STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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「では、Dメール…を送るための、その……電話レンジ?を再現するということでいいのかしら?」

 

「違うお。電話レンジ(仮)だお!」

 

「な、名前なんてどうでもいいと思うのだけれど…」

 

大切なことっしょ!と至が力説するので、真帆は適当にうなずいておいた。

 

鈴羽も遠い目をしている。

 

「でも電話レンジ(仮)っつーか、Dメールよりもタイムリープマシンの方を優先したいんだよね」

 

「記憶をデータ化して過去に跳ばす、というやつね。その二つはまったく別のものなの?」

 

「いんや。基本的には同じ原理だお。レンジ内でブラックホールを生成して情報を過去に送る。それがメールか記憶データかの違いなんだけどさ」

 

「記憶データを送るということは、記憶を読み取る装置も必要ということよね?それよりはメールを送る方が簡単に思えるのだけれど」

 

「うーん。Dメールはちょっと危ないっつーか。不確定要素が多いから、ささいなミスで世界線が変動しちゃったらマズイんだよね」

 

「不確定要素?」

 

「Dメールって、メールを送信する側が自分の手で直接過去を変えられるわけじゃないんだよね。行動が変わるのは、メールを受け取った過去の人間側の方で、送れる文字数も18文字までだから、こっちの意図を伝えるのが難しいんだ」

 

「18文字……確かにそれは少ないわね」

 

「それに、エシュロンのこともあるしさ」

 

「……α世界線に移動することになったきっかけ、よね」

 

「そ。去年の8月に、2025年からDメールが届いているから、エシュロンに捕捉されずにメールを過去に送ることはおそらく可能なはず。でも、今時点でそれは無理。もし作れたとしても気軽に実験できないから、タイムリープマシンを優先するべき、って感じだお」

 

「確かに、Dメールよりも、タイムリープマシンを優先すべきかもしれないわね」

 

そこで鈴羽が入ってくる。

 

「昨日みたいなことがあったらと思うと、やり直しがきくのはありがたいからね。とはいえ、まだまだ開発の目途はたっていないんだけど」

 

その現場に居合わせられなかったことを悔やんでいる様子だ。自分がいれば、危険から逃れられたかもしれない。

 

「記憶のデータ化については、私に任せてもらえるかしら?大学からVR技術を借りてくれば、それほど難しくないと思うわ」

 

「神経パルスを電気信号にコンバートできるってやつ?」

 

「ええ。その逆もできるわ」

 

「ヴィクコンってスゲー!」

 

「それと、紅莉栖の研究成果も使えば、人の記憶を完全にデータ化することができる。α世界線でも、たぶん同じようにやったはずよ」

 

「じゃあ記憶方面は真帆たんに任せるお。ボクはレンジ側を担当する」

 

「…レンジ内にブラックホールを生成すると言っていたけど、それって本当にできるのかしら?疑っているわけではないのだけど、ブラックホールを生成するなんて、まだ人類が到達できていない技術よね」

 

「ううん。SERNはもうブラックホール生成に成功してるよ」

 

「!?」

 

「SERNの持つLHC(ラージ・ハドロン・コライダー)。あれはただの粒子加速装置じゃない。粒子を衝突させて、ブラックホールを生成しているんだ。もちろん、300人委員会の支配下でね」

 

「300人委員会…」

 

「ボクもそれを参考に開発を進めてるんだけどね。ま、ブラックホールについてはこっちでなんとかするお」

 

真帆はアメリカに帰ってしまうため、共同で研究することはできない。普段の生活もある。そちらとの二重生活を続けながら、根気強く開発をしていくしかないのだ。

 

「定期的にやりとりをしましょうか。それに、岡部さんにバレるわけにもいかないし…」

 

「あんなことがあったんだ。オカリンおじさんはラボには近づかないと思う」

 

その後も、三人は話し続けた。

 

お互いに疑問をぶつけあい、鈴羽からも、話してよいところまでは未来の情報を教えてもらった。三人の会合は、夜になって岡部が戻ってくるまで続いた。

 

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