リバイスFORWARD 〜仮面ライダーリバイと叛逆のデモンズ〜   作:大島海峡

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14.決着

 仮面ライダーリバイ オーバーナインゲノム。

 未知の形態、未知の姿、新たな力、そして……今日までに己の細胞一つ一つに刻まれた、悪魔(バイス)との記憶の集大成。

 

 それを纏った一輝は、雄叫びと共に駆けだした。跳躍した。その眼前に、体格差だけでも倍する敵――トラップデモンズのフルゲノミクス態が立ちはだかる。

 

 前脚を持ち上げ、怪腕を振り上げた畷に対し、一輝は真正面からの正攻法にて挑みかかった。

 容易くねじ伏せられようというリバイのサイズだったが、ふいに膨れ上がる。全身から立ち上るオーラが、色を成し、形を作り、ピンクの恐竜の像となってその咢を開ける。

 

 ――リバイスレックスだった。

 

 その幻影、いや、質量を持ったビジョンの爪牙が、敵の攻めを防ぐ。一輝がその身を翻せば、影もそれに倣う。横薙ぎに放たれた尾が腕を弾いてさらに上へと押し込む。

 空けられた胴に、宙返りしたリバイが潜り込む。揃えた両足がライオンのそれとなって、胸を叩く。退かせる。

 

「くっ……そガァッ!」

 吼えながら、大回転と共にそのリバイを強引に叩き伏せる。地に落ちた彼が起き上がらないままに、総重量をかけた脚部が無慈悲に踏みつける。

 応えは、確かにあった。

 が、畷に返って来たのは、硬く分厚い感触。リバイが決して潰れたわけではないという、その証。

 

 その右腕には、コングのそれ。左腕をメガロドンの頭部。それぞれを力を宿らせて、敵の重圧を支え、そして跳ね除ける。

 そして浮いて生じたわずかな隙、脚部の合間を、スケボーを走らせてくぐり抜ける。背に回り込む。

 彼の背面への移動を、青天を駆けるイーグルとコンドルの体当たりがサポートする。そしてリバイ自身は自らの正面に展開したリバイスネオバッタの背に乗った。屈伸をカタパルト代わりに射出。ある程度飛び上がった先にあるのは、ブラキオの影。その首を滑って登る。

 

 それを掴み取らんと、麒麟の首を模したクレーンが胴体より複数精製されて、風を切ってワイヤーをしならせて伸びる。が、それらは畷がバランスを崩したことで力を失い、届く前に萎えた。

 

 彼の足下を蠢いていたのは、リバイだけではなかった。

 その小さな影……カンガルーとバイスを掛け合わせた人形トークンが、炊飯器の形をしたバイス――もといバイスの顔面をデザインした炊飯器を抱え、その中から白飯をよそいつつ頬張る。

 それで勇気百倍、元気万倍とばかりに身の丈に似合わぬ怪力で、多脚を次から次へと蹴りつけて回っていた。

 

「この……ふざけたナリでちょこまかと!」

 ストンプをくり返す畷だったが、それを難なく、かつおちょくるように蛇行しながら人形はかわしていく。

 と同時に、意識がそちらに向けられたことでフリーになったリバイは、さらなる高みへ。

 

 空を闊歩し、旋回するリバイスマンモスの敷くレールに乗り上げ、バイスプテラゲノムのコピー、そのホバーバイクに飛びついた。

 機体の上に乗り上げた一輝は、その手をカマキリックアローをつがえ、光の雨を指先より解き放つ。

 その弓から離れた矢は、畷の心の闇も、風を切って迎撃に飛び出た鸚鵡の羽も切り裂いて、その悪夢もろともに彼の顔面を射抜く。

 

 身悶え、唸り、自らのマスクを掻きむしりながら畷はしかし、デモンズドライバーの側面を限界まで押し込む。

「ここで……全て、何もかもッ!! 終わらせるゥゥゥウゥッッ!」

 それこそ悪魔じみた呪詛と共に、未だ地を濡らす雨溜まりを震わせる。

 

「いいや……まだ続くんだ! これから始まるんだよ、俺……畷、お前の人生は! その感情を受け入れて乗り越えた先にッ」

 蒼き空と白日を背に負い、徒手となった一輝は、ドライバーに意思と力を注ぐ。

 

〈ジュウガ! スタンピングフィニッシュ!〉

 全ての回想が、突き出した足裏に集約される。ここまで戦い抜いた証が、極一の輝きとなって畷を照らす。

 

 それに向けて伸びた畷の腕の先で、拳が力強く固められる。

 彼の激しい怒りが、世界を終わらせんばかりの妖月の輝きとなって渦巻き、拳と共に繰り出される。

 

 互いの渾身の一撃が、そのベルトを打ちつける。

 衝突の余波が、大気を揺らし雨気を晴らして地上の水分を一気に干す。

 

 声を枯らして残された力を振り絞った、最後の交錯。

 そして一輝は地を転がり装甲を解く。

 畷は依然屹立したまま。

 

 すぐさま起き上がった一輝はしかし、晴々とした表情だった。

「――さぁ、皆さんご一緒にっ!」

 鋭く大きく唱え上げたのは、いつものバイスが誰にともなく向けていた、締めの言葉。

 

「3、2!」

 指を立ててカウントダウン。

 さながらマジックショーのような口上に、顧みた異形の畷。その腹のデモンズドライバーは、ディスプレイが粉砕されてスパークしていた。

 そしてリバイスドライバーもまた、大半が、畷の一発によって大半を抉り取られて、ほぼ似たような状態にあった。

 

「1!」

 それは指ではなく、己の手前に突き上げた右腕で表す。

 勝利宣言では無い。死力を尽くした実感を、それに己の内にいる友に捧げたいという想いが、そうさせた。

 

 そしてリバイスドライバーが、力無く地に零れ落ちる。

 同時に、トラップデモンズは脚から頽れる。

 

 ドライバーを起点とする放電はやがて畷の巨躯を巡る。

 その激しさがピークに達した瞬間、獣じみた絶叫と共に、爆炎が彼を包んだのだった。

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