STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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世界線変動率

0.571082   →   1.053649

 

 

β世界線

 

 

α世界線から戻って来てから、俺はまず確認作業を急いだ。ラボにはまゆりとルカ子、そしてかがりがいた。驚くことに、かがりは未来のことを覚えていて、まゆりのことをママと呼んでいたのだ。

 

そして、階下のブラウン管工房でバイトをしているのだという。常に目を光らせておけるようにと、俺が天王寺に頼み込んだようだ。

 

まゆりもまゆりでそれを受け入れていた。ただ、かがりがラボまで——ルカ子の家で保護されるまでの経緯は変わっていなかった。1998年に鈴羽と逸れ、気が付いたら千葉の山道で倒れているのを保護され、今に至る、という流れだ。

 

未来のことは覚えていたが、この時代に来てからのことは覚えていなかった。おそらく——いや、間違いなく、この時代では、どこかに軟禁状態のような形で捕まっていたはずだ。身寄りのない10歳の子供が一人で生きていけるほど甘くはない。

 

「かがりはどうして、未来のことを覚えているんだ…?」

 

α世界線で紅莉栖が言ったように、この世界線では『Amadeus』が凍結されていた。そのため、真帆との出会い方も変化していた。紅莉栖が送ったDメールは、外部団体から『Amadeus』の研究にクレームを入れさせる内容のものだったらしい。

 

人間の記憶を持った人工知能を作ることは、人間の複製を作る事に等しく、神にのみ許される行為だとしてクレームが入った。そして夏頃に『Amadeus』は凍結されてしまった。

 

それでも、俺が真帆と出会ったのは、彼女が紅莉栖の亡くなった場所を一目見ておきたいから、という理由だった。ラジ館で俺たちは偶然出会ったのだ。

 

もちろん、俺のスマホから『Amadeus』のアプリは消えており、俺が『Amadeus』を知っていることに真帆は驚いていた。

 

そしてもう一つ。前の世界線では1月1日にラボが襲撃された。目的はかがりの誘拐。その説明のために、俺が天王寺に全てを話してしまい、俺はα世界線へと飛ばされた。だが、この世界線ではラボは襲撃されなかった。ただ、ラボで新年会のパーティは行われたらしく、真帆もそれに参加していた。

 

「変動前後で、変化したのは『Amadeus』の有無くらいのはず……」

 

それなのに、かがりを取り巻く状況が大きく変わっている。未来のことを覚えているのもそうだし、かがりを狙ったラボの襲撃がなかったこともそうだ。

 

「ラボを襲撃したのは、いったい誰なんだ?」

 

そいつらは、間違いなく『Amadeus』を知っている。『Amadeus』を通して、俺たちとかがりの関係を知ったはずだ。この世界線では『Amadeus』が凍結されているから、俺たちとかがりの関係性を見抜けなかった、ということだろうか。確かに、俺は変動前の世界線で、“紅莉栖”に椎名かがりという名前を漏らしてしまっていた。そこからかがりの名がバレてしまったのかもしれない。

 

α世界線に飛ばされる前、連中が口にしたK6205という番号について天王寺が教えてくれた。最後の5を、ファイブではなくファイフ、と発音していた。天王寺曰く、それはフォネティックコードと呼ばれる軍隊用語で、西側の軍でよく使われるらしい。

 

そういえば、カエデの話では、K6205と言えば、モーツァルトの曲につけられるケッヘル番号らしい。それとかがりの関連性は見えないが、何か関係があるのかもしれない。

 

 

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