リバイスFORWARD 〜仮面ライダーリバイと叛逆のデモンズ〜   作:大島海峡

11 / 16
10.再戦

「中で隊長と五十嵐一輝が交戦。ただし、他の家族、ブルーバード残党は確認出来ず」

「半減したリバイスなど隊長の敵ではない……が、万一に備えて狙撃班は待機。我々の予想に反して他の奴らが現れていない。別働隊はすぐにしあわせ湯を襲撃し、後顧の憂いを断て。輸送班は、本物運び出し、所定の場所で打ち上げろ」

 

 副隊長格の指図の下、倉庫を囲む、無数の蜘蛛、デモンズトルーパーたちが蠢き、囁き合う。

 

「おやおや、やっぱりその中にあるのは囮兼牽制のための偽物、あるいはごく一部か」

 

 が、それを嘲笑う声がある。

 胡乱げにトルーパーたちの幾何学的な視覚モニターがそちらを向く。

 

「まぁ、戦闘に巻き込んで誘爆などしてしまえば、元も子もないだろうからね。それで、我々を惹きつけておいて、本命を施設外に持ち出そうって?」

 そこには、かつての自分たちの元締め――ジョージ狩崎を中心に、資料で見たことのある、そして部隊の何名かが実際に矛を交えた数人の若者が連れ立って、曇天の下、雨の中、ゆったりとした足取りで近づいてくる。

 

「へぇ、そっちも伏兵を用意してたってわけね。それで隊長を袋叩きにでもする気だったってわけ?」

「五十嵐一輝って奴は、結構鬼畜だな。さすがは悪魔(ギフ)を超えた悪魔、といったところか」

 それを顧みた雛守も拝郷も、それぞれトルーパーに変身して、その得手となる武装で身を固めている。

 

「バーカ、あの五十嵐一輝が、そんなこと考えつくわけないじゃん」

 そう夏木花が悪態をついた。

「どうせ変なこと思いついて、先走るって分かってただけだよ」

 とさくらもため息混じりに嘆く。

 

「そして君たちにとっては忘れたいことなのかも知れないが、ここは我々のHomeでもあり、綱本畷と君らは私の部下だ。その胸中はさておき、作戦が判ればその後の行動とルートは、ある程度の予測がつくよ」

「意外です。まだ首切られてなかったんですね、使い捨てだったろうに」

「手続きする場所が押さえられてちゃ、免職も何もないだろう。もっともするつもりもない」

 拝郷がそう皮肉で返すのを、嘆息で狩崎は応じた。

 

「私が君たちを拾ったのは、モルモットにするためじゃない。(ダディ)の過ちを、私なりに清算していきたいからだ。君たちにとって私は、変節漢として何度も期待を裏切って来た愚かな男だろうが、そこだけは変わらない。私は私なりに、私として、ダディを超える!」

 

〈ジュウガ!〉

〈キングコブラ!〉

〈クイーンビー!〉

 それぞれを力をベルトに。解き放たれた獣たちが地を掴み、宙を舞う横目に、玉置と光も同調する。

 

「俺たちも行くぞ、光!」

「そうだね、少しでも信頼を稼がないと」

「……お前って、結構根に持つタイプ?」

〈ギラファ!〉

〈クワガタ!〉

 二匹の甲虫が、空を裂く。

 

 ~~~

 

 場所変わり、施設裏手。

「あン?」

 有事に備えていた、ニワトリ頭を中心とした所謂『三馬鹿』。剣呑な声をあげて振り返った彼らが認めたのは、そこへと駆け寄ってくる二人分の人影だった。

「一緒に戦ってくれ、希望くん」

「はいっ!」

 

〈ヘラクレス!〉

〈ツインキメラ!〉

 起動させたそれぞれのバイスタンプをベルトを押し付ける。拳法の演武を想わせる手つきで、ドライバーへとセットする。

 

「ちっ、しゃあねぇ。また相手してやるよ、オッサン」

「オレらに構うなッ、輸送班はさっさと出やがれッ」

 悪漢たちの号令一下、彼らの眼前を、大型のトレーラーが突っ切って、通用口を突破していった。そのサイズ感から察せられるに、それこそが本命。『デモンズデストロイヤー』と仮称されるガス兵器だろう。

 そのさらにその後より、二人一組、一台のバイクが前輪を持ち上げ、唸りをあげて追走する。

 

 朝方の、無人の車道を爆走するトレーラーだったが、その積載物ゆえに、速度はさしてあげられない。

 一方でさらに加速していくロードバイクとの距離は、みるみるうちに縮まるばかりだ。

 

 そのコンテナのドアが、内側から蹴破られる。

 待機していた護衛のデモンズトルーパーが二体、さらに護送のジープがそこに追いつき、荷台に載せられた連中が、火砲の類を三方より囲むかたちでその二輪車に集中させた。

 

 巧みな操縦技術でそれを躱していたが、それにも限界はある。

「いけるか、大二!」

 そのタイミングを見計らい、弾道の交差点において、運転手たる門田ヒロミは相方にそう声をかけた。

「いつでも行けますっ、やってください!」

 そう言って、後部座席の五十嵐大二が身を剥がしたのを合図に、ヒロミ自身も手をハンドルから離す。

 

 瞬間、タンクに光弾が直撃したバイクが爆散する。

〈パーフェクトウイング!〉

 その突風に押し流されながら、大二はバイスタンプを押し、ツーサイドライバーにセット。その影が、彼と重なり、一体化する。

〈ジャイアントスパイダー!〉

 同じく吹き飛ばされたヒロミもまた、乾坤一擲の覚悟をもって、狩崎肝煎のスタンプを押す。

 大地より這い出て彼の背後に現れた巨大蜘蛛は、いかにも生物的な造形と動作をもって糸を吐き網を張り、抱き込むようにしてヒロミを救い出す。

 

 ――変身!

 

 異口同音。戦場に勇声が轟く。

 

〈スクランブル! 十種の遺伝子、強き志、爆ぜろ、吠えろ、超越せよ! 仮面ライダージュウガ! Go Over!〉

〈ハイパーリベラルアップ! We are! We are! 仮面ライダー! インビンシブル! 蛇! 蛇! 蛇! 蛇! 蛇! 蛇! ジャンヌ!〉

〈Subvert up! Wow! Just Believe in myself! 仮面ライダー Ah! アギレラ!〉

 

 転生せし女王蜂アギレラ、自らの弱さ(悪魔)と合一した天下無敵の蛇王、インビンシブルジャンヌ。

 挟まされて、十の牙を手に入れし新時代の伝説、新世代の英雄、仮面ライダージュウガが屹立する。

 

〈Delete up!〉

〈Unknown. Unlest. Unlimited〉

〈仮面ライダーオーバーデモンズ!〉

〈仮面ライダーゲットオーバーデモンズ!〉

 その端にて並び立つのは、甲冑武者ならぬ甲虫衛士。

 次世代あらため先達のデモンズ、クワガタを主体に構成されたアーマードスーツ、オーバーデモンズが双璧となってその横を固める。

 

〈Slash! Sting! Spiral! Strong! 仮面ライダーデストリーム!〉

〈スクランブル! キングクラブ! クロコダイル! 仮面ライダーキマイラ! キマイラ!〉

 

 それぞれを覆う殻を、背から伸びた多脚が、挟み込む鋏と咢が、打ち砕く。

 中から現れたのは、二人の重戦士。仮面ライダー。デストリームとキマイラ。

 彼らは、かつての自分たちのように、復讐という名の地獄に在る者たちを救うべく、前へと走り出した。

 

〈パーフェクトアップ! 仮面ライダーエビリティライブ! アイムパーフェクト!〉

 地面に落下する間際、無数の羽に包まれ、大二とカゲロウは渾然一体と成ってその姿を変える。

 光と影。幾度とない衝突と苦悶の果てに組成された、完全なる翼。

 それを広げて、エビリティライブは翔ぶ。

 

〈Decide up! Deep. Drop. Danger. 仮面ライダーデモンズ!〉

 蜘蛛と糸とに包まれたヒロミが、受け止めんとしてもなお殺し切れない勢いで飛ばされながら、姿を変えていく。

 振り下ろした拳で滑る我が身を縫い留めながら、最初にして最上のデモンズは、そのマントを払うように立ち上がった。

 

 人と悪魔、どちらか片方を消し去ることなど、決してさせはしない。

 そのように極端に割り切る、切って捨てる必要はない。

 輝かしい部分も、後ろ暗い心も、両方認めて受け入れて生きていくことも出来るのだと、かつて教えることのできなかったことを部下たちに訴えるべく。

 

 そして、人と悪魔を巡る争い、その第二の決戦が始まった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。