STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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真帆はシャワーを浴びながら愚痴を漏らしていた。

 

「今日は七夕だというのに、どうしてこんなことになっているのかしら……」

 

今日は七夕。彦星と織姫が年に一度だけ会える日だ。真帆は密かに今日を楽しみにしていたのだ。

 

アメリカ育ちでそういう日本の文化や風習に触れる機会がまるでないから、多少なりとも興味があった。

 

笹の葉に願い事を吊るす、というイベントに期待を寄せていた。フェイリスあたりがそういうイベントを開いてくれるのではないか、と。

 

それなのに、この暑い昼下がりに、クーラーも効かないラボで至と2人きりでススまみれになっている状況が、とても切なく思えたのだ。

 

「真帆たん!真帆たんっ!」

 

外から至が呼びかけてくる声がした。

 

「え、ええっ⁉な、何よっ⁉まさか本当に覗くつもり⁉」

 

有事の際には鈴羽を呼ぶ、とは言ったものの、鈴羽がここにはもう、戻って来ないことを知っている。

 

鈴羽は今日、タイムマシンに乗って過去へと旅立つのだ。至に元気がないのも、デートの一件だけではないことも分かっていた。至も口にしようとはしないため、真帆も何も言わなかったのだが。

 

「このドアをちょっとでも開いてみなさいっ?な、な、な、泣いちゃうからっ!」

 

監視の目がなくなった途端に、急に盛り出すとは聞いていない。

 

「そんな萌え台詞言ってる場合じゃないって!今、まゆ氏から連絡があったんだ!もしかするとオカリンがこっち来るかも!」

 

「えっ!岡部さんがっ⁉」

 

それを聞いた途端、真帆はあわてふためいた。岡部がラボに顔を出す事は滅多にないと聞いていた。事実、来日した日以来、一度もここには現れていない。だから安心してラボに出入りしていたのだが……。

 

「電話レンジ(仮)弐号機は隠しといたけど、ボクらがやってる研究の事、バレないように気を付けて」

 

「え、ええ……分かったわ。…………というか私、ここにいたらマズいじゃない!フェイリスさんのマンションに戻って隠れていないと!」

 

「そ、そうだった!じゃあ早く出てきて!」

 

「あなたがそこにいたら出られないでしょう!」

 

貧相な体ではあるが、おいそれと見せられるほどの度胸はない。

 

「ですよね~」

 

至が離れていく気配を確認してから、真帆は身体についたボディソープの泡を急いで洗い落とした。まだ長い髪をしっかり洗えていなかったのだが、それどころではない。

 

タオルで全身を拭い、シャワールームから出ようとしたところで——。

 

玄関のドアが開く音がした。

 

「よう、ダル」

 

「っ!」

 

もう来た!

 

真帆はとっさにシャワールームのドアを閉め直した。が、全裸の自分を見下ろして愕然となる。

 

服はドアの外に脱ぎ散らかしたままだ。岡部に気付かれないようにそれを取るのは至難の業だ。

 

こうなったら無防備な格好のままで、この場に隠れてやり過ごすしかなかった。

 

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