STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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待ち合わせのホテルのすぐ前まで来た。

 

動悸が収まらない。

 

呼吸が整うのを待つこともなく、俺はスマホを取り出して、ラインを立ち上げる。

 

さっきのあれは、間違いなくDメールだ。ラインに送られてきたからDラインか。いや、そんなことはどうでもいい。

 

なぜあんなものが送られてきた?

 

未来で何があった?

 

あのタイミングで送って来たということは、あの瞬間が何かの分岐点だったのか?

 

俺は取り返しのつかないなにかをしでかしてしまったのか?

 

 

 

Dラインの送信日時は2011年12月18日。今から約1年後だ。そんな先で何かがあったのか?

 

送り主はマッドサイエンティストとある。……間違いなく俺だ。

 

電話レンジ(仮)はあの日、IBN5100とともに処分した。もうDメールは送れないはずだ。

 

「また作った…ということか?」

 

誰がそれを作る?

 

そんなの決まっている。俺だ。俺以外にいない。

 

…いや、ありえない。

 

俺は諦めたんだ。紅莉栖は救えない。救おうとしない。そう決めた。

 

 

 

Dメールを送れば、エシュロンに捕捉されてしまう。SERNがそれを発見し、ディストピアを作り上げてしまう。そうなればまゆりが死ぬ。

 

ここまで来る途中、俺はまゆりに電話をした。

 

まゆりは生きていた。

 

少なくとも、エシュロンに捕捉されるような事態にはなっていないはずだ。

 

未来の俺が、エシュロンに捕捉されない形でDメールを送信する技術を確立していることも驚きだ。

 

「だが、何のために…」

 

Dメールは過去を変えるためのものだ。

 

だが、Dメールによる過去改変は不確定要素が付きまとう。

 

それは過去を直接改変することができないという点だ。SERNに捕捉されてしまったときのように、Dメールを送ることそのものが世界線を変動させる原因だった場合は別として。基本的には指示を出し、受信者の行動を変えることで過去を改変する。その2つの段階を経て過去が変わる。

 

つまり、具体的な指示がなければ過去は変えられない。

 

 

 

『世界は欺ける』

『可能性を繋げ』

『世界を騙せ』

 

届いたラインには、具体的な行動は全く書かれていない。世界を騙す。何のことだ?

 

「俺の行動は…変わったのか?」

 

俺は何もしていない。

 

Dラインに焦って、フブキとカエデとの会話を途中で打ち切ったくらいだ。きっと不審に思われているだろう。Dラインの意図が分からないが、悪い方向に向かっているとしか思えない。

 

 

——これ以上は考えても答えが出ない。

 

もう待ち合わせの時間が迫っている。

 

俺はスマホをしまい、ホテルの中へ入った。

 

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