STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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「見損なったぞオカリン!リア充爆発しろ!」

 

「フェイリスと同じことを言うな。だから違うんだよ…」

 

「何が違うんだ。あんな合法ロリっ娘を!しかも、すごく可愛いのになんだか垢抜けなくて残念な感じがたまらないお。オカリンのくせに生意気だ。ぬふ~っ」

 

気にしているところだろう。比屋定さんに聞こえていなければいいが。

 

「前に話しただろう?襲われたときに一緒だった、レスキネン教授の助手の…」

 

「そんなことはどうでもいいっつーの。問題は、オカリンがボクを差し置いて可愛いおにゃのこを連れ歩いているっつーことなのだぜ」

 

「お前にも由季さんがいるだろう…」

 

人をリア充だと言う前に、未来で鈴羽という子供が生まれることまで確定している自分を顧みてみるべきだ。俺は2025年には死ぬらしいのだから、どちらがリア充かなんて、一目瞭然だろう。

 

それにしてもよく比屋定さんが成人だと見抜いたものだ。でなければ合法ロリなんて言葉は出てこない。…やはり真性か。

 

そんな軽口を叩きあいながら、ダルはいよいよ本題に入った。

 

「話は2つあってさ。まず一つ目はまゆ氏に内緒にしてほしんだけど…」

 

「まゆり?」

 

「人を探しているんだよ。『かがり』って名前の子なんだけどさ。オカリン幼馴染だし、そんな名前の子、いなかった?」

 

ある程度、まゆりの交友関係は知っているが、全てを網羅しているわけではない。とはいうものの、かがり、という名前は聞いたことがなかった。

 

これまでのまゆりの交友関係をだいたい伝えると、ダルはそれをスマホにメモっていった。

 

「かがり、って誰なんだ?どうしてお前がその人を探してるんだ?」

 

「うーん……」

 

話すのをためらっている感じではなかった。どう話せばいいか、その順序を組み立てているようだった。

 

「ボクというか、鈴羽なんだけどさ…」

 

「…鈴羽が?」

 

嫌な想像が頭を巡る。鈴羽がこの時代で人を探している、となれば、それは確実に未来に関する人物だ。

 

「その子の名前、『椎名かがり』って言うんだと」

 

「椎名……まゆりの親戚か?」

 

「えっと…いや、そうでもなくて…」

 

歯切れが悪い。何か言い出し辛い理由でもあるのだろうか。

 

「まゆ氏の、娘なんだよね」

 

俺は驚きを隠せなかった。

 

「まゆりの……娘っ!?」

 

「シーッ!声が大きいお!」

 

ダルに口を押えられる。

 

頭の中でさまざまな想像が浮かんでくる。

 

まゆりは未来で親になるのか。いや、それはそうだろう。当然だ。だが、だとしたら相手は誰だ?俺…ということはないだろう。俺は2025年に死ぬ。いや、だが、そういうこともありえるのか?

 

いやいや落ち着け。俺じゃないとして、その相手は誰だ?

 

なんだか胸がムカムカする。喜ぶべきはずなのに、まゆりが誰かと結ばれることに、自分でも不思議なくらいいら立っている。

 

「まゆりに…娘、か」

 

「うん。ただ、実の子供じゃないらしい。戦災孤児だったのを養子にしたとかなんとか」

 

戦災孤児…。

 

その言葉に俺は少しだけホッとしていた。

 

だが、戦災孤児。身寄りのない子供を引き取る、というのはなんだかまゆりらしいと思った。

 

おこがましいかもしれないが、このクソッタレな世界線でも、まゆりが親になるという普通の幸せを手に入れられることは、俺にとって救いだ。α世界線でのことが少しだけ報われたような気がした。

 

だが当然疑問は残る。

 

「その、まゆりの娘が…どうしてこの時代に?」

 

「…鈴羽と一緒に2036年から脱出してきたみたいなんだよ」

 

「なんだって?」

 

「ところが、ミッションのために1998年のアキバに立ち寄って——そこではぐれちゃったって。鈴羽は必死になって探したんだけど、見つからなかったらしい…」

 

「それで、1998年に置いてきたのか?」

 

「探してる最中にタイムマシンが見つかりそうになったみたいでさ。その子を残したままジャンプせざるを得なかったって言ってた。その後は、数か月単位の小さな移動を繰り返して、いろいろ手を尽くしたみたいなんだけど、2000年まで進んだところで燃料がぎりぎりになっちゃって…」

 

「で、本来のミッションを果たすために、一気に2010年まで跳んだ、っていうことか」

 

俺が言葉を引き継ぐと、ダルはうなずいた。

 

「けど、鈴羽は“今”に来てからも、まだあきらめずにずっと探し続けてるんだよね」

 

ここ数日、鈴羽が体調を崩していると聞いた。…かがりの捜索による疲れが原因だったのかもしれない。

 

「つーことで、それとなくまゆ氏に聞いといてくれるかな?」

 

「どう聞くんだ?」

 

「10年前くらいに自分と同じくらいの歳の子が会いに来なかったか、って」

 

「それはかまわないが、かがりは何歳なんだ?」

 

「まゆ氏が養子に迎えたときで6歳。タイムトラベルしたのが10歳かな」

 

10歳の少女が、親元を離れ、違う時代へとやって来た。その孤独や悲しさは想はかりしれない。唯一の頼りである鈴羽の元を離れる理由も想像できない。はぐれたのが1998年なら、今はもう22歳になっているはずだ。

 

生きていれば…の話だが。

 

いくら平和な時代とは言え、身寄りのないわずか10歳の少女が、一人で生きていけるとは思えない。はるか未来から来て、この時代のことを何も知らないとなればなおさらだ。

 

だが、見つけてやりたいと思う。まゆりの大切な娘だ。それに、鈴羽への後ろめたさも少しは解消できるかもしれない。

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