STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
「だが、2000年問題はそれほど大きな騒動になっていたのか?」
「水面下ではね。表沙汰にはなっていない。でも、未来で父さんは、2000年問題が第三次世界大戦に影響を及ぼしているんじゃないかと言っていた」
「タイムマシンの開発競争だけが原因というわけではない、ということだな」
「2000年は大収束の年と言われているんだ。全ての世界線がひとつに収束してしまう」
それはα世界線でも鈴羽が言っていたことだ。1991年のソ連の崩壊に匹敵するほどの規模で世界に問題が起こる。それが2000年問題。
「だが、IBN5100のプログラムにバグがあったくらいで、そこまで大きな問題になるものなのか?かがりによって偶然失敗したが、割と簡単に解決できそうな気がするんだが…」
だが、鈴羽は首を横に振る。
「確かに、プログラムだけの問題なら解決も容易かもしれない。でも、別の要因が複雑に絡んでいるせいで、簡単にはいかないんだ」
「…別の要因?」
首を傾げると、鈴羽は俺を指さした。
「…俺がどうしかしたのか?」
「おじさんだよ」
「ん?だから何だ?」
「2000年は、おじさんがリーディングシュタイナーを獲得する年じゃないか!」
「…………?」
確かにそれはそうだ。1999年の年末、俺は高熱を出して寝込んでいた。年が明けた頃、熱が下がるとともに俺はリーディングシュタイナーを獲得した。だが、それと2000年問題に何の関係がある?
「さっき、2000年は大収束の年だって言ったでしょ?それは2000年問題だけじゃない。おじさんがリーディングシュタイナーを獲得することで起こるんだよ!」
「だからどういうことだ。確かに俺はその時にリーディングシュタイナーを発現したが、別に誰かに影響を与えたわけでもないだろ?」
「あのね。リーディングシュタイナーっていうのは、おじさんが考えてるよりも、ものすごいものなんだよ?一度獲得したら、もう二度とリーディングシュタイナーを持っていないおじさんは存在できなくなるんだ」
「何を言って……」
「じゃあ例えば、今から1999年の年末にDメールを送ったとするでしょ?それでおじさんがリーディングシュタイナーを獲得しないように過去を変えたとする。するとどうなると思う?」
「そんなの、俺がリーディングシュタイナーを獲得しない世界線がアクティブになるに決まってるだろ。そして俺はリーディングシュタイナーを発動し………あれ?」
「そう。2000年時点でおじさんがリーディングシュタイナーを獲得しない世界がアクティブになったとしても、その世界線に今のおじさんが移動することになる。つまり、リーディングシュタイナーを持っていないおじさんは存在できないってことなんだ」
「な、なるほど…」
「言い換えれば、全ての世界線において、おじさんは必ずリーディングシュタイナーを獲得することになる。だから世界線の大収束が起こるんだ」
大収束の原因は2000年問題ではなく、俺の方というわけか。
「おそらくだけど、おじさんがリーディングシュタイナーを獲得するという事象に2000年問題が結びついたんだ。だから2000年問題が起こらない世界線を観測するのは簡単じゃない」
俺がリーディングシュタイナーを獲得することは絶対に避けられない。ならば2000年問題の方をなんとかするしかない、が。
「邪魔が入らなければ、2000年問題を解決することはできるのか?」
「うん。未来の技術の前じゃ、この時代のネットワークなんてザルだからね。父さんが用意した修正プログラムを流してやれば、問題の解決自体は容易にできるよ」
IBN5100のプログラムにバグが発生しない、という状況を作り出すのは不可能だ。となると、鈴羽が修正プログラムを問題なくネットワークに流すことが出来る状況を作らねばならない。2000年問題が第三次世界大戦の原因のひとつであるなら、解決しなければ俺たちはシュタインズゲートに到達できないということになる。
「次の世界線では、どうなるんだろうか…」
俺たちが送るつもりのDメール。Dメールは大幅に過去を変えることが出来る代物だが、万能ではない。俺がDメールを受信しなかったことで変動してしまった世界線を元に戻すために、俺たちはDメールを送る。2000年問題までカバーできるかどうかは分からない。