STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
あの日、自分が取った行動。まゆりが取った行動。紅莉栖との会話の内容。中鉢の会見の内容。
それら1つ1つをでき限り正確に思い出そうと、自分の記憶を頭の中から引っ張り出し、整理していく。
そして、これから自分が取るべき行動をシミュレーションする。
それと、前回の教訓として、何か護身用の道具を持っていった方がいいだろう。
「……よし」
目に入ったのは、30センチほどの中が背のプラスチック製スティック。
「……それは何?」
「我がラボの発明品。未来ガジェット6号『サイリウム・セーバー』だ!」
「サイリウム・セーバー?」
鈴羽が怪訝そうな顔でそれを見る。話によると、こいつは軍人らしいからな。こんなおもちゃを見て呆れるのもまぁ、納得だ。
「赤色のサイリウムだお。アイドルとか声優のライブには欠かせないんだなこれが」
「へぇ、父さんってアイドルとか好きなんだ……」
「だから父さんってどゆことだってばよ?」
説明するのも面倒だ。親子の会話はまたの機会にしてくれ。
「だが、ただのサイリウムではない。セーバーというネーミングの通り、県の形になっているため、スパークウォーズごっこも可能なのだッ!」
「へ、へぇ。すごいね……」
α世界線の鈴羽と違って、こいつは淡白だな。鈴羽と言えば、もっと活発なイメージだった。
「し、しかもだな。血糊を生成することができる!先端部分のキャップを取り外せば、ドロリとした血が溢れ出す」
「い、いったい何を狙って作ったのか、さっぱり分かんないけど……」
「よりリアルなチャンバラごっこができるじゃん」
「ふん。全ては必然だった、ということだ」
この世に無駄なものなどない。全ては運命に導かれるままに役目を果たす。そう、シュタインズゲートの選択通りにな。
「やろうとしていることは分かった。その血糊を、牧瀬紅莉栖の血に見せかけるんだね?」
「いかにも」
やはり、俺は生粋のマッドサイエンティストだな。フゥーハハハ!
これで全ての準備は整った。
ダルに無理を言って用意させたスタンガンも持った。ポケットには100円玉も入れた。
これで問題ない。
紅莉栖を救うことが出来る。
「オカリンおじさん。もう一度、あの日へ跳ぼう……。7月28日へ」
鈴羽は俺の覚悟を問うた。
「残されたチャンスはたった1度。……行ける?」
見くびるな。俺は狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真だ。
「任せろ」
あえて一度失敗させた意味も、今なら理解できる。
確定した過去を変えずに結果を変える。
そのためには、今回でかならずやり遂げなければならない。
今、この時にしか、紅莉栖を救えるチャンスはない。
「俺が世界を変えてやる」
ダルは厨二病乙、などと言いながらも俺の肩を叩いて激励してくれた。そしてまゆりも……。
「オカリン。きっと、帰って来てね?」
こいつには、ずっと心配をかけてばかりだな。
α世界線でも、β世界線に戻って来ても、ずっと。
「当り前だ」
人質に心配されるなど、あってはならない。
俺は紅莉栖を救い、こいつが笑っていられる世界を作ってみせる。