STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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「真帆。アメリカに帰ってしまうんだな」

 

レイエス————ダーパとやりあった後、真帆は大学とのやりとりに忙殺されていた。理由はもちろん、『Amadeus』がバックアップデータごと消されてしまったこと。そしてそれ以外にもう一つ。

 

ダーパは『Amadeus』を横取りし、タイムマシン理論を手に入れるためにストラトフォーにスパイを送り込んでいた。そのスパイの存在がばれてしまったため、電機大の地下を根城にするストラトフォーの連中を殺したのだ。

 

なぜストラトフォーが『Amadeus』を支配できていたのか。それは前の世界線でかがりから紅莉栖の記憶を消した際、かがりの記憶データのバックアップがストラトフォーのサーバーにあったときからの疑問だった。

 

だが、電機大の地下で殺された人間の中に、レスキネン教授の姿があったのだ。

 

「『Amadeus』が消えてしまったことと、レスキネン教授が消息不明になったことの説明をさんざん要求されたわ。私だって本当はここで一緒に研究したいのだけれど」

 

レスキネンの『Amadeus』研究の主任としての顔は、ストラトフォーという裏の顔を隠すためのカモフラージュ。『Amadeus』を利用して、かがりに紅莉栖の記憶を入れようと画策していたのだ。それをダーパに横から奪われる形になったが。

 

それをそのまま大学に説明することはもちろんできない。

 

「かがりさんは未来の人間なのに、レスキネンはどこでかがりさんのことを知ったのかしら…」

 

かがりは1998年に鈴羽の元を離れた。そこからの足取りは分かっていないが、どこかで監禁され、記憶を消されたことは確かだ。そこにレスキネンが関わっているのは間違いない。

 

「かがりを通して俺たちのことを知ったのは間違いない。だが、かがりを保護、監禁したのが偶然だとは思えないな」

 

紅莉栖がタイムマシン論文を書くのは2010年のこと。俺たちが電話レンジ(仮)を開発したのもその年だ。レスキネンがかがりと接触したタイミングは分からないが、少なくとも1998年時点ではレスキネンは俺たちや紅莉栖のことなど知るはずがない。

 

「もしかすると未来でレスキネンがかがりさんに接触していた…?」

 

レスキネンはダーパによって殺された。死んでいるはずのレスキネンが未来で何かできるとは考えられない。レスキネンでなくとも、ストラトフォーが未来でかがりに接触していた可能性はある。

 

「未来でかがりを洗脳し、過去のレスキネンの元に行くように指示を出していたのかもしれないな…」

 

そうであればレスキネンがかがりの存在や俺たちのことを知っていてもおかしくない。

 

「こうしてレスキネンたちストラトフォーが、かがりさんに手をかけると分かっていても、それを変えられないのが辛いところね」

 

かがりが洗脳されてしまうことは、この世界線における確定事項のはずだ。かがりが洗脳されていることを知ったのに、世界線が変わらない現状を考えれば、どうやってもかがりが洗脳される未来に収束するのだろう。

 

「私もアメリカでレスキネン…ストラトフォーのことを探ってみるわ。電話レンジの開発に関わることができないのは残念だけど」

と言いつつも、あの騒動の中作ったタイムリープマシンがある。それがあればあとは俺とダルで十分開発にこぎつけられるだろう。

 

「決して無理はするなよ。何かあればいつでも相談してくれ」

 

2月の半ば。真帆はアメリカへと帰っていった。

 

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