STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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そこへまた、エンジン音が近づいてきた。今度はゲートの向こう側、基地内からだ。やってきたのはナンバープレートに『E』の文字が刻まれている黒塗りの高級車。その後ろに続くのはマイクロバスだった。二台はゲートの手前で停まった。懐かしい顔ぶれとの再会の時間は、それで終わりを告げた。

 

「ウェルカム!」

 

黒塗りの高級車から、バスケットボール選手のような長身の米国軍人が降りてきた。

 

「ようこそ、皆サン。私、ハモンドです。歓迎します」

 

なんだが、中途半端に流ちょうに日本語を操る人物だった。

 

「では、ミスター岡部以外の皆サンは、バスに乗ってくだサイ」

 

にこやかな顔をしているが、有無を言わせない口ぶりだ。そして他の米軍兵士たちは、さっきからにこりともせず周囲を警戒して小銃を構えたままだった。

 

下山たちは離れたところで見守っているだけだ。止めようともしない。ただただじっと目を伏せている。

 

「え、オカリン以外って……どういうこと……?」

 

「怖がらなくてイイです。皆サンには少し話を聞かせてもらいマス。でも後で、すぐに沖縄防衛局へ送りマス!さあ、ドウゾ」

 

「オカリン……!」

 

「大丈夫だ、安心しろ」

 

「でも……」

 

「由季さん、まゆりを頼みます」

 

「……はい」

 

うなずいた由季さんが、まゆりの肩を抱くようにして一緒にバスへと向かって歩き出した。他のみんなも続く。

 

「オカリン……」

 

「俺の両親に、よろしく言っておいてくれ」

マイクロバスは、俺以外の全員を乗せると、すぐに走り去った。

 

ゲート前が静けさに包まれる。1か月もの間、必死で逃げてきた本州の各地と比べたら天国みたいなのどかさだ。とても同じ世界だとは思えない。

 

「さて、それではミスター岡部。あなたはドウゾこちらの車へ」

 

黒塗りの高級車。その後部座席に乗れと言う。

 

これに乗ったら俺はどうなるんだろう。一瞬だけそれを考えようとしたが、だからってここでジタバタしてもしょうがないと覚悟を決め、車に乗り込もうとした——。

 

「岡部君、逃げろッ!アメリカへ行ったらもう生きて戻れな——」

 

 

下山がそう叫ぶと同時に——。

 

 

 

周囲の米軍兵士が一斉に発砲した。

 

「なっ……」

 

嘘、だろ?なんの躊躇いもなく、撃った。

 

「乗って!」

 

振り返ろうとした俺の視界を大きな手で塞がれ、ハモンドに体を押される。下山の声はもう聞こえてこない。

 

俺はなにかを考える暇もなく、車に押し込まれる。

 

「こんなの——」

 

 

口を開こうとしたが、ハモンドは俺を見据えたまま黙って首を横に振った。

 

喋るな、ということらしい。そのままハモンドも俺の隣に座り、ドアを閉めると同時に車は走り出す。

 

 

 

 

途中でまゆりたちの乗ったマイクロバスとは違う方向へと曲がった。

 

アメリカ、か。行くのは初めてだった。そこで俺はなにをされるのだろう?実験台(モルモット)か?開頭されて脳を隅々まで調べられるのか?

 

ゆっくり観光なんてできそうもないな。

 

悲鳴を上げたくなったが、なんとか冷静であろうと努める。

 

「あなたに会わせたい人がイマス」

 

ハモンドが唐突にそう言って、俺になにかを手渡してきた。思わず受け取ってから、それがなにか確かめてみると、ただのスマホだった。

 

「ロックはかかっていまセン。そこのボタン押して」

 

「……?」

 

戸惑いつつも、指示された通りにボタンを押す。そうして液晶画面に映り込んだのは——。

 

 

 

 

「…………」

 

「“紅莉栖”………!」

 

 

 

 

『Amadeus』の牧瀬紅莉栖だった。

 

 

 

 

「なんで米軍が『Amadeus』を——?」

 

横に座るハモンドに詰め寄ろうとしたら——。

 

 

 

 

およそ1か月ぶりに、あの感覚が俺を襲った。

 

 

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