STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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あれから、俺たちはタイムマシン研究に打ち込んだ。

 

順調に進められたのかと言われれば、答えは否だ。やはり第三次世界大戦の戦火はすさまじかった。

 

生き延びるだけでも精一杯。安定した日々をおくることは不可能だった。

 

だが、それでもなんとか研究を進めた。タイムマシンも、形になりつつある。

 

 

 

そして、俺たちの中で、紅莉栖を救う方法について一応の結論が出た。それをここにまとめておこう。

 

 

まず、メタルうーぱについてだ。

 

あの日、俺がうーぱのガチャポンを回し、レアもののメタルうーぱが出た。普通のうーぱとは違い、これは金属製だ。まゆりにあげたのだが、まゆりはすぐに落としてしまった。ペンで名前まで書いていたくせに、仕方のないやつだ。その後、未来から来た俺と話した紅莉栖がそれを拾い、封筒の中に入れてしまう。そして中鉢がそれを奪い、ロシアへと亡命する。

 

論文は荷物と共に貨物室に入れられるはずだった。その貨物室にはSERNによる罠が仕組まれている。離陸後に火災が起こるのだ。それで論文が焼かれ、ロシアには論文が渡らないはずだった。だが、運命はそれを守った。

 

封筒に入っていたメタルうーぱが金属探知機に引っかかったことで、中鉢は論文を手に抱えて飛行機に搭乗したのだ。

 

そのせいで論文は無事にロシアに渡り、第三次世界大戦の火種となった。

 

これを阻止するため、二度目の救出に際して、まず先回りして過去の俺にはガチャポンを回してもらう。

 

真帆の計算によると、『岡部倫太郎が回して最初に出てくるのはメタルうーぱである』というのは収束であるようだ。

 

2010年7月28日。何も知らない最初の俺と、タイムトラベルして来た未来の俺は、時間にして20日程度しか年齢が違わない。格好も白衣で同じ。端から見れば同一人物だ。

 

先回りしてメタルうーぱを回収しておくことで、最初の俺がガチャポンを回しても、出てくるのは普通のうーぱとなる。

 

 

 

 

これが作戦の第一段階。行動としては単純なものだが、未来の俺がガチャポンを回しても大丈夫かどうか、明らかにするのに途方も無い時間がかかった。事象の因果関係を明らかにするのは恐ろしく大変な作業なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

では第二段階に移ろう。

 

次に過去の俺には紅莉栖の死の偽装をしてもらう。

 

紅莉栖の死が収束であるのなら、死の偽装を行うことは不可能。だが、紅莉栖の死はこのβ世界線における収束ではないことはすでに分かっているのだ。

 

そもそも、β世界線は複雑に思惑が絡み合っている世界線だ。まず、ロシアが中鉢論文を手にいれることが大前提となっている。α世界線では紅莉栖のタイムトラベル理論はSERNによる独占状態だったが、β世界線では様相が異なっている。

 

まず、ロシアがそれを手に入れる。先ほど言った通り、SERNによる妨害も甲斐無く失敗する。だが、それでロシアが順調にタイムマシンの開発に成功するかといえばそうではない。アメリカやヨーロッパ諸国による介入によって圧力がかかり、ロシアも思うように開発を進められない状況に陥るのだ。この膠着状態こそが第三次世界大戦の火種となるわけだ。

 

俺たちが戦ってきた、米軍(ダーパ)やストラトフォーといった勢力もそのうちの一つだ。とはいえ、先ほども言った通り、レスキネンたちはもうそれほど脅威ではない。

 

というのも、奴らが紅莉栖の頭脳を手にいれることはもう不可能に近いからだ。

 

中鉢論文はロシアの独占状態だが、それ以外にも紅莉栖が残した遺産が存在している。

 

論文を書き上げたノートPC。そのバックアップであるHDD。人工知能『Amadeus』に保存されている紅莉栖の記憶データ。そしてかがり。

 

紅莉栖が死ななければならない理由もこれらに関係している。

 

紅莉栖が生きていた場合、ロシアに亡命した中鉢を追いかけて、紅莉栖が何かしらアクションを起こす可能性がある。それにノートPCとHDDは紅莉栖が処分してしまうかもしれない。それらを巡って争奪戦を繰り広げるのがβ世界線の特徴であるため、β世界線の存続のためには紅莉栖の死が必要だったのだ。

 

紅莉栖の死を起点としてβ世界線が構成されているわけではないため、紅莉栖の死は収束ではないと言える。だが、β世界線成立のために付随する事象として、紅莉栖は死ななければならなかった。

 

だが、俺たちはその問題についてはもうすでに解決している。

 

ノートPCは2011年1月23日にロシアの工作員たちの手で破壊されてしまった。HDDに関しては真帆から解析依頼をされ、ダルが保管していたため俺たちの手中にある。

 

『Amadeus』に関しては、レスキネンがタイムマシン論文が記録されている秘密の日記をこじ開けてしまう前にダルがクラッキングでバックアップデータごと削除した。

 

そしてかがりはオペレーション・アークライトが成功したことで、洗脳されることも紅莉栖の記憶データが挿入されることもなく俺たちの側にいる。

 

紅莉栖の遺産は全て敵の手に渡ることなく消去されることが確定している。

 

残るはロシアに渡った中鉢論文だけだ。

 

これによって紅莉栖の死を偽装することが可能な世界線なのだ。

 

紅莉栖の死を偽装した上でメタルうーぱの件さえうまくやれば、中鉢論文を消去し、紅莉栖を救うことができる。シュタインズゲートを観測することができるのだ。

 

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