STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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ただの初詣のはずなのに、それぞれ写真を撮ったり喋ったりしているうちに、あっという間に2011年の最初の1日は過ぎて行った。

 

「お待たせだニャ」

 

「ふぅ。ああいう衣装もなかなか肩が凝るね」

 

見慣れた姿に戻ったフェイリスと鈴羽を見て、俺たちもようやく日常に戻ったような気持ちになる。

 

「あれ?マユシィたちは?」

 

「まだ着替え終わってないから、もう少し待っててほしいって言ってたニャ」

 

まだ出てきてないのは、まゆりとかがりとルカ子か。

 

「なあなあオカリン。着替えってもしかして、まゆ氏たちとるか氏、一緒に着替えてるんかな?」

 

「いや、それはまずいだろう……」

 

まゆりたちが、というよりは、ルカ子の方が恥ずかしがりそうだ。

 

「意外と平然としてるまゆ氏にたじたじのるか氏。うぉぉ。萌えるお!」

 

盛り上がってるな……。

 

「ねえ、岡部さん。この人大丈夫なの?」

 

「平常運転だから平気だ。言動はああだけど、害はないよ」

 

「ダルニャンは萌えに魂を捧げた戦士なのニャ。それに、スーパーハカーなんだニャ!」

 

「それを言うならハッカーだろ、常考」

 

「ハッカー?それ本当なの?」

 

「大きな声では言えんけど、まあそんな感じの事もやってるから、何かあったら頼んでくれてもいいのだぜ」

 

「ふーん。そっか。だったら…」

 

真帆が何かを呟いたその時。

 

「OH!NO!」

 

突然、大声が響き渡った。声の方を振り返ると。

 

「ジャパニーズシャーマンガールはどこにいるんだい、リンターロ⁉」

 

レスキネン教授とレイエス教授がなんとも悲痛な面持ちで途方に暮れていた。

 

「真帆から、ここに来ればジャパニーズシャーマンガールに会えると聞いて来たのに、いないじゃない!」

 

「じゃ、ジャパニーズシャーマンガール…?」

 

「…巫女さんのことよ」

 

ああ、なるほど。

 

「今日はもう、巫女さんの出番は終了です」

 

「Holy cow! So I said we should come soon!」

 

「But You just enjoyed shopping too!」

 

ふたりの手には電気屋の福袋が提げられていた。どうやらここに来るまで散々買い物をしてきたようだ。

 

「どっちもどっちですよ!」

 

ふたりは真帆にこっぴどく怒られていた。もう参拝客もほとんどいないとはいえ、急に大声で叫んだのだ。変な注目を集めていた。背の高いふたりが、小学生みたいな見た目の真帆に怒られて、目に見えてしょんぼりしている、という構図も、それはそれで注目を集めていたが。

 

結局、ふたりは落胆しつつも神社のあれこれを眺め始めた。

 

「おまたせ、オカリン♪」

 

「随分遅かったな、まゆり」

 

「うん。るかくんのお母さんに、おせちいっぱいもらっちゃった。みんなで食べなさいって」

 

「お母さんがあれも持って行け、これも持って行けって。詰め直してたらこんな時間になってしまいました。すみません」

 

「いや、こっちこそ、気を遣ってもらって悪いな」

 

ルカ子のお母さんはかなりの世話焼きだ。過去に訪れた時にも、何度か晩御飯をごちそうになったことがある。食べきれないほどの量を作って出してくれた。

 

「Exxuse me. ちょっといいですか?」

 

と、レスキネン教授がルカ子に話しかけた。ルカ子はその大きな体を見て、分かりやすく身体が強張っている。

 

「あ、はい…」

 

「お参り……というのはどうやるんですか?」

 

「あ、えっと……First of all, we should purify our hands and mouth there」

 

「なっ!」

 

ルカ子が、流暢な英語で応えている。

 

レスキネン教授とレイエス教授はうんうんと頷き、ルカ子の案内に従って詣でに行った。

 

「ルカ子、すごいな……あんなに英語を喋れるとは…」

 

「るかくん、頭いいからね~」

 

そうだったのか……。

 

「それに、秋葉原は観光の人が多いから、なにか訊かれてもいいように、勉強してるんだって」

 

ルカ子の意外な一面だった。あの父親からよくもこんな立派な娘……息子が育ったものだ。

 

「そういえば、まゆり。かがりはどうした?」

 

「あれ?そろそろ出て来ると……あ、来た来た、ほら」

 

「ごめんね。お待たせしちゃって」

 

これで全員揃ったか。あとはルカ子が用を終えれば——。

 

そちらに目をやると、ちょうど終わったようだった。

 

「よし、じゃあラボに向かうか」

 

「あ、そのことなんですけど、実は私、この後急用が入っちゃって…」

 

「ええー⁉由季さん、来れないの?」

 

「ごめんね、まゆりちゃん。バイトで欠員出て、どうしても入ってくれって……」

 

「そっかぁ。それじゃあ仕方ないのです」

 

見ればダルも、鈴羽も残念そうに肩を落としていた。

 

「教授たちはこの後どうするんです?」

 

「私はこの後、用があるからね…」

 

「私もよ」

 

「今日はありがとう。すばらしい発見だらけだったよ。シャーマンガールには会えなかったがね。ハハハハハ!」

 

「ほんとうに残念だったわ。アレクシスがもっと早くに買い物を終えていれば会えたのに!」

 

「ジュディ。君だってたくさん買っていたじゃないか。と、リンターロ。お邪魔して悪かったね。たまには“クリス”にも会ってやってくれ」

 

ふたりの教授は顔を綻ばせながら、喧騒に飲まれていった。

 

「んじゃ、ボクたちも行こうか」

 

「そうだな」

 

由季さんが抜けたとはいえ、来るときに比べると倍になった人数を従え、俺たちは神社を後に、ラボへと向かった。

 

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