STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
「それじゃあ、乾杯するニャン♪まほニャン、音頭をよろしくニャ♪」
「え、わ、私?」
「せっかく来てくれたんニャから、自己紹介も兼ねてよろしくニャン♪」
指名された真帆は、渋い顔をしつつも立ち上がると、しばらく考えてから口を開いた。
「今日は皆さんの集まりに招待していただいて、ありがとう。私と教授はアメリカ在住なので、こうして日本でクリスマスを迎えるのははじめてです。こういう友人同士でのクリスマスパーティもいいものだと——」
「なにかおもしろいこと言ってニャ!」
「はい……?」
「おもしろいことニャ!」
「なっ!?え、ええと……」
フェイリスの無茶ぶりに困惑している。ATFではあれだけ堂々と話していたのに、アドリブに弱いようだ。
「う、うう………meow!!」
苦し紛れの真帆が放った、猫の鳴き声という“面白いこと”によって、ラボ内はちょっぴり生温かい、けれどほのぼのとした空気で満たされた。
「おおー!まほニャン!ネコミミメイドの素質があるニャ!」
「うんうん。マホリン・ニャンニャン誕生の瞬間だね~♪」
フェイリスとまゆりだけは心の底から感動しているようだった。
その後、無事乾杯の音頭を終えた真帆はへなへなとへたり込んだ。その隣で教授はニヤニヤと笑っている。研究室では絶対に見られない真帆の姿だからだろう。
そこからは歓談の時間になった。
真帆や教授を呼んだ立場として、積極的に動かなければ…と思っていたが、そこはさすがフェイリスだった。皆のグラスを気にかけたり、軽快なトークで回している。俺もそんなコミュニケーション能力が欲しいところだ。
まゆりと由季さんは鈴羽にべったりだった。大食いの鈴羽が、一度に大量の料理を押し付けられて困惑している。だが、困惑しつつも楽しそうだった。PCで場に合わせた音楽を選んでいるダルも、鈴羽の表情に満足げだった。
一通り、料理にも手を付けたところで、フェイリスが立ち上がった。
「さてさて、みニャさーん?盛り上がってきたところで、そろそろプレゼント交換をしたいと思うんだニャー♪」
「私たち、間に合わせのものしか用意できなかったけど…」
真帆と教授には、和光市からここに来る途中、ドンキに寄ってほんの10分ほどでプレゼントを選んでもらっていた。
「それで大丈夫だニャ!」
「あたし、持ってきてない……」
「大丈夫。鈴羽の分はボクとまゆ氏で準備してきたお!」
「まゆしぃが選びました~!」
「そうなんだ…ごめん」
「気にしなくていいのだぜ!」
「いいのだぜ~!」
このやりとりをフェイリスがウンウンとうなずきながら見ている。これも今回の作戦の一つ。鈴羽のプレゼントの用意に加えて、ダルと由季さんをもう少し進展させようという計画だ。
俺から見ても、由季さんはダルに好意を持っていると分かる。ダルからの一押しがあれば、よい返事をもらえそうだ。だが、ダルが異常なまでに奥手なのだ。
だからプレゼントに仕込みをしてある。
フェイリスが番号の書かれた割り箸を配る。各々が持ち寄ったプレゼントには番号のシールが貼られてある。引いた番号のプレゼントをもらえるという寸法だ。
「全員、くじは行き渡ったかニャ?それじゃあせーので確認するニャ!」
それぞれが番号を確認し、プレゼントを手に取る。
俺が用意したのは、チョコレートの入った金の延べ棒だ。雑誌にはこういうのがうけると書いてあった。
「うわぁ~金の延べ棒だ!」
行き先はまゆりだった。
「オカリンさん…これはないわ」
と、フブキ。
「うん……ないわね」
カエデまでもが頬を引きつらせている。
ええい!こんなものを喜ぶ奴がいるとは思っとらんわ!
「オカリンのプレゼントなの?オカリンすごいねぇ。お金持ちだねぇ。一生大切にするよ~!」
まゆりには大好評だった。ならいい。バカでよかった。
「それでオカリンは何もらったの?」
渡されたプレゼントを開ける。
「う…これはっ!?」
取り出してみると、スケスケの布だった。布の向こう側が見えている。
「あ、オカリンさん、それ、そのままマユシィにプレゼントするといいよ!」
ベビードールだった。それも飛び切りセクシーなやつ。
「マユシィもオカリンさんのためなら喜んで着てくれるってさ!」
「ふぇぇ!?」
「そんなわけあるか!」