ブルアカRTA風味 実績『予定外のハッピーエンド』獲得まで 作:Katarina T
チャートが瀕死のRTAはーじーまーるよー……。
はい、皆さんどうも。
前回は予定外のシロコとのエンカウントこそありましたが、無事に何事もなくアビドスから帰ってこられたところでしたね。
いや~、本当に何事もなくてよかった、よかった。
ここまで若干チャートから外れてはいますが、その分、育成面や武器は過去最高クラスに仕上がっていますからね。
これなら十分巻き返せます。いや、むしろお釣りが来るくらいです。
もう、順調すぎて困っちゃうな~~。
あはっはっはっ!
だから決して、目の前に死んでいるはずの生徒会長なんていないんです。
はい、絶対にいるはずがありません。
これはそう、日頃の疲れが見せる良くない幻なんです。
決して、トウハちゃんがゲーム開始前に脱水症で死にかけていたユメ先輩を偶然拾っていたとか、トウハちゃんの名義で最高の医療器具が揃っているトリニティ総合病院に入院させたおかげで命だけは助かったとか、意識不明の状態が続いて今も身元すら分からないまま昏睡状態が続いているとか、そんなことがあるわけありません。
そう、あるわけない………はずだったんですよ!!!
いや、トウハちゃん!ホントなにやってんの!?
なに、しれっとアビドス編のストーリーを根元からぶっ壊そうとしてんの!
なんで他校の生徒会長を拾ってきてんの!!
というか、いったいどっから拾ってきたの!!!
ふーーざーーけーーるーーなーー!!!!
はあ……はあ……はあ……。
まあ、言っても仕方ありません。
切り替えていきましょう。
原作未視聴の先生方のために、目の前で眠っている生徒について軽く説明すると、この生徒の名前は梔子ユメといい、この『ブルーアーカイブ』という作品において、現状唯一、死亡が確認されている生徒です。
そう、この生徒は原作開始前にすでに亡くなっているはずの生徒であり、ここにいること自体、本来ならあり得ない人物です。
この生徒が亡くなった原因について詳しい説明は省きますが、一言で言うと、アビドス砂漠で遭難して干からびてしまったんです。
そして、この梔子ユメという生徒ですが、前回説明した小鳥遊ホシノのたった一人の先輩であり、ホシノが前回説明したような、責任感と自己嫌悪の狭間でめちゃくちゃになっている原因でもあります。
先ほど説明したとおり、梔子ユメの死因は砂漠での遭難による脱水症状なのですが、遭難する前日、小鳥遊ホシノは梔子ユメに対して辛く当たってしまったんです。
その結果、梔子ユメは一人で砂漠を横断することになり、遭難してしまいました。
そのことに対して小鳥遊ホシノは責任を感じており、前回説明したような、お辛い心理状態になってしまったというわけです。
さて、ここで皆さんに一つご報告を。
前回、ホシノたちに会うのはアビドス編終了後と言ったな……。
あれは、嘘だ!デデン!!
なぜかと言うと、今こうしてユメ先輩が生きていることで、ストーリーにどれだけ影響が表れてくるのか確かめる必要が出てきたためです。
トウハちゃんの口から梔子ユメや小鳥遊ホシノ両名の名前が出ていないので、二人と知り合いということはなさそうです。
そこは心配していません。
問題は、今現在のホシノの心理状態がどうなっているのかです。
ホシノというキャラはアビドスストーリーの中心人物、まごうことなきキーキャラです。
彼女の行動次第でストーリーは大きく変わってしまいます。
いや、割と冗談抜きで、彼女の心理状態次第ではアビドス編自体が発生しなくなってしまい、この後に控えているストーリー、特にエデン条約編にまで大きな影響が出てしまいます。
そうなってしまっては、もうチャートなんて何の役にも立たなくなってしまうので、リセット確定です。
正直、今の段階でリセット一歩手前の崖っぷち状態ですが、ここまでトウハちゃんとアリシアちゃんの育成状態など、下準備がなんだかんだ上手くいっているので、まだ耐えられています。
なので、ここでは多少のタイムロスや初期好感度を犠牲にしてでも、早急に今のホシノの状態を確認し、せめてアビドス編第二章が発生するかどうかを確かめなければならないわけです。
では、ホシノを含めたアビドス組と接触するタイミングですが、一か所しかありません。
それは…………ヒフミと同じく、彼女たちがブラックマーケットにやって来た時です。
ブラックマーケット内であれば、ヒフミ同様に何か探し物があって出入りしている、という言い訳を使うことができるので、不信感を持たれる心配はありません。
なんなら、ここでヒフミとコンタクトを取っておけば、来るべきエデン条約編でヒフミとの好感度が稼ぎやすくなり、交流もしやすくなります。
では、なぜ元のチャートではここでの接触を避けるようにしていたのか。
前にも言ったように、操作キャラがトリニティ生の場合、結構な割合で不良生徒に絡まれて戦闘になることが多いからです。
不良生徒との戦闘は、ドロップアイテムもなく、得られる経験値もあまり高くないという、はっきり言って無意味な戦闘です。
おまけに複数人で襲ってくることが多く、どうしても戦闘時間が長くなってしまうという、極力起きてほしくないイベントなのです。
さらに言うなれば、ここで無理にヒフミとコネを作らなくても、彼女の性格はトウハちゃんと同じく善性であるため、すぐにでも仲良くなれます。
つまり、本来ここでブラックマーケットに行くことには何の旨味もなく、無駄にタイムが加算されてしまうリスクがあるだけだったので、元のチャートでは外していました。
まあ、今回は行かなきゃなんですけどね。
アハハ……ハア。
ええい!嘆いていたってしょうがありません!
こうなってしまった以上、準備を整えておきましょう。
アビドス組と先生がブラックマーケットに行くのは、今から四日後です。
それまでは、トウハちゃんとアリシアちゃんで極力アビドスに関することを調べ上げておきましょう。
取れる情報はランダムで、大抵はどうでもいい情報がほとんどですが、稀にカイザーコーポレーションについての情報を入手することができます。
カイザーコーポレーション、以降カイザーについての説明は長くなるので、各自で調べてください。
まあ、簡単に言えば、あくどい大企業で、アビドス編の敵組織といった感じです。
このカイザーやアビドスの現状に関する情報を先生に渡しておけば、先生たちが今のアビドスについて正しく理解するまでの時間が短くなり、対策を立てるのも早まるので、タイムを縮められます。
まあ、言っても雀の涙程度の短縮量ですし、労力には完全に見合っていませんが、やらないよりはマシです。
この先何が起こってもいいように、準備できることはやっておきましょう。
では、当日まで倍速です。
はい、当日になりました。
この数日間、トウハちゃんとアリシアちゃんが頑張って情報を集めてくれたおかげで、なんとカイザーがアビドスの土地を買っているという情報を入手してくれました。
今のタイミングでこの情報を先生に伝えても、そこまで役には立ちませんが、この先ストーリーが進んでいけば、先生が核心にたどり着くための助けになるかもしれません。
それ以外は、特に変わったことはありません。
せいぜい、情報収集の過程でトウハちゃんとアリシアちゃんに少し経験値が入った程度です。
なので、早速ブラックマーケットに向けて出発しましょう。
今回は戦闘を極力避ける都合上、一人で行動した方がいいので、残念ながらアリシアちゃんは今回お留守番です。
‐「アケミチトウハ、出かけるの?……私、今日は一緒に行かない。」‐
おや?
こちらが連れて行かないことを伝える前に、珍しくアリシアちゃんの方から同行を拒否してきましたね。
正直、今までの傾向から、付いていきたいと駄々をこねられると思っていたので助かりますが……。
何かやりたいことでもあるんでしょうか?
‐「うん。そんなところ。アケミチトウハは心配せずに出かけてくるといい。」‐
あら、そう?
じゃあ遠慮なく、行ってきまーーす!
見たところ、トウハちゃんへの好感度が下がって同行を拒否した、という感じではなさそうなので、大丈夫ということにしておきましょう。
なに、今のアリシアちゃんは学習も済んでいるので、以前の訓練場のようなことは起きないでしょう。
それより今は、ストーリー進行の方が重要です。
ですが、私はそこまで心配していません。
確かにユメ先輩は生きていますが、意識もない昏睡状態。
この数日間も何回か状態を確認しに病室へ行きましたが、起きる気配はありません。
これならストーリーに関わってくることはありますまい。
唯一、ユメ先輩の生存をホシノが知っているかどうかが問題ですが、トウハちゃんの反応からして、知らない可能性が高いです。
つまり、ストーリーには何の影響もない!
私の完璧なチャートは壊れない!!
私ってば最強ね!!!
アーハッハッハッ!!
最後に笑うのは私じゃあーーーー!!!
では、ブラックマーケットに出発するところで今回はここまで。
ご清聴ありがとうございました。
次回もお楽しみに~~。
□□□
アケミチトウハが出かけていくのを見送った、すぐ後。
私も……アリシアも部屋から飛び出し、目的地に向かって歩き出した。
普段であれば、アケミチトウハと片時も離れたくないので、当然一緒に付いていくのだが……。
今回は、何故かこちらを優先しなければならないと思った。
……なぜ?
私は、自分の中で発生した不確かなデータに従うように、目的地へ向かう速度を上げる。
元々そこまで遠い距離でもない。
その上、私の速度は速い。
あっという間に目的地…………アケミチトウハは確か、病院と言っていた場所に着いた。
私は施設に入り、奥へと進む。
アケミチトウハと何回も来ているので、場所は知っている。
「………ついた。」
扉を開け、中に入る。
前に来た時と変わらない。
眠っている人がいるベッドの横に立ち、その人のことを覗き込む。
「あなたは……だれ?」
……返事はない。
眠っているのだから当然だ。
私はその人の手に、そっと触れてみる。
…………反応はない。
私は改めて、ベッドの上の………名前も知らない誰かを見る。
瞳を閉じ、動くことなく、ただ眠り続けている人。
その姿に私は……
「………似てる。」
以前の私を重ねていた。
アケミチトウハに出会う前、ずっとずっと、ただ眠り続けているだけだった私。
何も知らない。何も分からない。
ただ一人でいるだけの………そんな私の姿が、目の前の人に重なる。
一見すると、死んでいるのではないかと思うくらい、何の反応もない。
けれど………触れている手から伝わる温もりが、確かにこの人が生きていることを証明してくれた。
私は、触れている手をぎゅっと握るように繋いだ。
アケミチトウハとは違う形であるが、同じ物が流れている私にはない物が流れている手。
その手を握りながら、私は考える。
私は何故ここに来たのか。
私はどうしたいのか。
私は……今、何を感じているのか。
分からない。
自分のことなのに理解できない。
ベッドの上の誰かを見るたびに、変なエラーが溜まっていく。
分からない。……分からない。………分からない。
「………アケミチトウハ。私は……どうすればいい。」
アケミチトウハと初めて会った時のことを思い出す。
私の時間が動き出した時のこと………私がアリシアになった日のことを。
私はあの時、確かに「うれしい」を感じた。
だから、私も同じことをしたいと思った。
でも、どうしてか分からない。
私は………なんで………なんでこの人のことを。
………その時、私の頭に不思議なデータが流れ込んできた。
「まずユメは、"なんか"では、ありません。ユメは、とっても優しくて、強い人です。私はユメ"だから"仲間に成りたいと……一緒に冒険したいと思ったんです。」
「それに、さっき奇跡みたいって言っていましたが、確かにそうかもしれません。ですが、例え奇跡なんて起きなくたって、何度でも私がユメの手を掴んで仲間に誘います。」
「例えユメが何者であろうとも、断られても、どこかに消えてしまっても、必ず見つけ出して助けて見せます。私は仲間を絶対に見捨てません。」
「………そっか、分かった。」
私は手を繋ぎながら、アポカリプスの一つを眠っている人の頭に取り付け、もう一つを自分の頭に取り付ける。
分からないことは多い。
この人のことも、まだ何も知らない。
私が今感じているエラーのことも、まだ理解できていない。
………けど、今、私がすることだけははっきりと分かる!
「アポカリプス、起動開始。」
『CONNECT ON……DIVINGLINK START 』
私がすること!私がしなきゃいけないこと!!それは!!!
「私は………私は絶対に約束を守って見せます!!だから待ってて下さい!!……
私がそう言うのと同時に、私の意識は暗転していった。