STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

4 / 303
(4)

それから俺は、ダルの仲介もあり、鈴羽と一度だけ話した。

 

やはり鈴羽はシュタインズゲートを目指すらしい。それもそうだろう。そのために未来からやって来たのだから。

 

だが俺はもう、諦めた。紅莉栖は救えない。

俺は鈴羽にこの世界線の未来のことを聞いた。

そこからズレた行動を取らないためだ。

 

 

未来に待ち受ける第3次世界大戦。

その火種はロシアに持ち込まれた紅莉栖のタイムマシン論文だったらしい。

 

あの日、中鉢は紅莉栖が書いた論文を奪って逃走した。そしてロシアに亡命したらしい。盗作も甚だしいが、その論文は中鉢論文と呼ばれ、各国がそれを求めて戦争を始めるようだ。

 

亡命という言葉を現代の日本で聞くことになるとは思わなかった。

 

それと、どこからかぎつけてきたのか、中鉢のロシア亡命に際してSERNによる妨害があったらしい。中鉢が乗ったロシアン航空の飛行機の貨物室で火災が発生したようだ。これはニュースでも取り上げられていて、中鉢が映っていた。

 

中鉢論文は本来、貨物室で火災とともに葬られるはずだったのだ。だが、論文を入れた封筒の中に、メタルうーぱが入っており、それが金属探知機に引っかかったおかげで、論文は火の手を逃れた。

 

そう、そのメタルうーぱとは、俺がラジ館のガチャポンで引き当て、まゆりにくれてやったものだ。あのとき、まゆりはレアものだと言いながら5分と経たずに紛失した。

 

どういうわけか、そのメタルうーぱが中鉢論文に紛れ込んだのだ。カメラに映ったうーぱには、でかでかと『まゆしぃの』とかかれていた。

 

 

バタフライ効果(エフェクト)。

北京の蝶の羽ばたきが、ニューヨークで嵐を起こす。

 

世界はそういうふうに収束する。

過去を、未来を変えるなんて、人ひとりには到底不可能なことだったんだ。それでも俺は、まゆりだけは救ったんだ。それで十分だろう。

 

 

2025年に俺は死ぬ。

 

ならば俺はその日まで静かに生きよう。

世界線に影響を与えないように普通に生きよう。

 

 

この世界線では、俺たちがSERNから目を付けられることはない。

静かに暮らしていれば、陰謀に巻き込まれることもないだろう。

 

 

あの夏、俺は紅莉栖と出会って、脳科学に興味を持った。あいつの研究に触れてみたいという思いが芽生えたんだ。

 

あいつは天才で、俺は平凡な大学生。だが、どうせ2025年に死んでしまうのなら、到底無理だと思われることでもやってみたい。そう思った。

 

紅莉栖を殺してしまったトラウマを解消するためにも、何か没頭出来るものがほしかった。

 

 

俺は普通の大学生活を送ることに決めた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。