STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
まゆりを家まで送った後、一人になった途端に、昼の出来事を思い出した。
世界線が変動した原因。
誰かが電話レンジ(仮)のようなものを作った。その可能性はある。俺たちにだって作れたんだ。不可能、ということはない。α世界線ではSERNだってタイムマシンを開発したわけだし。
だが、俺はまゆりの娘の話を聞いて、俺たち以外の誰かによる変動だとは思えなくなった。
椎名かがり。
はぐれてしまって、今どこでどうしているのかは分からない。だが、その少女が今も生きているのなら、過去を変えることだって出来るはずだ。
未来を知っている者だけが、世界線の収束から外れた行動を取る事が出来る。その点では、椎名かがりはそれに当てはまる。
それともう一つ。
(スマホの電源のオンオフ…)
俺が確認できた中で、変動前後で変わっていたのは、俺のスマホの電源だけ。切ったはずの電源が入っていた。
(本来は、俺は電源を切らなかった、ということか?)
スマホの電源を入れていることが、確定した行動だった。つまり、俺の電源を切るという行為によって、確定した事象を変えてしまった可能性。
だが、スマホのオンオフで、世界線が変わるほどの大きな変化をもたらせるだろうか。
「Dメール?」
俺は、あのタイミングでDメールを受信するはずだった?
いや、だが、電話レンジ(仮)はもう存在しないのだ。俺が破棄した。未来で俺がもう一度作り直したとでも?いや、ありえない。
もし、仮にあのタイミングでDメールを受信するはずだったとしても、ひとつおかしなことがある。
Dメールで世界線が変動するのは、それを受信した者が、その内容に従って行動を変えた場合だ。だが、そもそも俺は電源をオフにしたことでDメールを受信しなかった。俺の行動は変わっていない。
(行動が変わっていないのに、世界線が変動した…?)
何かしらの行動を起こしたのならまだ分かるが、何もしていないのだ。
(それとも、Dメールを受信する事が確定していたのに、俺が受信しなかった……?)
Dメールを受信する事が確定している、という言葉に自分自身で混乱する。
そんなことがありえるのだろうか。Dメールは送った時点で過去が変わる。そしてその内容に従って行動が変化することで、もう一度過去が変化する。世界線の変動は二段階に分かれているのだ。
本来、Dメールを受信する、という事象は存在しない。それなのに、Dメールを受信しないことで世界線が変動するなんて、これまでの経験上あり得ないことだ。
(俺の考えすぎ……なのか?)
スマホの電源をオフにしたことで、Dメールを受信しない世界線に変動した。その世界線では俺がスマホをオフにしなくても、そもそもDメールを受信しないことが決まっている。だから、変動後にスマホの電源が入っていた、ということなのだろうか。
……分からない。
具体的に世界線がどう変化したのかもまだ確かめられていない。
今のところは、まゆりが生きているということだけでいい。まゆりが死んでしまったら、紅莉栖を犠牲にしてまでβ世界線を選んだ意味がなくなってしまう。