STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
帰り道。
「あ!オカリン!あそこ!」
まゆりがオープンテラスの前で、声を潜めながらある方向を指さした。
「どうし——あっ!」
テーブルのひとつに、見覚えのあるふたりの姿があった。
ダルと由季さんだ。
なんとふたりで仲睦まじくサンドイッチを食べている。
「お、お、お…おふたりは付き合っているんですか?」
なるほど。ダルの用事とはこれだったらしい。
「えっへへ~。デートするくらいまで仲良くなったんだね~。まゆしぃは嬉しいのです」
「これは、あれだな。いつものダルに倣ってこう言っておこうか。リア充爆発しろ……」
そういうふうに収束するから、と知っているからこれまであまり考えてこなかったが、やはり由季さんは驚くほど美人だ。ダルにはもったいない。
由季さんもまゆりのコスプレ友達をやっているくらいなのだから、オタク寄りなんだろうが。ダルは女性がいても平気でエロゲをプレイするようなやつだ。由季さんはダルのどこに惹かれたのだろうか。
「ど、どうしましょう⁉」
「邪魔しちゃ悪いよね…」
そう言いつつ、ふたりは興味津々といった様子でダルたちを見ている。あきらかに挙動不審だ。
「なら、ラボに戻るか?」
「え…」
「そ、それは……」
見たくて仕方がないのだろう。視線はふたりに釘付けだ。
まぁ無理もない。俺もダルも、高校時代からそういうことには縁のないタイプだった。俺に関しては今もだが。
どちらも知っている人となると、まゆりがその恋路を応援したくなるのも当然か。
「じゃあふたりが食べ終わるのを待って、偶然合流した感じにするか?」
「お、オカリンがそう言うのなら、まゆしぃは賛成なのです」
「私もです!」
俺はため息を吐いて、ダルたちから見えない席に陣取る。
「俺が何か買ってくるよ。ふたりはダルたちを好きなだけ見ているといい」
鈴羽が生まれてくる未来のためには大事な事だが、俺は全く興味を持てない。遠目からでもダルが緊張しているのが見て取れる。
(美女と野獣…だな)
「ええ~。自分で買ってくるよ」
「いい。ここは俺の奢りだ。手伝ってくれているしな」
「やった~。じゃあね、じゃあね!まゆしぃはクレープ食べたいなー。イチゴとクリームがいっぱい入ってるの」
「かがりは?」
「え、私もいいんですか?」
「ああ。構わないぞ」
「でも、私さっきもカップ麺を3つも食べちゃったし…」
そういえばそうだったな。気を失って目覚めてすぐに、それだけ食べるのだからたいしたものだ。
「む、無理に食べる必要はないが、食べられるのなら何でも奢るぞ?」
「お、怒られたりしません、よね?」
「ああ。怒らないから好きな物を選ぶといい」
そういえば、鈴羽も同じようなことをよく口にしている気がする。これまでに何度か、俺やダルが買って来たものを食べるとき、たくさん食べても怒らないか、と聞かれたことがある。
(未来では、食べるものがあまりなかったんだよなぁ…)
前の世界線でかがりから聞いた事だ。自分だけたくさん食べることに、罪悪感を覚えるのかもしれない。
「じゃ、じゃあ…バナナと、チョコレートのやつを……」
これまたボリュームのすごいやつだ。やはりまだ食べたりなかったのだろうか。
「了解した。それじゃあ買ってくるよ」