STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
「今のかがりは分からないけど、この時代に来たばかりのとき、かがりはシュタインズゲートになんて行きたくないって言ってたんだ」
「…うん?」
「かがりが戦災孤児で、第三次世界大戦が起こったからこそ、まゆねえさんに会うことができた。でも、シュタインズゲートに到達してしまえば、戦争は起こらなくなる」
「…まゆりと会えなくなるということか」
それは確かに、辛いことだ。2036年で俺は幼いかがりと出会った。名乗ることはしなかったが。そのときのかがりは、まゆりのことが大好きだと言っていた。見ていても分かる。愛されて育ってきたのだろう。
「この世界線ではかがりは記憶を消されてしまっていたけど、もし記憶が残っていて、自分の意志で動けるのだとしたら…」
「俺たちがシュタインズゲートを目指そうとするのを阻止しようとしてくるかもしれない…」
確かにそれは考えられる可能性だ。絶対にないとは言い切れない。
「だが、かがりがそう動くとして、12月15日のDメールとどう関係がある?」
あの時俺は、フブキに質問をされていた。誰が好きなのか、と。
そのタイミングで送られてくるDメールにかがりが関係するのだろうか。
「蒸し返すようで悪いけど、おじさん、あのときフブキって人に誰が好きなのかって質問されていたんでしょ?その時はどう答えたの?」
「なっ……」
直球で恥ずかしい質問が来た。
「いや…それはだな……あ、そうだ!答える寸前で世界線が変動したんだ!だから俺は何も……」
「…なに恥ずかしがってんのさ。それじゃあなんて答えようとしてたわけ?」
「……………」
これは言わなければならない流れだろうか。
「………紅莉栖だ」
答えるつもりはなかった。断じて答えるつもりはなかった。それだけは言っておく。
「やっぱりか……」
だが、鈴羽の反応は思っていたものとは違っていた。
「やっぱり、とは?」
なんだか納得したような顔だ。
「まゆねえさんがタイムトラベルしようとするかもしれない」
「……はい?」
あまりにも突拍子な答えに俺は開いた口が塞がらなかった。まゆりがタイムトラベル?かがりでも紅莉栖でもないじゃないか。
「おい鈴羽。分かるように説明しろ」
「えっとさ。まゆねえさんっておじさんのこと、好きだよね?」
「ウェイウェイウェイウェイ!お前は何を言っているんだ!?」
「いや、あのさ。その……」
俺とまゆりは幼馴染というだけで別にお互いに好きあっているとか彼氏彼女という関係ではない。
「まぁそうだよね。うん。………はぁ。報われないな」
こいつに言っても仕方ない、という顔でわざとらしくため息をつく。
「ごめんごめん。それはいいや。とにかくまゆねえさんはさ、おじさんが牧瀬紅莉栖を助けたいと思ってることを改めて知って、自分がどうにかしたいって考えたんだと思うんだよ」
「どういうことだ?」
「世界線が変動したから途切れちゃったけど、フブキって人はおじさんには誰か好きな人がいるって受け取ったはず。それがまゆねえさんに伝わったんじゃないかな。そのときのおじさんは、牧瀬紅莉栖を救うことは諦めてたけど、心の底では救いたいと思ってる。それがまゆねえさんが知るところになった」
「…だからまゆりがタイムトラベルを?」
「おじさんがリーディングシュタイナーで移動してくる前に、この世界線のおじさんから聞いたんだ。おじさんも、自分で経験していないことみたいだったんだけど。2011年7月7日にまゆねえさんがタイムトラベルをしようとしたらしいんだ。結局、あたしとかがりが行くことになったみたいだけど…」
前の世界線でそうなったのなら、他の世界線でもそうなっておかしくない、か。