STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
「ニャニャ?キョー……じゃなかった。オカリン?」
突然、背後から声をかけられ、慌てて振り返る。
「やっぱりオカリンだニャ。こんなところで何してるんだニャ?」
「フェイリス。それに……」
「こんにちは。岡部さん」
「なんだ。珍しい組み合わせだな」
「ついさっきそこで会ったのニャ。そしたら、ルカニャンが荷物いっぱい持ってたから、そこまで手伝ってあげる事にしたのニャ」
なるほど、よく見ればルカ子は両手いっぱいに荷物をぶら下げていた。フェイリスが持っている分も合わせるとかなりの量だ。
『ねえ、ちょっと…』
「ん?今、なにか聞こえませんでしたか?」
「いや、これは別に何でも……」
慌ててスマホを後ろ手に隠す。
『ちょっと、聞いてるの?ねえ!』
「また聞こえたニャ!もしかして、さっきオカリンが話していたのはそれかニャ?」
「いや、これは——」
別に知られたって構わないはずだ。
『あ、ちょ——』
それでも俺は、なにか後ろ暗い思いで『Amadeus』のアプリを閉じてしまっていた。
「電話中だったのニャ?」
「あ、ああ。ちょっと知り合いに相談事を、な」
「相談、ですか?」
「そういうことだったんだニャ。後ろから見たら、オカリンが独りでブツブツ呟いているように見えたから、ちょっと心配したニャ」
心配……されるような姿だったのか、俺は。いや、まぁ、鳳凰院凶真を演じていた時を考えればそれもそうだ。今となっては、アレをやっていた自分が恥ずかしくて仕方ない。定時報告……。黒歴史だな。
「でも水くさいニャ。なにか困った事があるなら、フェイリスたちにも話してくれればいいのニャ」
「お、そうです。僕じゃお役に立てないかもしれないですけど……でも、お話くらいなら……」
「ありがとう。でも大したことじゃ……」
と言いかけて、俺は少し考え込んだ。フェイリスもルカ子も、幼い頃からこの秋葉原で育ってきた。大地主と神職。この土地には顔が利くはずだ。俺は2人に事情は伏せつつも説明した。すると2人とも、家の方で訊いてくれることになった。
「ところでルカ子。その山ほどの荷物はどうしたんだ?」
「あ、これはその……昨日、お父さんのお客さんが来るっていうお話はしましたよね?実はそのお客さんの一人が、しばらく家に滞在する事になって……」
「それで必要なものを買いそろえていたそうニャ」
ルカ子の父親のお客さんというなら、ある程度は年配の人なんだろう。まぁ、特殊な趣味の持ち主かもしれないが。
「それは大変だな…」
「いえ、僕もちょっと楽しいですし」
楽しい、のか?ルカ子もあの父親の血を引いているんだから、潜在的にそういう趣味があってもおかしくはないが。
……出来ればルカ子にはそうはなってほしくない。
「あんまり、のめりこみ過ぎないようにするんだぞ?」
「はい?」