STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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「2010年12月15日に世界線は変動したんだよね?それってつまり、未来からやって来たあたしたちの状況も変わってるってことじゃないの?」

 

鈴羽が言うあたしたちの内、もう一人はかがりのことだろう。

 

「何度も言っている通り、あたしは1998年でかがりと離れ離れになってしまった。だから一人で2010年8月21日に向かったんだ。少なくともこの世界線ではそうなっているはずだよ。でも、おじさんはどうだったの?変動する前の世界線ではその時にかがりはいたの?」

 

俺は鈴羽の質問の意図を理解した。

 

「いや、変動前でもその時点でかがりはいなかった。そのときにかがりが隠れていたという話でもない。それから12月15日までの間にも、かがりを見たことはなかったし、鈴羽からかがりの話を聞いたこともなかった」

 

鈴羽が言いたいのはかがりが洗脳されている状況についてだ。俺が一度もかがりと遭遇していない以上、変動前の世界線でもかがりは鈴羽の元を離れたということになる。

 

つまり————。

 

「変動する前の世界線においても、かがりは未来で洗脳されてしまうことは確定しているだろうな。それについてもどうにかしたいところではあるが…」

 

少なくとも俺たちが送ろうとしているDメールではそれを解決することはできない。俺たちが送ろうとしているDメールは、世界線を元に戻すためのものだ。新たに改変をしようとしているわけではない。かがりが洗脳されることが確定している世界線をアクティブにするためにDメールを送るのだ。

 

「えっとさ。それもあるんだけど、かがりの行動はどう変化したのかな、って」

 

「かがりの行動の変化?記憶のあるなしの違いはあれど、かがりが能動的に行動を起こした、ということはなかった気がするが…」

 

「あたしも12月15日に向けてDメールを送ることには賛成しているんだ。でもやっぱり、誰の行動が変化したから世界線が変動したのかがどうしても分からない」

 

「…そこにかがりが関係している、と考えていると?」

 

あの時、俺とともにいたのはフブキとカエデだけだった。

 

かがりがそこにいない以上、かがりの行動が変化する可能性は低い。

 

それにそのころのかがりは千葉の県境で発見され、近くの神社で保護されていたはずだ。何かしらのアクションを起こせるとは思えない。

 

「あたしたちが考えている以上に、世界線の変動前後で大きな変化があったのかもしれない…」

 

かがりが監禁されていた施設から逃げ出し、保護されるという状況さえも丸々変わってしまうほどの違い。

 

Dメールを送ることはおおむね決定しているが、送る内容についてはもっと吟味する必要がある。

 

「鈴羽は、かがりが自分の意志で過去を改変しようとしている、と考えているのか?」

 

洗脳、と一口に言ってもそこまで万能なものではない。なんでも思ったように動かせるようになるわけではない。魔法ではないのだ。だからこそ、かがりの行動が大きく変わるというのなら、洗脳による強制された行動だけではなく、自分の意志で何かをしようとしなければならないだろう。

 

「……………」

 

何か思うところはあるのだろう。だが、言いにくそうな顔をしている。

 

「今日はやめておくか?」

 

言い出しにくいことを無理に聞き出すべきではない。まだまだDメールを送る準備も整っていないのだ。焦って結論を出す時ではない。

 

「ううん。話しておくよ。話すべきことだと思うしさ」

 

鈴羽はラボに近づいてくる人がいないかをしっかりと確認した上で話し出した。

 

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