムトラベラー専門だったんだ!おじさんだって人のことは言えないだろ!」

 

それはそうだが、俺よりも酷かった。鈴羽はいわゆるパワータイプなのだ。なんでもパワーで解決できるだけの実力を兼ね備えているのだから仕方ない。そういう場面に出くわさなかったのだろう。

 

そんなことを言っていると、開発室のカーテンが開いた。

 

「…………」

 

真帆が自信なさげな表情で顔を出した。

 

全員の注目が集まる。すると真帆は仏頂面に戻る。

 

「まったく、大変なことをいっぺんに頼まないでよね」

 

「すまん。それで……終わったのか?」

 

「言われたことは一応、ね」

 

奥の電子レンジには、半年前に見たものとは違うヘッドセットが取り付けられている。俺の記憶のバックアップを取った時のものを流用したものだ。おかげでこれほどの短時間で済んだようだ。

 

タイムリープマシン。完成したか。

 

これでもし、未来で何かあっても、48時間は遡る事が出来る。

 

「それからこっちも」

 

真帆は2台のスマホを差し出してきた。

 

これこそ、この先の戦いで秘策となるガジェットだ。

 

真帆に開発してもらった新しいガジェット。簡単なAIを使って、相手の目を欺くための疑似応答アプリ、みたいなものだ。

 

「さすがだな。こんな短時間にAIを作るなんて」

 

「自分で頼んでおいて、よく言うわ。それに、これはAIなんて大層な代物じゃない。こんなもので誤魔化せるのかしら。相手は“紅莉栖”なのよ?」

 

「少しの時間だけでも騙せればそれでいいんだ。ダルのハッキングから、連中の目を逸らせればそれでいい」

 

目的はあくまでも、ストラトフォーの攪乱だ。長時間の会話は不要。むしろほんの短い時間だけ起動して、すぐに通話を切るような使い方になる。

 

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