※コミック版を参考にしているので、話の流れはコミックと同じです。
※展開及び原作キャラにオリジナル設定や捏造が入っています。
※原作キャラの登場には偏りがあります。
以上の注意を踏まえて閲覧して下さい。
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「あら、お客様?ようこそ、『異世界の入口』へ……」
何もない、ただ光と闇のみで構成されたような空間。
闇という空間に光が漂っている、とも捉えられる。
その空間に響く女性らしき声。
しかし、声の主たる女性の姿は、どこにも見当たらなかった。
「ふふふ……。見えなくて当然。だって、私に姿はありませんもの。……さて、まだ自己紹介をしていませんでしたね?私は『異界の紡ぎ手』、些か、『異世界を旅する者の案内人』とも言えます。……とは名乗ってみたものの、やっぱり呼び辛いですよね?では私の事は“ナーレ”とお呼びください」
そう言うとクスリと笑った。
「それでは、本題に移りましょうか」
突然、目の前にかなり年季の入った大きな本棚が現れる。
本棚にはびっしりと本が収められていた。
分厚さや背表紙の色や書かれている文字も様々。
『異界の紡ぎ手』……もとい“ナーレ”は、その膨大な量の本の中から、一冊の本を取り出した。
暖かな光を放つ不思議な本。
けれども、少し悲しみを帯びているような気がした。
「この世界の名は『ルミナシア』。まだ一度も大いなる実りをつけていない、若い世界達の一つです」
“ナーレ”はそう言うと、姿なき手で優しく背表紙を撫でる。
「今、『ルミナシア』は危機的状況に陥っています」
空間を漂う光の中の一つから、綺麗な宝石らしき物が現れる。
「これは『星晶(ホスチア)』という、生命の源『マナ』を発するエネルギー鉱物です。これを巡って、ルミナシアの民達は、争いを幾重にも繰り返してきました。そして、今も……」
先程の光から、さっきとは別のものが現れる。
人と人――中にはヒトとは違う者も居た――が争っている……いわゆる、戦争している場面だった。
「近年、この『星晶』採掘を過剰に行ったが為に、近辺の自然や生態系のバランスが崩れ始めています。それだけではありません……。大国による、小さな村や町の植民地化も増えています」
“ナーレ”は、一つ溜め息を吐いて、『ルミナシア』の本のページを一枚捲った。
そのページには、大きな大樹と一人の“人間”、そして、それらを取り囲むようにたくさんのヒト達が描かれていた。
「『ルミナシア』には、ある予言が遥か昔より語り継がれています。――世界樹より生み出されし者、『ディセンダー』です」
再び新たなページを捲る。
「『ディセンダー』は、世界が危機に陥った際に現れ、その危機に立ち向かい、そして、世界を救い、世界樹へと還る……。過去の履歴も、世界に関する一切の知識も持たず、産み落とされる存在……。世界樹の分身、とも言えます」
また新たなページを捲った。
しかし、そのページには、何も書かれていなかった。
「この物語は、まだ始まったばかりです。だから、何も書かれていないのです。――うふふ……。ここで、グダグダ話していても、理解しづらいでしょ?ならば、共に見届けてくれませんか?この『輝き始めた自由の物語』のすべてを……」
“ナーレ”がそう言った瞬間、何も書かれていないページから眩いほどの閃光が放たれた。
―――まるで、これがすべての『始まり』と言わんばかりに……―――
†
―――その時、世界樹は、一つの光を生み出した。
―――光は、流れ星のように、ある場所へと落ちて行った。
―――そう、これがすべての始まりだった。
―ルバーブ連山―
「あれ、何だろう……?」
桃色の髪に、紅葉を模した髪飾りを付けた少女は、あるモノを見た。
――流れ星のような光が目の前を通り過ぎて行った――
しかし、今はまだ昼だった。
こんな時間帯に流れ星を目撃するのは、普通有り得ない。
「確かめに行こう」と少女は、その流れ星が向かったと思われる場所へ走り出した。
―ルバーブ連山・ルバーブ峠―
「あ……」
少女が辿り着くと、流れ星はそこに居た。
よく目を凝らして見てみると、驚く事に、その中に『人』が蹲るようにしていたのだ。
「ひ、人だ!人が空から降りて……!?」
少女は、恐る恐る近づいて行く。
すると、流れ星は少女の元へゆっくりと降りてきた。
少女は、両手を差し伸べ、その光の中の『人』を、優しく受け止めた。
昏々と眠り続ける『彼』は、静かに少女の腕の中へと納まった。
「……うっ……」
ふと、意識が鮮明になった。
目を開けると、真っ青な空が見えた。
今まで眠っていた所為か、太陽の光が異様に眩しい。
「あ!気がついたのね!よかった……」
視線を横に向けると、桃色の髪の少女が居た。
安堵の表情で自分を見ていた。
とりあえず身体を起こして、少女に訊いてみた。
「……誰……ですか?」
「私はカノンノ、“カノンノ・グラスバレー”。あなたは?」
少女――カノンノは笑顔でそう名乗った。
別に悪い人ではなさそうだ。
一目見て分かった。
だから、ここは名乗っておこう。
「……“エルフリア”……です」
「エルフリア……。良い名前ね」
そう言って、カノンノはまた笑った。
「空から降りてきたんだもん。すっごく驚いたよ!」
「……空、から?」
「覚えて無いの?あなた、空から降りてきたのよ」
そう言われても、自分には全く覚えがなかった。
大体、さっきまで昏々と眠っていたから、覚えがないのも頷けるが……。
「とにかく、ここは危険だから早く下山しよ?う~ん、そうだな~……。とりあえず、船までおいでよ!船に乗ったら、あなたの希望する場所へ送ってもらえるように伝えるから」
「……船?……希望する場所?」
「どこかに行くつもりだったのでしょう?」
これもまた、エルフリアには覚えがなかった。
どこかに向かおうとしていたのか、そもそも、『ここがどこなのか』すら分からなかった。
それをカノンノに伝えると、カノンノは驚いて、オロオロと混乱し始めた。
「あなた、もしかして……『記憶喪失』なの?」
「……分かりません。でも、多分……そうだと、思います」
「うう~ん、どうしよう……。ここに置いて行く訳にもいかないし……」
カノンノが必死で思考を巡らせていた、その時……!
『グワァッ!!』
『!!』
バサバサ、と音を鳴らしながらアックスピークと虫特有の羽音を立てるキラービーが数匹の群れで現れた。
カノンノは、咄嗟の判断で愛剣『オータムリリィ』を構える。
この程度のレベルの敵なら一人でも相手仕切れるかもしれないが、油断大敵だ。
自然と柄を握っている手に力が入る。
『グワァッ!!』
再度、魔物達が吠える。
と同時にアックスピークが空高く羽ばたき、急降下してきた。
カノンノはそれを何とかかわしていく。
そして、その隙を狙う様にキラービーが針で刺そうと突撃してくる。
「はっ!やっ!たあっ!――虎牙破斬!!」
カノンノは、力任せに大剣を振るう。
周りにいたキラービー達を確実に倒していく。
だが、そこにアックスピークが突進してきた。
すぐに防御するも、勢いに負けて尻餅をついてしまう。
その間に、攻撃を仕掛けようと近づいてくる魔物達。
(だ、だめ……っ!?)
カノンノが覚悟した―――刹那……!
銃声が轟いた。
それも、何回も何回も、銃声が轟く。
カラン、カラン、と空になった弾が地面へ落ちていく。
バタバタと一部の魔物達が、凶弾に撃たれ倒されていく。
カノンノは銃声の聞こえる方を見た。
そこに居たのは……
「エルフ、リア……?」
二挺拳銃を握っている、エルフリアの姿だった。
「……大丈夫、ですか……」
「う、うん。大丈夫!」
「……僕が、援護します……」
「えっ……いっしょに、戦ってくれるの?」
その言葉に、エルフリアは頷く。
カノンノの顔がパっと明るくなった。
そして、力強く頷いた。
「うん!じゃあ、いっしょに戦おう!」
カノンノがそう言うと、エルフリアは微かに、『笑った』。
―コンフェイト大森林―
カノンノがエルフリアと出会う少し前……。
世界樹が光を放った頃、『彼女』はその様子をただ静かに見ていた。
むしろ、呆れ半分に……と言っても過言ではない。
だって、事実なのだから。
「人は愚かで罪深い、故に……堕落する。だから、『ディセンダー』というシステムが生まれた」
『彼女』は、じっと光が向かった方向を凝視する。
まるで、すべてを悟ったかのように……。
「いくら正しても、正しても、人は過ちを犯し続ける……。さて、そんな愚かな人類を、貴方は正せるかしら、『自由の名を持つ混沌の光』―――」
最後にその名前を告げたが、自然のざわめきが『彼女』の言葉を掻き消した。
ざわめきが途絶えた後には、もうその場には『彼女』はいなかった……。
†
「さあ、今日はこのくらいにして、もうお休みになってください。先程も言ったように、この物語は始まったばかり……。急ぐことはありませんよ」
“ナーレ”はそう言うと、静かに笑った。
「それでは、またお会いしましょう。うふふふ……」
†続く†
【オリキャラ紹介】
・エルフリア(外見年齢:17~19 性別:男)
一人称:僕
容姿:
毛先が紫になっている黒髪。後ろ髪を一つにくくっている。アホ毛がある。
眼の色は金色。銀フレームの伊達眼鏡をかけている。
服装は赤いワイシャツに白のロングコート、黒のロングパンツ、金色の複雑な模様の入った黒ネクタイ。
身長は175~180位。色白。
備考:
世界樹が光を放った日に、突然空から降りてきた記憶喪失の青年。名前以外の記憶がない。
普段から「です・ます」口調で会話する。だが、記憶を失ったショックからか、話すのは得意ではない。
冷静沈着で感情をあまり表に出さない。しかし、怒ると饒舌になる。
あまり人と接する事は好まないが、困っている人は放っておけない性格。
クレスのダジャレが効かない位天然な部分も見られる。
武器は主に銃を使い、遠距離からの戦闘を得意としている。状況に応じて、ナイフによる近距離攻撃も可能。
時々記憶の断片らしき光景を思い出す事があり、その度思い悩んでいる。
甘い物が好き。
武器:二挺拳銃、ナイフ
読了いただきありがとうございます。
初めまして、『翠川 颯』と申します。不定期ながら小説を書いています。
まだまだ物書きとしては未熟者ですが、よろしくお願いいたします。
この小説は以前別サイトで連載させていただいていた物の修正版となります。
現在、そのサイトがアクセス不能状態が続いていまして、回復を待っていたんですがなかなか繋がらず、今更ながらこちらに移動させることとなりました。
これから、こちらでこの小説を不定期ではありますが続けていこうと思います。
それでは、また次回お会いしましょう!