リバイスFORWARD 〜仮面ライダーリバイと叛逆のデモンズ〜 作:大島海峡
「中で隊長と五十嵐一輝が交戦。ただし、他の家族、ブルーバード残党は確認出来ず」
「半減したリバイスなど隊長の敵ではない……が、万一に備えて狙撃班は待機。我々の予想に反して他の奴らが現れていない。別働隊はすぐにしあわせ湯を襲撃し、後顧の憂いを断て。輸送班は、本物運び出し、所定の場所で打ち上げろ」
副隊長格の指図の下、倉庫を囲む、無数の蜘蛛、デモンズトルーパーたちが蠢き、囁き合う。
「おやおや、やっぱりその中にあるのは囮兼牽制のための偽物、あるいはごく一部か」
が、それを嘲笑う声がある。
胡乱げにトルーパーたちの幾何学的な視覚モニターがそちらを向く。
「まぁ、戦闘に巻き込んで誘爆などしてしまえば、元も子もないだろうからね。それで、我々を惹きつけておいて、本命を施設外に持ち出そうって?」
そこには、かつての自分たちの元締め――ジョージ狩崎を中心に、資料で見たことのある、そして部隊の何名かが実際に矛を交えた数人の若者が連れ立って、曇天の下、雨の中、ゆったりとした足取りで近づいてくる。
「へぇ、そっちも伏兵を用意してたってわけね。それで隊長を袋叩きにでもする気だったってわけ?」
「五十嵐一輝って奴は、結構鬼畜だな。さすがは
それを顧みた雛守も拝郷も、それぞれトルーパーに変身して、その得手となる武装で身を固めている。
「バーカ、あの五十嵐一輝が、そんなこと考えつくわけないじゃん」
そう夏木花が悪態をついた。
「どうせ変なこと思いついて、先走るって分かってただけだよ」
とさくらもため息混じりに嘆く。
「そして君たちにとっては忘れたいことなのかも知れないが、ここは我々のHomeでもあり、綱本畷と君らは私の部下だ。その胸中はさておき、作戦が判ればその後の行動とルートは、ある程度の予測がつくよ」
「意外です。まだ首切られてなかったんですね、使い捨てだったろうに」
「手続きする場所が押さえられてちゃ、免職も何もないだろう。もっともするつもりもない」
拝郷がそう皮肉で返すのを、嘆息で狩崎は応じた。
「私が君たちを拾ったのは、モルモットにするためじゃない。
〈ジュウガ!〉
〈キングコブラ!〉
〈クイーンビー!〉
それぞれを力をベルトに。解き放たれた獣たちが地を掴み、宙を舞う横目に、玉置と光も同調する。
「俺たちも行くぞ、光!」
「そうだね、少しでも信頼を稼がないと」
「……お前って、結構根に持つタイプ?」
〈ギラファ!〉
〈クワガタ!〉
二匹の甲虫が、空を裂く。
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場所変わり、施設裏手。
「あン?」
有事に備えていた、ニワトリ頭を中心とした所謂『三馬鹿』。剣呑な声をあげて振り返った彼らが認めたのは、そこへと駆け寄ってくる二人分の人影だった。
「一緒に戦ってくれ、希望くん」
「はいっ!」
〈ヘラクレス!〉
〈ツインキメラ!〉
起動させたそれぞれのバイスタンプをベルトを押し付ける。拳法の演武を想わせる手つきで、ドライバーへとセットする。
「ちっ、しゃあねぇ。また相手してやるよ、オッサン」
「オレらに構うなッ、輸送班はさっさと出やがれッ」
悪漢たちの号令一下、彼らの眼前を、大型のトレーラーが突っ切って、通用口を突破していった。そのサイズ感から察せられるに、それこそが本命。『デモンズデストロイヤー』と仮称されるガス兵器だろう。
そのさらにその後より、二人一組、一台のバイクが前輪を持ち上げ、唸りをあげて追走する。
朝方の、無人の車道を爆走するトレーラーだったが、その積載物ゆえに、速度はさしてあげられない。
一方でさらに加速していくロードバイクとの距離は、みるみるうちに縮まるばかりだ。
そのコンテナのドアが、内側から蹴破られる。
待機していた護衛のデモンズトルーパーが二体、さらに護送のジープがそこに追いつき、荷台に載せられた連中が、火砲の類を三方より囲むかたちでその二輪車に集中させた。
巧みな操縦技術でそれを躱していたが、それにも限界はある。
「いけるか、大二!」
そのタイミングを見計らい、弾道の交差点において、運転手たる門田ヒロミは相方にそう声をかけた。
「いつでも行けますっ、やってください!」
そう言って、後部座席の五十嵐大二が身を剥がしたのを合図に、ヒロミ自身も手をハンドルから離す。
瞬間、タンクに光弾が直撃したバイクが爆散する。
〈パーフェクトウイング!〉
その突風に押し流されながら、大二はバイスタンプを押し、ツーサイドライバーにセット。その影が、彼と重なり、一体化する。
〈ジャイアントスパイダー!〉
同じく吹き飛ばされたヒロミもまた、乾坤一擲の覚悟をもって、狩崎肝煎のスタンプを押す。
大地より這い出て彼の背後に現れた巨大蜘蛛は、いかにも生物的な造形と動作をもって糸を吐き網を張り、抱き込むようにしてヒロミを救い出す。
――変身!
異口同音。戦場に勇声が轟く。
〈スクランブル! 十種の遺伝子、強き志、爆ぜろ、吠えろ、超越せよ! 仮面ライダージュウガ! Go Over!〉
〈ハイパーリベラルアップ! We are! We are! 仮面ライダー! インビンシブル! 蛇! 蛇! 蛇! 蛇! 蛇! 蛇! ジャンヌ!〉
〈Subvert up! Wow! Just Believe in myself! 仮面ライダー Ah! アギレラ!〉
転生せし女王蜂アギレラ、自らの
挟まされて、十の牙を手に入れし新時代の伝説、新世代の英雄、仮面ライダージュウガが屹立する。
〈Delete up!〉
〈Unknown. Unlest. Unlimited〉
〈仮面ライダーオーバーデモンズ!〉
〈仮面ライダーゲットオーバーデモンズ!〉
その端にて並び立つのは、甲冑武者ならぬ甲虫衛士。
次世代あらため先達のデモンズ、クワガタを主体に構成されたアーマードスーツ、オーバーデモンズが双璧となってその横を固める。
〈Slash! Sting! Spiral! Strong! 仮面ライダーデストリーム!〉
〈スクランブル! キングクラブ! クロコダイル! 仮面ライダーキマイラ! キマイラ!〉
それぞれを覆う殻を、背から伸びた多脚が、挟み込む鋏と咢が、打ち砕く。
中から現れたのは、二人の重戦士。仮面ライダー。デストリームとキマイラ。
彼らは、かつての自分たちのように、復讐という名の地獄に在る者たちを救うべく、前へと走り出した。
〈パーフェクトアップ! 仮面ライダーエビリティライブ! アイムパーフェクト!〉
地面に落下する間際、無数の羽に包まれ、大二とカゲロウは渾然一体と成ってその姿を変える。
光と影。幾度とない衝突と苦悶の果てに組成された、完全なる翼。
それを広げて、エビリティライブは翔ぶ。
〈Decide up! Deep. Drop. Danger. 仮面ライダーデモンズ!〉
蜘蛛と糸とに包まれたヒロミが、受け止めんとしてもなお殺し切れない勢いで飛ばされながら、姿を変えていく。
振り下ろした拳で滑る我が身を縫い留めながら、最初にして最上のデモンズは、そのマントを払うように立ち上がった。
人と悪魔、どちらか片方を消し去ることなど、決してさせはしない。
そのように極端に割り切る、切って捨てる必要はない。
輝かしい部分も、後ろ暗い心も、両方認めて受け入れて生きていくことも出来るのだと、かつて教えることのできなかったことを部下たちに訴えるべく。
そして、人と悪魔を巡る争い、その第二の決戦が始まった。