STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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ダルはこの世界線での出来事を説明してくれた。

 

2010年8月21日。同じように鈴羽がラジ館の屋上へとやってきた。そして俺は紅莉栖の救出のため7月28日に跳んだ。結果は失敗。戻って来た俺は、紅莉栖を救うことを諦めようとしていた。

 

だが、まゆりが俺をビンタしたのだ。あのまゆりが、だ。

 

それこそが、オペレーション・アークライトが成功した証だ。2011年7月7日に俺が送りだしたまゆりと鈴羽は、2010年8月21日へと跳んだ。

 

俺が紅莉栖救出のためにこの世界から消失した、空白の1分を目掛けて。

 

そこならば、神の目は存在しない。つまり、何も確定していない瞬間、ということになる。

 

未来のまゆりは、タイムマシンの中から過去のまゆりに電話をしたらしい。

 

あの時、俺は混線しないように、とケータイをまゆりに預けていたからな。

 

俺のケータイに着信が来たようだ。

 

そして、未来のまゆりは、俺を蹴っ飛ばしてでも叩き起こすようにお願いしてきたのだという。26年と1年分の想いを、過去の自分に託して去って行った。

 

そしてなんと、幼いかがりがそこに現れたのだ。

 

かがりは洗脳されることもなく、1998年で鈴羽と逸れることもなく、この時代へとたどり着いていたのだ。紅莉栖救出の際には、タイムマシンが2人乗りということもあって、近くに隠れていたのだという。

 

どうしてかがりが幼いまま——10歳の姿でこの時代に来れたのか。なぜ洗脳されることもなく、鈴羽と逸れることもなかったのか。

 

それは、この鈴羽とかがりが、先ほどまで俺がいた世界線からやって来たからだそうだ。

 

俺は2011年7月7日に、鳳凰院凶真の復活宣言をすることで、この世界線に移動してきた。だが、俺が移動しなかった場合、あの世界線がそのまま続くことになる。

 

あの時点で鳳凰院凶真は復活していた。俺はダルや真帆たちと共に、タイムマシン研究に打ち込んだようだ。

 

そして2025年。オペレーション・アークライトのムービーメールと、7月28日に受信したムービーメールを送った。アークライトは無事に成功したが、やはり、7月28日のムービーメールの方は、この世界線でも見れなかったらしい。

 

そして俺は、2025年の死亡収束を迎えることになった。

 

だが、俺はリミットが近づいても死ぬ気配がなかったらしい。

 

というのも、俺はタイムマシン試作機に乗って、オペレーション・アークライトで過去へ跳んだ家で娘ふたりを迎えに行ったのだ。

 

そして、無事にふたりを連れ戻すことに成功したようだ。だが、俺は2025年には戻らなかった。

 

理由は分かる。俺の死亡収束を無視してその時代に戻れば、世界は混乱する。

 

人の死とは曖昧なものだ。仮に俺が誰にも知られることのない地下室にでも閉じこもっていれば、世界は俺が死んでいると判断するだろう。

 

つまり、実際に俺が死ぬ必要はないのだ。俺はタイムトラベルをすることで、世界から消えた。つまり、死んだのと同じ、ということだ。

 

とにかく、そうして俺はまゆりと鈴羽を2025年に連れ戻した。

 

 

 

まゆり達が過去へ跳んだのが2011年の事で、戻って来たのが2025年のため、14年もの時間を超えてしまったが、ダルたちはふたりを温かく迎え入れたようだ。

 

そして2032年。まゆりはかがりを養子に迎え入れた。

 

かがりにとっては、ママが少し若くなってしまっているが、問題はない。

 

これまでの世界線と違ったのは、俺たちがかがりが洗脳されることを知っていた、ということだ。

 

レスキネンがかがりに接触するのを防ぎ、かがりを魔の手から救ったのだ。だから、かがりは洗脳されることもなく、この時代へとやって来ることができた。

 

4年間、かがりは未来のまゆりの元で暮らし、1975年、1998年を経て、2010年へとやって来た。

 

話を戻そう。

 

 

 

俺はまゆりにビンタされたことと、かがりが現れたことで、紅莉栖を救うことを諦めなかった。

 

つまり、鳳凰院凶真は一度も死ぬことがなかった。

 

そこから今日に至るまでの一年間。俺は鳳凰院凶真として戦い続けたようだ。

 

かがりも、まだ若いまゆりと楽しい1年を過ごしたらしい。

 

具体的な流れとしてはこうだ。

 

2010年8月21日。紅莉栖の救出に失敗した俺はテレビを見ろ、と言うDメールに従ってワンセグでテレビを見た。

 

ロシアに亡命した中鉢と、その手に握られているメタルうーぱが映っていた。うーぱには『まゆしぃの』と書かれていたようだ。

 

中鉢が搭乗した飛行機は、誰の仕業か貨物室で火災が発生する。本来なら紅莉栖から奪ったタイムマシン論文はそこに預けられているはずだった。

 

しかし、まゆりが落とし中鉢の手に渡ったメタルうーぱが金属探知機に引っかかったことにより、論文は手荷物として機内に持ち込まれることになった。

 

運命は論文を守った。

 

ここまでは俺も体験した。

 

俺はこの時点で諦めてしまったが、まゆりのおかげでなんとか持ちこたえたこの世界線の俺は違った。

 

鈴羽の指示のもと、7月28日に届いていたムービーメールを開いた。

 

どうやら紅莉栖の救出に一度失敗するのは規定事項だったらしい。このムービーメールの内容に従い、二度目の救出に向かうはずだった。

 

だが、ムービーメールはノイズまみれで見れなかった。

 

それでも、俺は諦めなかったらしい。

 

こうしてメールを寄越すということは、紅莉栖を救う解が見つかったということ。あとは技術的な問題さえクリアすれば、紅莉栖の二度目の救出は発生する。

 

俺はそこに希望を見つけ、鳳凰院凶真として戦うことを選んだようだ。

 

それ以降のことは、かがりを除いて俺の経験してきたβ世界線とほとんど変わらなかった。

 

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