STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
女子高生の能天気修学旅行トークは置いておくとして。
「じゃあ比屋定さんは東京にはそんなに居られないのか?残念だな」
「え⁉そ、そうね。そういうことになるわね」
「秋葉原にいる間のホテルとかは、決めてあるのかニャ?」
「まだよ。これから安いビジネスホテルでも探すつもり」
「だったら、このままフェイリスのおウチに来るといいニャ!この前のお部屋、自由に使ってもらって構わないニャン」
「え、でもそんなの悪いわ」
「またそうやって遠慮するんニャから。フェイリスは大歓迎だニャン」
「だけど、そんなに甘えてばっかり……」
「うーん。だったらお部屋を無償で貸し出す代わりに、フェイリスのお店でほんのちょっとだけお手伝いしてもらうのニャ」
「…お店?」
「メイクイーン+ニャン2だね~」
「まさかそれって、あのネコミミのお店?あのお店、フェイリスさんのものだったのっ⁉」
高校生にしてメイドカフェのオーナーであることが信じられないのだろう。フェイリスは言われるのを嫌がるが、この秋葉原の大地主なのだ。
苗字も秋葉。まゆりきっかけで知り合ったとはいえ、ものすごい人と出会ってるんだよなぁ。
「そうなのニャ!この時期は、ネコミミメイドのみんなはコミマの準備でいろいろ忙しいのニャ。お休み取りたいって泣きついて来るんだニャ。つまり、深刻なネコミミメイド不足なのニャァ‼」
「なのニャァ‼」
「というわけで、まほニャン、どうかニャン?」
「どうかニャン?」
「……お断りします」
「え~‼」
「ニャンで~⁉」
「なんでって…当たり前でしょう!私に似合うわけないわっ」
「似合うよ~!」
「間違いないニャ!オカリンもそう思うニャ?」
俺に振ってくるか…。
「あ、ああ。きっとファンがつくんじゃないか?」
真帆には悪いが、嫌がる彼女を見てみたいという気持ちもないではない。
それからも真帆はいじられつづけた。といっても、まゆりとフェイリスは本気で可愛い可愛いとはやし立てていた。真帆は珍しく照れていたが。
「リムジンを用意してあるのニャ!乗っていくニャ!」
「り、リムジン⁉」
真っ白のリムジンを、この日のためにレンタルしたらしい。まったく、大げさにもほどがある。乗り心地は…まぁ、最高だ。ここに来るまでに乗せてもらったが、ふかふかのシートを堪能させてもらった。
「まほニャン、疲れてるみたいニャから、寝ていくといいニャ。フェイリスが膝枕してあげるのニャン♪それとも、マユシィの膝枕がいいのかニャ?」
「そ、そんな…子供じゃないんだから……!」
「それはいいとして、でも、本当に疲れているみたいだな。研究が忙しいのか?」
目にクマがあるのを隠せていない。時差ボケもあるだろうが、日々の疲れが溜まっている感じだ。
「それはまぁ、かけ持ちしてるわけだから——」
「かけ持ち?『Amadeus』以外にもなにかやっているのか?」
「あっ!」
真帆は慌てて自分の口を押えた。
「ええと、それは…企業秘密なの…あはは」
「そ、そうか。それは悪かった」
誤魔化している感が否めないが、有名なヴィクトルコンドリア大学ともなれば、そういうものなのだろう。産業スパイも多いと聞く。おいそれと情報を聞くわけにもいかないな。
「そ、そういえば、橋田さんは今日はどうしたの?」
「あいつなら、今日は人生をかけた大事な用があってな」
「人生をかけた……?」
「ダルくんは、今、デート中なんだよ~」
「…………」
真帆が分かりやすく呆然としている。
「そう思うのも無理ないが…」
あのダルがデートとは、字面だけ見れば信じられないのも無理はない。
「ホントにデートなのです♪」
「ええ⁉信じられない!ウソでしょう?あのHENTAIが⁉」
ついに真帆にまでHENTAI呼ばわりされるようになったか。普段からチャットで交流があると言っていたが、そこでの言動が用意に想像できる。
でも、ダルが頑張ってくれないと、この世界における因果律がおかしなことになってしまうのだ。そういう意味では、今日のダルのデートは、宇宙規模での一大イベントと言えた。