STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
「聞かせてくれ、リンターロ。タイムマシンはどこに?」
俺はかがりを地面に寝かせ、ゆっくりと立ち上がった。
足の傷からの地は止まらない。痛みだってひどくなっている。
それでも、しっかりと2本の足で地面を踏みしめた。
銃を突きつけている迷彩服の男たちを前にして。
戦闘ヘリのロケットランチャーを前にして。
“教授”を前にして。これから始まる戦争を前にして。
俺はあの声音で思い切り嗤った。
「フ、フフ、フフフ、フゥーハハハハハ!よく聞け、まぬけどもめ!貴様らが手に入れようとしたタイムマシンはもうここにはない!この時代には、もう存在しないのだ!残念だったな!せいぜい悔しがるがいい!そして恐れるがいい!」
あの日から一年。それでもなお、果敢に運命に立ち向かう鳳凰院凶真の姿。
それをこの残酷な世界に知らしめてやること。
それこそがシュタインズゲートに到達するための第一歩。
世界を変革するためのエンターキー!
「この鳳凰院凶真は、貴様らにも、運命にも、負けることはない!俺は、必ず、シュタインズゲートを見つけてみせる!」
そうだとも。ここから先はシュタインズゲートへ到達するための、長い長いエピグラフ。狂気とは、何度も同じことを繰り返しながら、違う結果を期待する事である。
かつて、アインシュタインは人間の愚かさを嘆き、そう言った。
だが、俺は今、喜んでその狂気と愚かさに身を委ねよう。あらゆる執念をもって、神の摂理など及ばない、たったひとつの違う結果を、追い求めよう。
「それが!この俺の!選択だ!!」
景色が歪む。何度も何度も経験した、世界線が変わるこの瞬間。
見たか世界。
俺は決して諦めない。
いかなる困難が押し寄せようとも俺は怯まない。
いかに困難な道であったとしても、最後の瞬間までもがき続けてやる。
待っていろ。紅莉栖。
俺が必ずお前を助けてやる。
そしてまゆりと鈴羽よ。お前たちも必ず迎えに行くからな。
*****
「ごめん。まゆねえさん。やっぱ無事には戻れそうにないみたい。タイムパラドックスを避けるために、あそこから跳んだのはいいけど、一年後まで戻れる燃料はもう、残ってない。かといってさ、一度タイムトラベルに入ったら、途中下車も出来ない。カー・ブラックホールが作り出した特異点内からどこに弾きだされるかは、運次第だね。一日後なのか、一年後なのか、百年後なのか、一億年後なのか。とりあえず言えるのは、このタイムマシンは今、制御不能状態だってこと」
「ありがとう。スズさん。あの日へ連れて行ってくれて。あとはきっと、向こうのまゆしぃと彦星さまがね、なんとかしてくれるはず」
「あーあ。リーディングシュタイナーがあたしにもあればよかったのに。世界線の変動が観測出来ないのがさ、もどかしいよ。こうしてまゆねえさんと話したことも全部忘れちゃうなんてさ」
「ふふふ。大丈夫なのです。今から7年後に、まゆしぃがスズさんに会いに行くのです」
「そんなの、生まれたばかりであたしは話せないじゃないか…」
「えっへっへ~。お姉さんの特権なのです」
ねえ、オカリン。世界が真っ暗闇になって、無限の影に怯えても、目を閉じないで。諦めないで。鳳凰院凶真を、殺さないで。
そうすれば、想いはきっと届くよ。
何百年、何千年っていう時間を旅してきた、あの星の光みたいに。
オカリン。
次は、シュタインズゲートで、会おうね。
まゆしぃはあのラボで、いつだって、あなたを、みんなを、待ってるから。