STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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「送っていただいて、ありがどうございます」

 

「いや…」

 

当然だが、あの後すぐに正月パーティはお開きとなった。せっかくまゆりが楽しみにしていた会ではあったが、あの出来事の後で続けられるほど、皆、能天気ではない。

 

全ての説明は後日改めてすると言い聞かせ、まずはそれぞれの安全確保のために、家に帰ってもらうことにした。天王寺親子を除いた全員で駅まで向かい、電車に乗る者だけを見送って、その後残ったメンバーで柳林神社まで来た。

 

残っているのは、ダル、鈴羽、ルカ子、そしてかがりだ。

 

「つけられてなかったか?」

 

「大丈夫、ずっと警戒してたけど、おかしな気配はなかった」

 

鈴羽がそう言うのだから間違いないだろう。

 

神社について一息ついたところで、無事に家に着いたという連絡が皆から続々とやってきた。SERNのラウンダーなら、あらゆる場所に手が伸びていてもおかしくない。つまり、狙いは俺たちラボ関係者ではなく、かがりだったということになる。

 

「やっぱり、私が狙われたのかな…」

 

「おそらくな…」

 

適当に誤魔化してもよかったが、かがりも納得しないだろう。そう言うしかなかった。

 

「連中、かがりたんのこと、知ってるんかな?」

 

「だろうな…」

 

SERNではない……。天王寺に知らされていない作戦である可能性はあるが、俺はそう考えている。だが、そうなると逆に、連中が何者なのか、推測すらできない。かがりが未来から来た事を知っている者たち。そう考えるのが妥当だ。

 

「……ごめんね。私のせいで、みんなまで危険な目に遭わせてしまって」

 

「君が謝ることじゃない」

 

幼い身で未来から連れて来られ、その後行方不明となり、いわば彼女の運命に翻弄されている被害者だ。

 

「でも、本当にいいんですか?警察に届けなくても…」

 

「……すまないが、今はまだ」

 

真帆たちにもさんざん言われた。でも、何とか頼み込んで、ひとまず保留にさせてもらった。そもそも、事情を説明したところで信じてもらえないだろうというのもある。それに、なによりもかがりの存在だ。警察にかがりの素性など話せない。

 

「で、これからどうする?」

 

「……とにかく、連中が何者か分からなければ、どうしようもない」

 

「じゃあ、あたしたちだけで突き止めるってこと?どうやって?」

 

「それは……」

 

分からない。だが、これ以上タイムマシンのことやかがりのことが明るみに出るのは避けなければならない。今日と同じような事がまた起こりかねない。

 

「ルカ子、頼みがあるんだが」

 

「は、はい。なんでしょう?」

 

「悪いが、今日から鈴羽も一緒に、お前のところに泊めてもらってもいいか?」

 

「え?」

 

「あたしが、るかにいさんの家に?」

 

「ああ。かがりを他で預かってもらうのも考えたんだが、ここの方が人数も多いし、防犯設備も整っている」

 

神社と言うだけあって、防犯カメラが何台も設置されている。

 

「かがりも、ここの方がいいんだろう?」

 

「…うん」

 

無理もない。ただでさえ記憶喪失で精神が不安定だというのに、今日の騒ぎだ。少しでも落ち着ける場所にいた方がいい。

 

「鈴羽がいてくれれば、みんな少しは安心できる。もちろん、ルカ子の家族の承認が必要だが」

 

「お父さんは、きっと大歓迎だと思います」

 

かがりのことも、公にはできないと理解してくれている人だ。おそらく深くは聞いてこないだろう。何か事情がある事を分かったうえで、受け入れてくれるはずだ。

 

「岡部さんと橋田さんはどうされるんですか?」

 

「るか氏の頼みなら、ボクも泊ってもいいのだぜ?」

 

「……兄さんは帰りなさい」

 

「しょぼーん…」

 

冷たくあしらわれるダルに、皆が少し笑った。ダルのバカなノリも、こういうときには役立つようだ。

 

「俺とダルは大丈夫だ。何かあったら連絡する。ルカ子たちも、何かあれば必ず連絡を」

 

「分かりました」

 

 

 

 

それから、俺とダルはラボに戻った。

 

「なぁ、あれ、ホントに起きたことなんだよな?」

 

「ああ」

 

「これってやっぱ、タイムマシン関係のことだよな?」

 

「そう、だな」

 

「かがりたんのこと、連中にバレてるってことっしょ?」

 

「それは間違いないな。奴らの狙いはかがりだった。どこで知ったのか、どうやって知ったのかは分からないが」

 

「オカリンが言ってた、SERNのラウンダーって奴らじゃないん?」

 

「それについては俺も考えた。だが、それならあの場に綯がいるのはおかしい。天王寺さんはこの辺りのラウンダーを取り仕切っている。あの人にも知らされていない作戦だった、というのであれば分からないが」

 

「SERN以外ってことか…」

 

「明日にでも、一応確認は取ってみようと思う」

 

「か、確認って、ブラウン氏に直接訊くん?オカリン、殺されるって…」

 

「だが……今日のことも説明しなければいけないしな」

 

そう考えると気が重い。適当に誤魔化してやりすごせるとも思えない。

 

「だからその前に、萌郁にコンタクトを取ってみるつもりだ」

 

「桐生氏?そういえば、あの人もα世界線で何かあるって言ってたっけ。ラウンダーなん?」

 

ダルが少しバツの悪そうな顔をする。偶然とはいえ、自分が萌郁にかがりの捜索以来を出したことを気にしているんだろう。

 

「お前の責任じゃない。俺も、今回のことは、萌郁がやったとはほとんど考えていないんだ。ただ、あのライダースーツの女は、鈴羽の強烈な蹴りを左手で受け止めていた。さすがに無傷、というわけにもいかないだろう」

 

「すごい音してたもんな」

 

「萌郁に接触するのは、その確認のためだ。左手に傷がなければよし。あれば萌郁がクロ、ということになる」

 

「可能性は低そうなわけね。それじゃあオカリンは、連中は何者だと考えてるん?何か心当たりがあったり…?」

 

俺たち以外にかがりを捜している連中。今考えつくのはそれくらいだ。だが、それが誰かは全く分からない。

 

「天王寺さんが正月早々、用事だと言って出かけていったのが気になってる。俺たちの他に、かがりを捜していた連中。SERNはそれについて何かを掴んだのかもしれない」

 

「その確認のためにブラウン氏は出かけて行ったってこと?」

 

「その可能性があるかもしれない、というくらいだが……」

 

やはり、その連中がどこでかがりを知ったのか。それが分からないことには辿って行くこともできない。かがりの記憶が戻れば、それについても分かるのだが。

 

「考えても答えはでない、な」

 

「みんなにも、今日の事を説明せんといかんし…」

 

それから俺たちは、皆にどう説明するのか、話し合いを続けた。

 

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