STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
「勇敢なる第三のアインシュタイン!」
「え?」
その声に振り替えると、大柄なレスキネン教授が大股でこちらに近づいて来ていた。そのままの勢いで俺の手をつかみ、ものすごい強引な握手をしてきた。
「あ、あの…俺……教授…その」
テンパる俺を見ながら笑う教授。
「しかし、私の助手を泣かせてしまったのは見過ごせないね」
「あ!いや!これは!」
にこやかな笑顔から一転。顔がぐっと引き締まる。
「ち、違います教授!私が勝手に!彼は関係ないですから!」
俺と彼女は揃って全力で否定した。だが俺は彼女がなぜ泣いたのかよく分かっていないから言い訳のしようがない。
「マホは、どうして泣いていたんだい?」
「く、紅莉栖です。彼と紅莉栖の話をしていたら、いろいろ感情が溢れてしまって…」
「クリス?」
教授の顔がまた変化した。
「彼は、クリスの友人なのかい?」
「え、あぁ…はい」
「岡部倫太郎さん。学生だそうです」
「…………」
教授は優しげな表情で、俺にゆっくりとハグしてきた。巨体によるハグで俺は窒息しそうになる。だが、それが紅莉栖への哀悼の意だと分かった。
「そうですか。そういうことならマホ」
「…はい?」
「ミスターオカァベに会わせてあげたらどうかな?彼女を」
「まさか、『Amadeus』を?」
「ここで彼に出会った偶然。その幸運を大切にしたいじゃないか。日本にいる間、彼にテスターになってもらってもいいよ」
「本気ですか?部外者なのにそんないきなり…」
「クリスの友人なら部外者ではなぁい。そうだろう?」
「ですが…」
いったい何の話だ?分からないが、せっかく舞い込んできたレスキネン教授との繋がりだ。ものにしておきたい。
「俺、ぜひお手伝いしたいです」
「Nice!」
教授は俺の方をぽんぽんと叩き、満足そうに笑った。
まるで子供みたいな無邪気な笑顔だ。
「じゃあ、詳細はマホに聞いて。よろしく」
教授は他の研究者に呼ばれて、俺たちの元を離れていった。
比屋定真帆は信じられないとでも言いたげに首を左右に振っていた。
「『Amadeus』に会せるとか、テスターとか、いったいなんの話なんだ?」
「コンペティションでやったデモンストレーション。『Amadeus』は私の記憶を使っていたんだけれど、もう一人分、研究者の記憶が保存してあるのよ」
もう一人分の研究者の記憶?
ここまでの会話から、その答えが導き出され、俺の心臓はドクンと高鳴った。
「まさか……あいつ、なのか?」
あいつがそこに——。
「そう。『Amadeus』の中には、牧瀬紅莉栖の記憶が保存されているわ。八か月前の紅莉栖だけれどね」