STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
メイクイーンに行くと、フェイリスが出迎えてくれた。今日は比屋定さんと警察に行っていた。この間の事件の件で、改めて呼び出されたのだ。
その後どこかで昼食を、と思ったころにダルから連絡が来た。話があるからメイクイーンに来てくれ、と。
比屋定さんには悪いと思ったが、なにやら真剣な話のようだったから、俺は比屋定さんをメイクイーンへと連れて行った。
ダルと話している間はフェイリスにでも相手をさせよう。あんな野暮ったい人、フェイリスに捕まらないはずがない。
「ウニャッ!オカリンが可愛い女の子を連れてるニャ!?しかも背の高さから見て小学生か中学生!?いけない!これは犯罪の匂いがするのニャ!“YES!ロリータNO!タッチ”の掟に反するのニャ!」
「違う!」
「信じられない。フェイリスというものがありながら、新しい恋人を!新しいロリ恋人を作るニャんて!」
「違うって!彼女はアメリカの大学から研究のために——」
「これはもう、円卓会議で糾弾するしかないニャ!」
これはもう、これ以上言ってもしかたない。適当にフェイリスに相手をさせようとした罰だろう。甘んじて受け入れることにした。
「あの…いったい何の話をしているのかしら?」
店内に入るのを足踏みしていた真帆だったが、意味の分からないノリで話すフェイリスを見て、ようやく店内に入って来た。
「あ、いや…これは…」
「なんだか恋人という言葉が聞こえたのだけれど、岡部さんはこの人と付き合っているの?……ずいぶんと可愛い人ね」
フェイリスのせいであらぬ誤解を生んでしまった。
「断じて違う!」
「そんなに強く否定しなくてもいいのニャ!あ、それはそうと、おかえりニャさいませ、お嬢様♪」
「………」
真帆は目が点になっている。こういう文化は初めてなのだろう。
「あの、岡部さん…これは?」
いらっしゃいませではなく、お帰りなさいませ。それはメイド喫茶における仕様だが、これも意趣返しだ。
「今のはこいつの病気だ」
「ニャ!?」
「そ、そう…。日本のサブカルチャー。噂には聞いていたけれど、実際に見るとすごいのね…」
「ニャー!お嬢様が誤解してるニャ!メイド喫茶ではいらっしゃいませの代わりにこう言うのニャン!それとそれと、申し遅れましたのニャ。フェイリス・ニャンニャンだニャン。お嬢様、お名前は?」
「…比屋定真帆よ」
「ひやじょう…というと、沖縄のお嬢様かニャ?」
「あら、よく知ってるのね。いつも聞き返されるか、間違えられるかのどっちかなのに。しかも沖縄の名前ということまで」
「当然だニャ!フェイリスは三世代前の前世で、琉球王国の彼方にある理想郷、パイパティローマを守護する精霊だったんだニャ」
また始まった。フェイリスの病気——厨二病が。
「…はい?」
「そう…あの頃、フェイリスたちの精霊の声はノロを通じて人々に届き、王国を正しい姿へと導いていたのニャ。ところが、荒ぶる海神たちがパイパティローマに攻め込んできて、ついにフェイリスたちは……ううう………」
「あ、あの…ごめんなさい。この人は何を言っているの?」
「病気…もとい、アキバで通じる特殊な言語、だな」
来店早々、真帆は気がめいっているようだ。
「すまないが、しばらく待っていてくれ。向こうに座っている友達と話があるんだ」
俺が窓辺に座るダルのことを指し示すと、それを見た真帆が一瞬、眉をひそめた。
「…どうかしたか?」
「いえ……ただ、ずいぶん大きい人ね」
「また紹介するよ。少しは痩せるように言ってやってくれ」
フェイリスにあとは任せて俺はダルの方へ向かう。
「それじゃあまほニャン?お席へ案内するのニャ♪」
いきなり、まほニャンなどと呼ばれていたが、まぁ大丈夫だろう。