※コミック版を参考にしているので、話の流れはコミックと同じです。
※展開及び原作キャラにオリジナル設定や捏造が入っています。
※原作キャラの登場には偏りがあります。
以上の注意を踏まえて閲覧して下さい。
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「あら。また来て下さったのですね」
最初に出会った時と同じように、暗い空間で“異界の紡ぎ手”―――“ナーレ”が語りかける。
「では、今回のお話へ入る前に、少し前回のおさらいをしておきましょうか」
そう言うと、ポオ…、と一つの光が現れる。
「前回は、記憶喪失の青年“エルフリア”と“カノンノ・グラスバレー”が出会い、そこで魔物の群れに襲われた所と、別所で謎の人物が登場した所まででしたね」
光の中に話の内容と同じ映像が流れる。
「今回は、後に世界を救う事となったギルド――アドリビトムの登場です。さて、これからどうなるのやら……。それでは、参りましょうか」
光が本の形へと変わり、数枚のページが捲られる。
そのページから眩い光が放たれ、辺りは閃光に包まれた―――
†
あれから数十分の時が流れた。
何とか魔物の群れを退けたエルフリアとカノンノは、足早に下山し、現在登頂口付近を少し脇に逸れた場所に居た。
カノンノの話では、ここで迎えと落ち合うことになっているという。
「あれ、まだ来てないみたい。ちょっと早かったかなぁ?」
カノンノは空を見上げて言う。
まだ迎えの船とやらは来ていなかったようだ。
「……ねぇ、エルフリア」
「……何ですか?」
「あの、あの時は……ありがとう」
カノンノの言う“あの時”というのは、先の戦闘中にエルフリアが不意を突かれてしまったカノンノを救った時の事だ。
「……別に、当然の事をしただけ……です。それに……あれはただ、早急に敵を殲滅するために、キミを援護しただけ……だから」
エルフリアは、素っ気なく言う。
「でも、助けてくれた事に変わりはないよ」
カノンノは、そう言うと微笑む。
その時、エルフリアは、心の奥底で何かを感じた。
それが何なのかは、分からない。
けれど、何かあたたかなものを感じたのは、間違いではなかった。
エルフリアがそう考えていた、その時……
「あ!迎えが来たよ!」
カノンノが空を見上げながら叫ぶ。
エルフリアも空を見上げる。
ゴウン、ゴウンと機械特有の低音を響かせ、船はゆっくりとカノンノ達の前へと降りてきたのだった。
―バンエルティア号・ホール―
「アンジュさん、今戻りました」
「お疲れ様、カノンノ。……ところで、そちらは?」
「あの、実は……」
カノンノは、これまでの経緯を話した。
「それで、彼をここに連れてきたのね」
「はい。ここなら情報も集まるし、そのうち何か思い出せるんじゃないかと思って……」
「そうねぇ。話を聞く限り、体力には自信がありそうだし……。エルフリア君さえ良ければ、ここで働いてもらいたいのだけれど……」
アンジュが『ギルドで働かないか』と提案してくる。
事実、自分には行くべき場所すらも分からない。
どうせならここで働いて、記憶を地道に思い出していった方が効率も良いだろう。
「……分かりました。ここで、働きます」
「決まりね!それじゃあ、これから貴方はここ、ギルド“アドリビトム”の一員として迎えるね。あ、わたしはアンジュ・セレーナ。このギルドのリーダーよ。よろしくね♪」
「……よろしく、お願いします……」
こうして、エルフリアは“アドリビトム”に加入を果たしたのだった。
――翌日……
エルフリアは、カノンノと共にブラウニー坑道を訪れていた。
依頼の中には採取・採掘を依頼される事もあるという事で、アンジュより銅を三個採掘するようにと依頼されたのだ。
「確か、この奥に採掘ポイントがあったはず……」
二層目に着いたあたりで、カノンノが言う。
そのまま奥へ進もうとした、その時……
「ちょっ、何よアンタ達ッ!?」
「うるさい!大人しくしろ!!」
奥から女性と男性の怒号が聞こえた。
エルフリアとカノンノは、互いに顔を見合わせ、頷き合い、声のする方へ急いで向かった。
―ブラウニー坑道・二層目採掘区―
「ったく!人が作業してる時に襲うなんて、礼儀知らずにも程があるじゃないか!」
「黙れ!貴様が大国の学者だというのは分かっているんだ。大人しく我々に協力しろ!」
奥へ行ってみると、紫の髪の女性が複数の男達に囲まれていた。
「それが、人にものを頼む態度?……その捻じ曲がった根性、叩き直してやるよ」
女性はそう言うと、両刃の剣を抜く。
男達もそれぞれ武器を構える。
「交渉決裂だ……やれ!!」
「かかってきなッ!!」
一閃。
女性の刃が襲い掛かってくる男達を捉える。
目にも止まらぬ速さで一閃が煌めく。
近くの岩陰に隠れて傍観していたエルフリアとカノンノは、唖然としていた。
「す、すごい……。あの人、一人で複数の相手に応戦してる!」
そうカノンノが呟いている間にも、女性は男達を倒していく。
だが、女性は気付いていなかった。
気絶していた男が、目を覚まして、持っていた銃の銃口を女性の背中を狙っていたことを。
その事にいち早く気付いたのは―――
「危ない……ッ!!」
ビュンッ!!
「ぐわぁッ!!?」
「!?」
エルフリアだった。
エルフリアは、懐に忍ばせていたナイフを男めがけて投げ、案の定男の腕を掠めたのだ。
しかし、彼と男の距離はあまりにも離れていたにも関わらず、命中させるとは……。
(あの距離で投げたってこと……!?ウソでしょっ!?)
女性も男達もカノンノも驚嘆していた。
「くそ……。新手だ!かかれ!!」
リーダー格の男が号令をかける。
それを聞いた男達は、エルフリアに向かって攻撃を仕掛けてきた。
「……カノンノ、援護……お願いして、いいですか?」
「う、うん!任せて!」
カノンノは、すぐに愛剣“オータムリリィ”を構える。
エルフリアは、銃ではなく、もう一本のナイフを取り出す。
「行くよ!ライトニング!!」
一筋の雷が男の脳天へ落ちる。
「邪魔です……。ボムスロー……続けて、牙突連撃」
爆弾を放り込み、油断した隙に突進突きを見舞う。
「余所見してると危ないよっ!断雷牙!雷牙招来ッ!とどめの、紅蓮剣ッ!!」
雷鳴が轟き、両刃剣から放たれた炎が焼き尽くす。
だが、男達もしぶとく攻撃を繰り返す。
「……牙連刃。もう一度、牙突連撃」
「ぐはぁっ!?」
エルフリアは、確実に数を着々と減らしていく。
「やあっ!虎牙破斬ッ!」
「甘いぞおッ!!」
「きゃあ!?」
男が放った闘気に吹き飛ばされるカノンノ。
追撃しようと男が迫る。
「――させやしないさ!双幻乱舞ッ!!」
「があっ!?」
女性が割って入り、剣を振るう。
たちまち、男は倒れる。
すると、別の男が銃口を女性へ向ける。
「貴様ぁっ!!」
「っと、私の武器は剣だけじゃないよ!」
そう言った途端、両刃剣が一丁の銃へ姿を変えた。
「マーシレスハント!!」
「ぐおぉっ!?」
また一人倒れる。
「大丈夫?」
「あ、はい!助けてくれて、ありがとうございます!」
「いや、こっちが巻き込んじゃったんだから当然さ……っと、青年の方も片付いたみたいだね」
「……雑魚、殲滅……」
「お、おのれ……ッ!て、撤退だ!直ちに撤退せよ!!」
リーダーが叫ぶと、男達は負傷した者を引き連れ、去って行った。
「なっさけないね~。まだ10%ぐらいしか出してないのに~」
女性は剣を収めながら、ケラケラと笑う。
そして、エルフリア達の方へ向き直る。
「……にしても、巻き込んじゃって悪かったね。ま、おかげで命拾いしたけどさ」
「……元々、ここに用があったから……」
「あ、そうだったんだ。キミ達ひょっとして、ギルドの人だったりする?」
「そうですけど……」
「……よし、決めた。あたし、キミ達のギルドに入っちゃお~っと♪」
「……えっ?ええぇっ!?何で、そうなるんですか!」
「……?」
「もちろん、さっきのお礼を兼ねて、ね♪」
女性はそう言って、ウインクする。
そして再び、ケラケラと笑った。
「さ、キミ達の用事をちゃっちゃっと終わらそう~!」
まるでさっきとキャラが違いすぎる。
男達を叩きのめしたあの凛々しさは、何処に行ったんだ……。
「……何か変わった人、だね……?」
「……そうですね」
その後、彼女の協力もあって早々に銅三つを手に入れることが出来たエルフリアとカノンノは、彼女を連れてバンエルティア号へ戻るのだった。
―バンエルティア号・ホール―
「アンジュさん、ただいま!」
「あら、お帰りなさい。そちらの方は?」
「……採掘区で、変な人達に襲われている所を、救助しました……」
「まあ、そうなの……」
エルフリアから銅を受け取り、依頼書に判を押しながら話を聞くアンジュ。
「って、事で頼みなんだけどさ。単刀直入に言うと、あたしを“匿ってほしい”んだよ。もちろん、ギルドでの仕事とか雑用とか出来る事はするから」
「分かったわ。それじゃあ、登録するわね」
「ありがとう。助かるよ~」
「あ、そう言えば、まだあなたの名前聞いてないですよね?」
「ん?あたしの名前?ああ、言ってなかったね。――あたしは“学術都市スーノイン”の国立総合研究所主席責任者“エスクード・M・F・スイフト”、長いから“エース”って呼んでね♪」
「「「…………………」」」
“間”という時が流れる。
そして、この間の後、船内中に轟く程の驚嘆の声が上がったのは言うまでもない。
一人の青年を除いて……。
†続く†
《 special skit 》
・『愛称』【エルフリア、カノンノ、エスクード】
「ん~……」
「……?」
エルフリアの顔を熱心に凝視するエースこと、エスクード。
そこへ、カノンノがやってくる。
「エルフリアー!一緒に依頼に行こ……って、エースさん、何やってるんですか?」
「ん~……」
「あの、エルフリアの顔に何か……」
「それだぁっ!!」
カノンノの言葉を遮って、何か閃いたかのように叫ぶエース。
そして、エルフリアに向かって指を指す。
「……?」
何事か理解出来ていないエルフリア。
「妙な違和感は“アレ”の所為だったのか~。うん、納得納得」
「違和感って……エルフリアの顔が?」
「ん?いやぁー、違う違う!名前の方さ」
「……名前?」
「そう。ズバリ言うと、キミの名前は……長い!」
「そう言われてみれば……そうかも」
「……愛称があれば、いいんですか?」
「名案だねぇ。あたしも“エース”っていう愛称があるからね。んー、じゃあ……代表で、カノンノちゃんが決めて♪」
「ええっ!?あ、えーっと……本当に決めていいの?」
「……うん」
「んー、じゃあ……“エルフィ”、でどうかな?」
「……エル、フィ……」
「ナイスセンス~♪あたしも気に入ったよ。それじゃ、改めてよろしくね、エルフィ君♪」
「……よろしく……」
余談だが、この後一人になったエルフィことエルフリアは、数回自分の愛称を口にし、嬉しそうに笑みをこぼしていたのは、誰も知らない……。
【オリキャラ紹介】
・エスクード・M・F・スイフト(年齢:21 性別:女)
一人称:あたし、私
容姿:
肩を越えるくらいのすみれ色の長髪。
眼の色は薄い紫。
服装は薄手の黒セーターにベージュのロングパンツ、同色のロングコート、黒いマフラーに黒革の手袋。
備考:
ブラウニー坑道で男達に襲われていた所をエルフィ達に救われた女性。
その正体は『学術都市スーノイン』の国立総合研究所の主席責任者であり、学者の中で武装する事を許された『武装学者(サイエンバトラー)』の一人。
その為、軍事訓練を受けたことがあり、学者には珍しい前衛型。
一応基礎的な魔術を使用する事は出来るが、自ら進んで使用はしない。
戦闘好きで、戦闘に入ると口調や一人称が変わる。
武器は両刃剣と銃を組み合わせたもので、彼女自らが作り上げた。
クールな印象を受けるが、実際は明るく誰に対してもフレンドリーで、面倒見の良い性格。
年下は『ちゃん』『君』、年上は呼び捨て(例外あり)で呼ぶ。
ちなみに、呼び辛い名前は略する時もある。
生物より機械派。(本人談)
掃除が苦手で、部屋はいつもぐちゃぐちゃらしい。
また、多少の喫煙家。
武器:両刃剣と銃の複合
【その他の紹介】
☆学術都市スーノイン
【北東に位置する某国の中心都市。様々な分野を研究する学者や学問を究めようとする学生達が多く住んでいる。現在、戦争の為の兵器開発を進めているという噂があるらしい……】
☆武装学者(サイエンバトラー)
【スーノイン限定の特別な役職。スーノインでは民間人の武器携帯は禁じられており、いざという時自分達の身を守ることが出来ない。その為に作られたスーノインの警備を司る組織。武装学者になるには、かなり厳しい試験をクリアしなくてはいけない為、一握りの者しかなれない。】
ここまでの読了ありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。
それでは!