紫陽花が夢を掴むまで   作:通俗的な丑の時参り

9 / 21
【第7話 VSセリ(前編)】

『それではこれより、リバタリジム・ジムリーダーセリとチャレンジャー・ハイドによるバトルを行います。それでは…バトル開始!』

コートにモンスターボールが投げられる。僕が出したのはナゾノクサ、セリが出したのはウパー。イメージトレーニング通りである。

「ナゾノクサ…。ウパー対策にくさタイプを連れてきたんだね。でも、そう簡単には行かないよ!ウパー!マッドショット!」

ナゾノクサ目がけて、セリのウパーはマッドショットを繰り出す。しかし、ナゾノクサも素早さには自信がある。攻撃を掻い潜り、カウンターの一撃をウパーにお見舞いする、

「ナゾノクサ、躱してメガドレイン!」

みず・じめんタイプのウパーに対してくさタイプの攻撃は特に大きな効果を発揮する。場合によっては、この一撃でウパーを戦闘不能にすることも出来ると思っていたが…セリのウパーはまだ立っている。

「…リンドのみ、か。」

リンドのみ。くさタイプからの効果抜群の攻撃を1度だけ弱めることが出来るきのみ。

「ふふっ、そう簡単に落とせると思ったら大間違いだよ!ウパー、続けてマッドショット!」

先程同様、ウパーはマッドショットを繰り出した。だが、慌てる必要は無い。1発目と同じように、躱してから反撃のメガドレインでウパーは落とせる。

「ナゾノクサ、次で決めるよ。躱してメガドレイン!」

クリーンヒット。リンドのみも切れたウパーに、2度目のメガドレインは耐えきれずに戦闘不能だ。

『ウパー、戦闘不能!』

「…はは、すばしっこいねぇ、君のナゾノクサ!一発も当たらないなんて…。」

「ただくさタイプだからって選んだ訳じゃないんですよ。」

「ふぅん…?じゃあ…この子はどうかな…!」

セリは2匹目のポケモンを繰り出す。リサーチ通り、ひこうタイプのキャモメだ。ここはこちらも変えたいところだが、セリの3匹目のポケモンがまだ分かっていない以上、ニドリーノを消耗したくない。

「…ナゾノクサ、行ける?」

「余裕ですよ!!」と言っているかのようにぴょんぴょん飛び跳ねる。よし、この子を信じよう。

「…へぇ、ナゾノクサから変えないんだ?じゃあ遠慮なく!キャモメ、つばさでうつ!」

空中からキャモメがナゾノクサ目掛けて突っ込んでくる。ナゾノクサは先程同様、回避を試みた。しかし、その回避は失敗に終わった。ウパーのマッドショットでぬかるんだフィールドに足を取られてしまったからだ。

「っ…!ナゾノクサ…!…セリさん、さっきのマッドショットはこれを見越して?」

「ふふん…ほらほら、空ばっか見てると、足元掬われちゃうよ!」

「くっ…ナゾノクサ、メガドレイン!」

ひこうタイプとはいえ、みずの複合タイプ。効果いまひとつでは無いのだが、次の攻撃を耐えられるかどうか…。しびれごなやどくのこなも、空を飛ぶキャモメには当たる可能性が低い。もう少し確実に範囲を狙える技と言えば…。…次の一発、キャモメが近づいてきた時を狙ってみるしかない。

「キャモメ、決めて!続けてつばさでうつ!」

急接近して畳み掛けてくるキャモメ。このタイミングしかない。

「…今だ、ナゾノクサ。あまいかおり!」

あまいかおり。相手の回避率を大きく下げる技。超至近距離でこの技がまともに通れば、次のニドリーノも動きやすいだろう。しかし、それでもキャモメは翼をナゾノクサに直撃させた。ここでナゾノクサは戦闘不能になってしまったが、ウパーの戦闘不能とキャモメへの妨害。良くやってくれた。

「…お疲れ様、ナゾノクサ。ありがとうね。」

「…今の、後続の事も考えての選択?あはは…君もなかなかやるね…!」

「えぇ、さっきセリさんが教えてくれたんですよ。」

「あはは、そっか!いやぁ…そんな事言われたらジムリーダーとして嬉しくなっちゃうなぁ…!…さぁ、次のポケモンは?見た感じ、モンスターボールはあと1個だけど?」

「…あとはこいつが暴れてくれます。…ニドリーノ、行って!」

満を持して、ニドリーノのジム戦デビューである。いつもモンスターボールに入ってないからか、今にも動き回りたそうにうずうずしている。

「ニドリーノ、相手のキャモメはナゾノクサのお陰でもう消耗しきってる。…全部当てれるよな?」

ニドリーノはこちらをちらりと一瞥し、頷いたように見えた。

「よし…ニドリーノ!みだれづき!」

ヨロヨロと飛ぶキャモメを、ニドリーノのツノが確実に捉えていく。1発。1発。そしてもう1発。5発目を当て終えたところで、セリのキャモメは戦闘不能になった。

「むぅ…流石にあまいかおりが効いてた…?それにしても、君とニドリーノの呼吸、バッチリだね…!?」

「はは、そう言って貰えるとこいつも喜びますよ。」

セリのポケモンはあと1匹。対するこちらは、万全な状態のニドリーノ。互いに勝ちの目は十分にある。

「さぁ…私の最後の1匹。この子を倒せば、君も晴れてジムバッジ1つ目ゲット!…準備はいい?」

「…えぇ、もちろん。」

「…豹変する波の恐ろしさ、その身で持って味わって!」

セリの3つ目のモンスターボールが投げられた。

繰り出されたポケモンはクズモーだ。

「この子はウパーやキャモメとは違う、正真正銘『海中』のポケモン。海の波に揉まれたこの子の強さ、思い知らせてあげる!」

はじめてのジム戦で、最後の1匹がどくタイプのポケモン。ニドリーノ、君も思ってることは僕と同じだよな。あぁ、そうだ。

「絶対に負けられない」、だろ?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。