『それではこれより、リバタリジム・ジムリーダーセリとチャレンジャー・ハイドによるバトルを行います。それでは…バトル開始!』
コートにモンスターボールが投げられる。僕が出したのはナゾノクサ、セリが出したのはウパー。イメージトレーニング通りである。
「ナゾノクサ…。ウパー対策にくさタイプを連れてきたんだね。でも、そう簡単には行かないよ!ウパー!マッドショット!」
ナゾノクサ目がけて、セリのウパーはマッドショットを繰り出す。しかし、ナゾノクサも素早さには自信がある。攻撃を掻い潜り、カウンターの一撃をウパーにお見舞いする、
「ナゾノクサ、躱してメガドレイン!」
みず・じめんタイプのウパーに対してくさタイプの攻撃は特に大きな効果を発揮する。場合によっては、この一撃でウパーを戦闘不能にすることも出来ると思っていたが…セリのウパーはまだ立っている。
「…リンドのみ、か。」
リンドのみ。くさタイプからの効果抜群の攻撃を1度だけ弱めることが出来るきのみ。
「ふふっ、そう簡単に落とせると思ったら大間違いだよ!ウパー、続けてマッドショット!」
先程同様、ウパーはマッドショットを繰り出した。だが、慌てる必要は無い。1発目と同じように、躱してから反撃のメガドレインでウパーは落とせる。
「ナゾノクサ、次で決めるよ。躱してメガドレイン!」
クリーンヒット。リンドのみも切れたウパーに、2度目のメガドレインは耐えきれずに戦闘不能だ。
『ウパー、戦闘不能!』
「…はは、すばしっこいねぇ、君のナゾノクサ!一発も当たらないなんて…。」
「ただくさタイプだからって選んだ訳じゃないんですよ。」
「ふぅん…?じゃあ…この子はどうかな…!」
セリは2匹目のポケモンを繰り出す。リサーチ通り、ひこうタイプのキャモメだ。ここはこちらも変えたいところだが、セリの3匹目のポケモンがまだ分かっていない以上、ニドリーノを消耗したくない。
「…ナゾノクサ、行ける?」
「余裕ですよ!!」と言っているかのようにぴょんぴょん飛び跳ねる。よし、この子を信じよう。
「…へぇ、ナゾノクサから変えないんだ?じゃあ遠慮なく!キャモメ、つばさでうつ!」
空中からキャモメがナゾノクサ目掛けて突っ込んでくる。ナゾノクサは先程同様、回避を試みた。しかし、その回避は失敗に終わった。ウパーのマッドショットでぬかるんだフィールドに足を取られてしまったからだ。
「っ…!ナゾノクサ…!…セリさん、さっきのマッドショットはこれを見越して?」
「ふふん…ほらほら、空ばっか見てると、足元掬われちゃうよ!」
「くっ…ナゾノクサ、メガドレイン!」
ひこうタイプとはいえ、みずの複合タイプ。効果いまひとつでは無いのだが、次の攻撃を耐えられるかどうか…。しびれごなやどくのこなも、空を飛ぶキャモメには当たる可能性が低い。もう少し確実に範囲を狙える技と言えば…。…次の一発、キャモメが近づいてきた時を狙ってみるしかない。
「キャモメ、決めて!続けてつばさでうつ!」
急接近して畳み掛けてくるキャモメ。このタイミングしかない。
「…今だ、ナゾノクサ。あまいかおり!」
あまいかおり。相手の回避率を大きく下げる技。超至近距離でこの技がまともに通れば、次のニドリーノも動きやすいだろう。しかし、それでもキャモメは翼をナゾノクサに直撃させた。ここでナゾノクサは戦闘不能になってしまったが、ウパーの戦闘不能とキャモメへの妨害。良くやってくれた。
「…お疲れ様、ナゾノクサ。ありがとうね。」
「…今の、後続の事も考えての選択?あはは…君もなかなかやるね…!」
「えぇ、さっきセリさんが教えてくれたんですよ。」
「あはは、そっか!いやぁ…そんな事言われたらジムリーダーとして嬉しくなっちゃうなぁ…!…さぁ、次のポケモンは?見た感じ、モンスターボールはあと1個だけど?」
「…あとはこいつが暴れてくれます。…ニドリーノ、行って!」
満を持して、ニドリーノのジム戦デビューである。いつもモンスターボールに入ってないからか、今にも動き回りたそうにうずうずしている。
「ニドリーノ、相手のキャモメはナゾノクサのお陰でもう消耗しきってる。…全部当てれるよな?」
ニドリーノはこちらをちらりと一瞥し、頷いたように見えた。
「よし…ニドリーノ!みだれづき!」
ヨロヨロと飛ぶキャモメを、ニドリーノのツノが確実に捉えていく。1発。1発。そしてもう1発。5発目を当て終えたところで、セリのキャモメは戦闘不能になった。
「むぅ…流石にあまいかおりが効いてた…?それにしても、君とニドリーノの呼吸、バッチリだね…!?」
「はは、そう言って貰えるとこいつも喜びますよ。」
セリのポケモンはあと1匹。対するこちらは、万全な状態のニドリーノ。互いに勝ちの目は十分にある。
「さぁ…私の最後の1匹。この子を倒せば、君も晴れてジムバッジ1つ目ゲット!…準備はいい?」
「…えぇ、もちろん。」
「…豹変する波の恐ろしさ、その身で持って味わって!」
セリの3つ目のモンスターボールが投げられた。
繰り出されたポケモンはクズモーだ。
「この子はウパーやキャモメとは違う、正真正銘『海中』のポケモン。海の波に揉まれたこの子の強さ、思い知らせてあげる!」
はじめてのジム戦で、最後の1匹がどくタイプのポケモン。ニドリーノ、君も思ってることは僕と同じだよな。あぁ、そうだ。
「絶対に負けられない」、だろ?