STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
2、β世界線の順序と、あったかもしれない可能性世界線
シュタインズゲート・ゼロは、1.129848の世界線から始まります。ですがどうしても腑に落ちない事がひとつ。
12月15日にDラインを受信しなかったことで、どうして世界線が変動するのか、ということです。
Dライン(Dメール)は、それを受け取って行動を変える事で、世界線が変動します。受け取らなければ、行動が変わる事がないのに、どうして世界線が変動するのか。それに私なりの理由をつけてみました。
これについては『盟誓のリナシメント』でも少しふれたように、1.129848世界線はDラインを受信する側の視点から描かれた世界線である、と言う事が出来ます。
無印では、Dメールを送る側の視点からの描写ばかりでしたので、送った瞬間に世界線が変動していました。ですが、Dメールを受信する側の視点に立つと、変動までの経緯が少し変わってきます。
というのも、まず、Dメールを送信した時点で、少しだけ世界線が変動します。
たとえば世界線Aの未来で、岡部が過去の自分にDメールを送ったとします。Aの世界線では過去に岡部がDメールを受信していないので、受信することが確定している世界線Bへと移動することになります。
ですが、Dメールの本領は、メールに書かれた内容に従って行動を変える事です。受信が確定している世界線Bにおいて、岡部が行動を変える事で、世界線Bにはなかった事象が起こり、世界線Cがアクティブになります。
Aの未来でDメールを送った岡部は、Bを飛び越してCへと移動する事になります。
二段階の玉突き変動と言うことが出来るかと思います。Aの岡部にとってはDメールを送った瞬間に世界線Cへと移動する事になりますが、実はBを挟んでいるのです。
では、この話をβ世界線に当てはめてみます。
世界線1.129848では、12月15日にDラインを受信することが確定しています。つまり、この世界線は先ほどの例えで言えば、Bの世界線だと言えますね。
では、Dラインを送信したAの世界線は『盟誓のリナシメント』の1.081163ということになりますね。
ということは、本来、β世界線は1.129848から始まるのではなく、1.081163(リナシメント世界線)から始まったのではないでしょうか。リナシメント世界線に至るまでにも、何度か世界線は変動していますので、厳密には1.081163から始まったというわけではないかと思います。ですが、少なくとも1.129848から始まったわけではないと、考える事が出来ます。
その世界線では、12月15日にDラインを受信することはなかったはずです。岡部がスマホの電源をONにしているかどうかは関係なく、そもそもDラインを受信する、という事象そのものが起らない世界線ですので。
この世界線は、実際にはもう存在せず、理論上、かつて存在していた可能性世界線である、と言えます。(以後、可能性世界線と呼びます)
では、この可能性世界線では、かがりはどうなっていたでしょうか。
かがりが未来でレスキネンによって洗脳される、という事は間違いないでしょう。そして1998年時点で鈴羽と逸れるのも確定しているはずです。ですが、過去のレスキネンによって記憶を消されることはなかったのではないでしょうか。つまり、自分の意志で動いていたはずです。
12月15日に、フブキの質問によって、岡部が紅莉栖を好きであることがまゆりに伝わります。そしてまゆりが鳳凰院凶真を復活させるために、過去へと跳ぶことを決意するはず。それに気づいたかがりは、シュタインズゲートに到達させないことと、まゆりに危険なタイムトラベルをさせないため、その邪魔をしようとするはずです。
その結果、レスキネンが考えていた計画をまるっきり無視して、かがりが自由に行動することになった。レスキネンとしては、それを見過ごすことが出来ず、未来で徹底的に洗脳して、過去で記憶を消すように計画を修正したのだと思われます。
そして次の周回で、1998年に鈴羽とはぐれたかがりを捕まえ、記憶を消した。その結果、かがりが自由に動くことができなくなり、可能性世界線は消え、1.064750に近い世界線がアクティブになった。
そこから岡部たちは、『盟誓のリナシメント』の未来に近い世界線(リナシメント近似世界線)に辿り着き、12月15日にフブキの質問に答えること(まゆりではなく紅莉栖が好き)で、かがりがレスキネンに捕まえられ、記憶を消されてしまうと気づいたのではないでしょうか。
そこで、リナシメント近似世界線の未来(2011年12月18日)で、2010年12月15日へとDラインを送信。それによって、Dラインを受信することが確定した世界線、1.129848がアクティブになった。
シュタインズゲート・ゼロはDラインを受信することが確定している1.129848の世界線の8月21日から物語がスタートした、と考えられます。
1.129848世界線は、12月15日にDラインを受信することが確定しています。ですが、岡部のきまぐれの行動(スマホの電源をOFFにする)によって、確定していた未来が変わり、1.064750世界線へと変動してしまった、ということではないでしょうか。
つまり、原作ゲームで描かれた電源をOFFにした側の世界線は、かつて存在した可能性世界線から派生した、1.129848世界線から、もう一度派生してしまったルートなのだと考えています。
では、可能性世界線・リナシメント近似世界線からDラインを受信することが確定している1.129848世界線がアクティブになったことで、かがりの状況はどう変わったのでしょうか。
リナシメント近似世界線の未来では、おそらくレスキネンが死亡しています。そのことで、過去への指示がうまく出せなかったのだと思われます。過去でかがりの記憶を消せ、という命令を出せなかったため、次の世界線のかがりは、洗脳はされているが記憶は消されず、自由に動くことが出来る、という状況になると考えられます。
12月15日に、Dラインを受信させることで岡部をパニックにさせ、フブキからの質問に答えさせないことで、まゆりが鳳凰院凶真を復活させようとタイムトラベルを決意するタイミングを2011年7月7日までズラすことに成功します。かがりも、まゆりの思惑に気付くことがなくなり、レスキネンが危惧するほど勝手な行動をしなくなるはずです。
こうして、スマホの電源をONにした側の世界線が出来上がるのだと考えています。このように考えると、電源のON・OFFによってかがりの行動があまりにも変化することにも、自分としては納得することができました。
すごく長くなってしまいましたね。ややこしくて申し訳ありません。
ですが、やはりDラインを受信しなかったことで世界線が変動する、というのがあまりにも納得できなかったため、今書いたような可能性世界線がかつては存在していたのではないか、と考えるに至りました。
そこまでの話を作中に入れ込むと、あまりにも複雑になってしまうので、幕間にて解説させていただく運びとなりました。
これにて、今回の考察パートは終了とさせていただきます。
ようやく、次は『無限遠点のアルタイル』です。
物語も最終盤。
鳳凰院凶真の活躍から目を離さずお楽しみください!
それではまたお会いしましょう!