STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

264 / 303
(12)

「…………」

 

「“紅莉栖”に、何かがあった……」

 

この文章。間違いなく俺に宛てられたものだ。

 

「時を司る秘密……」

 

「タイムマシンじゃね?」

 

「……!タイムマシンの情報が、誰かに漏れたのか⁉」

 

「つーか、なんで『Amadeus』がタイムマシンの情報知ってんの?オカリン喋ったん?」

 

「いえ、私だわ。日本に来る前に、『Amadeus』のデータを更新したのよ。おそらくそれで……」

 

いや、今はそんな事を考えている暇はない。

 

「比屋定さん。『Amadeus』にアクセス出来るか?」

 

「……規則違反になるけど、そんな事言っている場合じゃなさそうね。橋田さん。そのPC借りていい?」

 

ダルに代わってもらって、真帆をラボのPCから脳科学研究所のコンピューターに接続した。

 

Salieri、という自分のIDとパスワードを打ち込む。エンターキーを押すが、アクセスできない。

 

何度か試すが、一向に繋がらない。研究所内の全サーバーにアクセスをしてみたが、結果は同じだった。

 

「そんな……!こんな馬鹿な事って……」

 

「ダル、ハッキングしろ!脳科学研究所だけじゃなく、ヴィクトルコンドリア大学にあるデータ全てをこじ開けてくれ。サーバーから個人のPCまで全部だ!」

 

「オーキードーキー!」

 

「比屋定さんも協力してくれ。頼む!」

 

しかし、“紅莉栖”どころか“真帆”の方も大学のどのPCからもサーバーからもいなくなっていた。影も形もない。存在そのものが消えてしまった。

 

「どこか別の場所に移されたとか?」

 

「そんなの……管理者権限を持っているのはレスキネン教授だけよ」

 

「レスキネン教授……」

 

さっき見た、『栗悟飯とカメハメ波』の書き込みが脳裏をよぎる。

 

あいつの書いた、父なる神とはいったい誰の事を指すのか。『Amadeus』から見て、父と言える存在。

 

「まさか……レスキネン教授が?」

 

「滅多なことを言わないで!」

 

真帆はレスキネン教授に連絡を取る方法を探しはじめた。

 

俺はやはり、@ちゃんの書き込みの事が気になっていた。

 

“紅莉栖”は、サリエリの隣人が、鳳凰院凶真であることを分かっている。不死鳥なんて、鳳凰院凶真しかいない。俺が真帆と繋がっていることも。

 

そして——。

 

 

 

(そもそも、どうして“紅莉栖”がタイムマシンのことを知っているんだ?)

 

確かに、記憶データの中に、タイムマシン理論は入っているだろう。それが狙われていることも、分かったのだとする。だが、それが俺と繋がっていることは分かるはずがない。

 

(秘密の日記がこじ開けられた……それって…)

 

一つだけ思い当たった可能性。

 

それは——。

 

 

 

(『Amadeus』の“紅莉栖”が、リーディングシュタイナーを……!)

 

紅莉栖が生きている状態で、最後にアクティブになったのはα世界線のこと。その時の記憶が蘇ったのかもしれない。

 

「とにかく、俺はラジ館に行ってくる!“紅莉栖”の警告通りなら、狙われるのはあそこだ!」

 

「ボクも行く——」

 

「お前と比屋定さんはここで情報収集だ!まゆりが戻って来るかもしれないから!それと、『Amadeus』を見つけられたら、バックアップのデータごと削除してくれ!あの中には、とんでもない情報が眠っている!」

 

「分かったお!」

 

それだけの指示を出すと、俺はラボを飛び出してラジ館に向かった。

 

“紅莉栖”の書き込みがあったのが17時11分頃。今はもう18時をとっくに過ぎている。間に合うかどうかは怪しいところだ。

 

それと、ラボに戻って来た時に感じた眩暈。

 

(あれは本当に立ち眩みだったのか?もしかして、リーディングシュタイナーの感覚……)

 

応えの出ない疑問を振り切って、俺はラジ館へと急いだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。