一年半もの間放置してすみませんでした(ドゲザ
今後は少しずつでも投稿を続けていければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
また、気が付かぬ間に評価が赤バーになっておりました。やったぜ。
これも皆様のお陰です。本当にありがとうございます。
☆
俺が目を覚ましたのは、薄暗い独房の中だった。よく眠ったお陰で大分頭も冴えてきている。これでもうあのチビ助に遅れは取らないぜ…!って、あれ?そーいやなんで俺は独房の中なんかにいるんだ?気になって辺りを見渡す。ここにはルーティとマリーさんはいるものの、ディムロスが見当たらなかった。も、もしや気絶してる間にディムロスを取り上げられたのか…!?
「どっ、どどどっ どーしよう…!? 仮にも生きてんだぞアイツ!?」
思わず頭を抱える。やっぱりウォルトの誘いなんか乗るんじゃなかったーっ!もうおしまいだ…これから俺は、前科者のレッテルを張られて就職どころじゃなくなるんだ…。リーネに帰ろうにも、じっちゃん達になって言えばいいんだよ…。落ち込んで落ち込んで仕方がなかったそのとき、足音が聞こえてきた。なんだよ、こんな所まで。
「出ろ」
聞こえるが早いか、俺は鉄格子に掴みかかった。この野郎!
「お前…!ディムロスをどこへやった!?アイツがただの武器じゃないことは知ってるだろう!」
「お前には関係のないことだ。いいから黙って僕についてこい」
「なんだと、この…!」
「落ち着け、スタン!今ここで揉めても仕方がないぞ!」
「そうよ!ちょっとは頭冷やしなさいよ、このスカタン!」
「…悪い、ちょっと熱くなりすぎてた。…あとルーティ、お前またスカタンって言いやがったな!?」
「えー?なーんのことかしらー?」
「言った!絶対言ってたよ!気にしてんだぞ、こー見えても!」
「だったらもっと落ち着きのある態度を取りなさいよ!」
「うぐっ、言い返せない…」
マリーさんとルーティに諫められて落ち着きを取り戻した…。いや、これほんとに取り戻せてるかな?全く好き放題言いやがってルーティのやつ…。
「…お前たち、僕の話を聞いていたのか?さっさとついてこい」
独房の鍵が開かれる。兵士たちに見張られながら、俺たち三人はリオンとかいうチビ助についていくのだった。
☆☆
リオンに連れられた先は、セインガルド王城の謁見の間だった。俺みたいな一般市民には縁もゆかりもないところである。正直言って場違いだし帰りたい。ストレスで顔が歪んでいくのを感じる。そうしていると、強面の爺さん(おそらくかなりエラい人)から王の御前故、控えよと命じられた。不敬罪で殺されるなんて真っ平ごめんだ。片膝を着き、頭を垂れる。さて、何を言われるモンやら…。
「あーっ!アトワイト!」
ルーティの声が響く。思わず前方に視線をむけると、そこにはアトワイトさんと———。
「ディムロスッ!!」
思わず走り出そうとするが、兵士たちに阻まれる。ええい、邪魔だ!もがいていると、強面の爺さん———ドライデン、というらしい———から、これ以上暴れると問答無用で死罪にするぞと脅されてしまった。すまん、ディムロス…。流石に命は惜しい、ちょっとの間辛抱しててくれ。だってあの爺さん目がマジだもん。渋々黙った俺は、つらつらと読み上げられる罪状に眩暈を覚えた。曰く———。
・王国管理下の遺跡を荒らした。
・街中で暴れ回った。
・セインガルドが回収するはずだったディムロスを強奪した。
などなど、枚挙に暇がない。だが、身に覚えのないものもいくつかある。冤罪ふっかけられる前に弁明しておかないとまずいな…。
「あのー、すみません。発言良いでしょうか」
「なんだ、命乞いか?」
「こらそこ!ヤなこと言わない! …えっとですね、俺…じゃなかった。自分がディムロスを持ってたことはともかく、飛行竜が墜落したことまで罪に問われるのは納得いかないというか…」
「とぼけおって…いつまでもシラを切れるとは思わぬことだな」
「…あのですね、自分はダリルシェイド行きの飛行竜に、ちゃんと金払って乗船してたんです!そしたら魔物の群れに飛行竜が襲われたから、命からがら逃げだしたわけで———」
「では、お前がソーディアンを持っていた件についてはどう説明する?」
「うっ…それは、その…。たまたま逃げ込んだ部屋にディムロスがあったから、自衛のために借りただけですよ」
「…ふん、まぁいい。仮に貴様の言うことが本当だとして、厳罰を処すには十分な罪状が揃っておるのだ。せいぜい覚悟をしておくのだな」
「そ、そんなぁ…」
リオンに茶々を入れられたときは流石に頭に来たが、言いたいことは言ってやったぞ…!ダメそうだけどなっ!諦めかけたそのとき、リオンの傍にいたヒゲ面のおっさんから意外な助け舟を出された。要約すると「ソーディアンを扱える貴重な人間を闇雲に処罰するのはいかんでしょ」ということらしい。ドライデンの爺さんは示しがつかんとお怒りだったが、国王はヒゲのおっさんの言うことに賛成寄りらしい。いいぞ!このまま話を終わらせるんだ!俺が内心ガッツポーズを決めているところに、一人の兵士が走ってきた。火急の用で飛んできたらしい、ご苦労様です。兵士は息も整えぬうちに、大声で言い放った。
———ストレイライズ神殿が、何者かに襲われた———と。
☆☆☆
そしてその強大な力を恐れた古の地上人たちを主導として、ストレイライズ神殿に安置・秘匿されていたそうだが…。
「なるほど、その神の眼を悪用されないように、俺たちでなんとかしろってことですか…」
「そうだ。見事神の眼を取り戻した暁には、私から国王に掛け合い、恩赦を頂けるよう取り図ろう。どうかね?」
「…わかりました。どのみちこのままじゃ、俺たちゃ犯罪者だ。汚名を返上するチャンスを逃す手はないし、全力で取り組ませてもらいますよ」
ヒューゴさん———さっき俺たちをかばってくれたヒゲのおっさんの名前だ———からの提案で、俺たちは何者かに襲われたストレイライズ神殿へ向かうことになった。神の眼が無事であればいいんだけどな…。それから、現場の監督役としてあのチビ助もついてくるらしい。しかも俺たちは脱走防止用の電撃ティアラを頭に着けられてるから、逃げることも逆らうこともできないというね。そりゃ俺が国王の立場なら同じようにするだろうけど、流石にヒドくないか?自由と信用がなさ過ぎて泣きそうだよ全く…。まぁとにかく、ヒューゴさんの屋敷でディムロスとアトワイトさんを受け取った俺たちは、出立の準備を進めることにした。
「僕は少し用がある。お前たちはここで待っていろ」
「へーへー、わかりましたよん」
屋敷に戻っていくリオンを尻目に、屋敷前のベンチに腰掛ける。マリーさんは花畑に興味津々、ご満悦なようだが、ルーティの方はあからさまに機嫌が悪い。このまま放っておくにも怖いので、とりあえず声をかけてみるか。
「どーしたんだ?さっきから機嫌悪いぞ、ルーティ」
「…どーしたもこーしたもないわよ!あんたのせいでタダ働きするハメになったじゃないの!」
「俺のせいって…。お前なぁ、状況的に仕方ないじゃねーか。あのままじゃ、俺たち死刑になるかもしれなかったんだぞ?」
「だからって、タダ働きなんてあたしのプライドが許さないのよっ!」
「…それなら、今からでもヒューゴさんの所に行って直談判してくればいーじゃないか。どーせリオンを待ってる内は町を出られないしな」
「あんたの撒いた種でしょ~!?それならあんたもついてきなさいよ!それとも、かよわいレディーをスケベ盛りの中年オヤジのところに、一人で向かわせる気!?」
「お前なぁ…仮にも命の恩人に向かってその言い草はないだろ、全く…。わかった、俺も行くよ。マリーさんも一緒に来てもらえます?」
「うーん…もう少し花畑を見ていたいのだが…」
「ですよねー…。なぁルーティ、リオンが戻ってきたら言付けを頼むってのはどうだ?マリーさんも花を見たがってることだし…」
「なに言ってんの、あんなヒネたガキンチョが素直に頼まれてくれるわけないでしょ!?ほら、さっさと行くわよ———」
「———ほう…誰がヒネたガキンチョだと?」
———カチリ。その時、ティアラに電流走る。
「のぎょぎわげ~~~~!」 「ぎええー――っ!」
倒れ伏す俺とルーティ。も、戻って来てたのか、リオンのやつ…。ルーティが余計なことを口走ったせいで、俺まで電撃を喰らうハメになっちまったぜ…。うぅむ、まだ痺れる。
人を待たせたお詫びに出てくるのが電撃かい…といった具合の皮肉もどこ吹く風。くそう、なんてヤな奴なんだ。正直気に入らないが、下手に逆らうわけにもいかない。鬱屈たる気持ちを抱えたまま、俺たちはストレイライズ神殿へ向かうことになった。
☆☆☆☆
ダリルシェイドから見て北部。アルメイダの村を中継した先にあるストレイライズの森に俺たちは到達した。じめじめとした薄暗い場所で、こちらも気が滅入ってくる。なるべく長居はしたくないと感じた次第だ。歩いてしばらく、俺はこの環境に耐えかねて声を上げた。
「うへぇ…なぁルーティ、あとどのくらいで神殿に着くんだ?こんなじめじめした所にいたくないんだけど、俺…」
「うるっさいわねぇ、あたしに聞くよりリオンに聞いた方が早いんじゃないの?」
確かに。でも…嫌だなぁ。この辺りの地理に詳しいであろうリオンに尋ねた方が間違いなく手っ取り早いというのも含めて嫌だなぁ…。思わずため息を一つ。ええい、聞かぬは一生のなんとやらよ。行くぜっ!
「…なぁリオン。あとどのくらいで神殿に着くんだ?」
「…この分ならあと半刻(約1時間)後には辿り着けるだろう。お前たちがついて来られればの話だがな」
「そ…そうか、ありがとう。…前半だけで留めてくれりゃいーのによ…」
多少毒は吐かれたものの、思いのほかすんなり教えてくれたよ。こちらが横柄に接しなければそこまで嫌味な対応されるわけじゃないのか…?一応ルーティとマリーさんにもこれらのことを伝えておく。目的地までの所要時間の目安が分かるってだけでも気が楽になるし、今後のリオンとのコミュニケーションにも活かせるはずだ。結果、マリーさんはともかく、ルーティは驚いていたみたいだ。まぁ、うん…気持ちはわかるよ…。初対面の時なんてめちゃくちゃ嫌味だったしな、あいつ…。
———なんて、のんきに考えていられる暇はないらしい。例によって魔物の群れが現れたからだ。白い毛皮を纏った猿型の魔物が二体、根っこが足のようになっている木型の魔物が一体、俺の膝丈程度の大きさのキノコ型魔物が二体。うぅむ、まあまあな数がいやがる。
「よし、それじゃ俺が昌術で一網打尽に———」
「なぜお前が仕切っている?お前は前衛だ。いいから突っ込め」
「え?植物相手なら炎の術が効くんじゃないか?」
「術剣技を使えば良いだろう。それとも———」
また電撃を喰らいたいのか?リオンの冷たい声を背に、悲鳴を上げながら俺は駆け出した。な、なんつーパワハラ野郎だ…。正直恨めしいがこの状況を切り抜けるのが先決、意識を魔物共に向ける。猿の魔物はマリーさんが引き付けてくれるそうなので、俺はキノコの魔物に攻撃を仕掛けることにした。幸い奴らの動きは遅い。遠隔攻撃で一方的に攻撃すれば問題なく仕留められるだろう。———喰らえっ!
「魔神剣!魔神剣!もひとつオマケに魔神剣っ!!」
二度の魔神剣で二体いたキノコ型はそれぞれ真っ二つ。残る一発で細切れにすることに成功した。ふっ…我ながら惚れ惚れするような技のキレだぜ。ま、油断は禁物。口には出さないけどな。
これで残るは木の魔物一体と猿の魔物二体だ。さっさと木の方を片付けて、マリーさんの援護に向かおう。ルーティにマリーさんの援護を頼みつつ、俺は木の魔物へ駆けだした。その間に少し気になってたことをディムロスに尋ねてみる。
「なぁディムロス!術剣技って、なんだ!?」
『その名の通りだ!昌力を纏わせた剣で攻撃する技だ!』
「なるほど、わかりやすい!今からでも使えっかな!?」
『簡単なものならな!術剣技も昌術同様、昌力のイメージが重要だ!我に炎を纏わせ、叩きつけるイメージで振るってみろ!』
「おう!やってやるぜ!」
敵の触手じみた根による迎撃を躱しつつ、眼前に躍り出る。固めたイメージの通り、ディムロスに炎が渦巻き、周囲の景色が歪んだ。そうか、わかったぞ。この感覚が術剣技なんだ。そしてこれが———!
『「———爆炎剣!!」』
———刀身。否、灼炎に触れた途端、邪悪な樹精は
『爆炎剣でこれほどの破壊力を出せるはずがない…。こんな芸当はオリジナルでも———』
「ん?さっきから何言ってんだ?ディムロス。昌術の力と剣戟を組み合わせてんだからあんなモンだろ?」
『いや…あれだけの破壊力は異常なのだ。本来であれば、練り上げられる昌力の都合、術剣技の威力は昌術に劣る…。しかし、お前は昌術と遜色ない威力の爆炎剣を繰り出してみせた…。一体どうなっている…?』
「…うーん、ダメだ。わかんねぇ」
どうも俺の術剣技はスゴいらしい、ってことしかわからなかった。ただ、無暗に使うには危なっかしいので、必要に駆られたとき以外はディムロスの方で抑えてくれるらしい。うん、俺も大賛成。みんなを巻き込むリスクを考えたらとても常用できねーよこんなの…。
ディムロスの力に恐れを抱きながら、俺たちはストレイライズ神殿に向けて歩みを再開するのだった。
ご閲覧、ありがとうございました。
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次回、メガネ司祭が登場しますので、どうぞお楽しみに。