セイウンスカイとバルファルク   作:エドレア

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皆様、平素よりご愛読頂き誠にありがとうございます。

以下ダイジェスト

ネオユニ「おやすみベア取られた」※意訳
アルバ「そらそうなるでしょ」
ネオユニ「マカ錬金も禁止された」※意訳
アルバ「自業自得でしょ」
ネオユニ「そっちの世界にも行けない」※意訳
アルバ「……どうしたの?そんなに嫌だった?」
ネオユニ「仕方ないから別の武器ちょうだい」※意訳
アルバ「そう来ると思ったよ。ガンスはあれよ?要求スキル多いから難しいのよ?太刀にしときなさい、太刀。これなら必要スキルは斬れ味くらいで他火力スキルでいいから」(漆黒爪【終焉】ポイー)
ネオユニ「……ガンランスが良い」※意訳
アルバ「あんまり欲出すもんじゃないよ?なんでそんなガンスに固執するの」

────だって【黒龍】を倒してほしいんでしょう?



駿大祭に向けて

 

 

 

 

 

 

 以下は菊花賞後のアグネスタキオンの弁明である。

 

「いやぁ、私も話を聞いた時は驚いたよ。人の言葉を話せるようになりたいだなんてね。ただやってみて意外と無理ではないと気付いたんだ。それこそバルファルクに文字を覚えさせるよりもさ。彼の鳴き声は一部鳥類のものと酷似している。そして鳥類には、人の言葉を真似られる種類がいる訳だ。オウムやインコ等が代表だね。特にヨウムは鳴き真似するばかりか実際に意味を理解し簡単な会話なら成立する個体もいるほどだ。そう考えると人と同等の知能を持ち、既にひらがなを履修しているバルファルクなら話すのはともかく聞き取るのは難しくないと考えてね。実際にヒアリングさせてみたら予想以上の適応だ。かなり工夫して自分の声を調整して人と全く遜色無く話せるまでに至った訳だ。バルファルクが持ちうる自他音声の認識とその発声については論拠を纏めて正式に論文にするよ。これまで人類のみしか持ち得なかった言語という概念に一石を投じる存在だからねぇ。3、4ヶ月程度で習得出来たというのも特筆すべき点だろう。人間は幼児期に言語的思考が発達し、その頃に所謂『母語』を形成する訳だが……うん?そうだよ、3、4ヶ月だ。今年の1月から勉強してダービーの頃には間に合っていたよ。その後?日本語は概ねマスター出来ているから英語も教えているよ。やはり文字よりも言葉を話す方が学習速度が早くてね。このペースなら駿大祭までには英語の方も間に合うんじゃないかと……待つんだスカイ君、何をそこまで怒っているんだい?確かに秘密にしていたのは君に悪かったかもしれないが、彼たってのお願いなのだから責めるのはお門違いというか────」

 

 後日、旧理科準備室にはセイウンスカイの龍属性に当てられ意識を一時喪失するアグネスタキオンとそれを介抱するマンハッタンカフェの姿があったという。(八つ当たり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのさ、みんな」

「「「「「………………」」」」」

 

 菊花賞の後。

 とりあえず何とも言えない気持ちのままウイニングライブを終わらせたセイウンスカイであったが明くる日、トレセン学園ではいつもの仲間達と気まずい雰囲気で話しかけていた。

 

「タキオンさんに聞いたんだけどさ、バルファルクが話せるようになったのってちょうどダービーの頃だったみたいなんだ。それで私が負けちゃったから言うタイミング逃してたらしいんだけど」

「そ、そうなのね。……それはとても不憫というか、間が悪かったというか……」

 

 気まずいのは同期達だけではない。

 話せるようになってから合宿に赴きそこで多くのウマ娘と交流した結果バルファルクは合宿の後も人気が集まりセイウンスカイ抜きでも他のウマ娘と仲良くしていた。

 

「なんかさ、やけにみんな仲良いなーとは思ってたんだよ。タマ先輩もいたから別に私いなくたって意志疎通は出来るしそのおかげかなと思ってたんだ」

 

 一同、誰一人としてセイウンスカイと目を合わせない。

 仲間達以外もクラスメイト全員が申し訳なさそうな顔をしている。

 ごく当たり前の話だが、ターフを利用するのはセイウンスカイ達だけではない。多くのトレーニングや併走等でセイウンスカイ抜きで他のウマ娘と触れ合う機会は多かった筈だ。

 セイウンスカイもタマモクロスもいつでも必ず都合がつく訳でもない。というのにやたらと人気が高かったというのは、つまり。

 

「まさかみんな私を差し置いてバルファルクと話してたって事だよねぇ!?」

「セイちゃん、ほんっとーにごめん!!!秘密にしてくれって頼まれてて……」

「タマモクロス先輩にも言われていたんです……サプライズにしたいって……」

「まさかトレセンみんなでスカイさんを誤魔化す羽目になるなんて思わなかったのよ……」

「エルちゃんがいつ口を滑らせるかそこがめちゃくちゃ心配だったなぁ……」

「ツルちゃん!?私はそこまで口軽くないデスよ!?」

 

 要するにそういう事である。

 バルファルクはセイウンスカイに全幅の信頼を寄せていて、ダービーでの勝利で発表する予定だったのだ。しかしダービーの敗戦でサプライズの予定が消え、合宿でオストガロアを釣り上げた祭りではより多くのウマ娘との交流があった。そんな彼女達と話せないのは何ともむず痒く、合宿以後に度々話すようになった訳である。

 

 バルファルクはセイウンスカイを好ましく思っているが、それはそれとして自分のやりたい事はやる────。

 

 元を辿ればダービーでの敗戦が原因な訳で、つまり自分に理由があるセイウンスカイは除け者にされた事に怒りとも何とも言えないモヤモヤを抱える事となった。

 

「なんか視線が多かったのもこれが理由かぁ……!」

「バルファルクが話してるところにセイちゃんが遭遇したら身も蓋も無いからね……」

「トレセンみんなで専用のLANE作ってセイちゃんの動向をバルファルクに伝えてました……」

「な に が 『貴方のバルファルク』だよキング。あの時もどうせグルだったんでしょ」

「いや、その、ね……」

 

 珍しく歯切れの悪いキングヘイロー。

 トレセン学園の総意としては概ね彼女達の反応に終始する。本当なら黙っているべきのバルファルクが耐えきれずに話してしまったのが原因なのだが、そこを問い詰めたところでバルファルクはけんもほろろに一蹴するだろう。悪意が無いのがよりタチの悪いところであった。

 

「これで駿大祭大変な事になっちゃったね……」

「大体全部あいつのせいですけど」

 

 当然というか当たり前というかお決まりというか、世間での反応は爆発したかのような騒ぎである。これでもう誰もバルファルクの事をただの動物として見なす事はなくなった。

 元々対オストガロアの一件と記者会見後の振る舞いである程度人類について理解が進んでいるとされている。そこにバルファルクの発話事案である。菊花賞でのカミングアウトではセイウンスカイが怒りながらバルファルクに話しかけていて、それを観客が聞こえる距離でバルファルクは返事をしている。ネットには当然その様子が動画化されていて、この事態に全世界を巻き込んだ狂乱の渦を呼び込んでいた。

 

「まさか許可取った相手が総理とは思わないじゃん」

「バルファルクって基本セイちゃんが好きなだけでそれ以外はどうでもいいっていう感じだけど、必要だと割りきるとそれはそれで地頭の良さあるんだよね……」

 

 菊花賞にサプライズ登場する際に当たっては当然無許可ではなくアグネスタキオンを通じて各所に根回しがされていた。レース場に降り立つという事でURAは勿論の事、その後の世論も鑑みてアグネスタキオンの方からオンライン通話での総理大臣との面会をバルファルクは果たしている。セイウンスカイがこれを知ったのは菊花賞の後、総理から送られてきたLANEでの謝罪文だった。

 政府は既に今回のバルファルク発話について意見を表明しており円滑なコミュニケーションを歓迎するという声明を出している。建前としてはバルファルクが話せる事を知らなかったという体なのだが、あまりにも胡散臭い政治の気配にセイウンスカイが苦い顔をしたのはご愛嬌だろう。

 

 バルファルクは菊花賞の後、これで臆面なく話せると上機嫌であった。セイウンスカイからすれば寝耳に水どころではない。ただセイウンスカイの反応から一番近い立ち位置にいるはずなのに何も知らされていなかったという点で世間からは同情する反応が相次いでいた。

 同時にこれまでセイウンスカイに向けられていたバルファルクとの関係も懐疑的な意見が消失している。記者会見以降もセイウンスカイとバルファルクの関係を快く思わない意見があったのだが、バルファルクのアピールで好きは好きだがそれはそれとして振り回される立場である事が如実になったため、それがより一層同情的な意見を呼ぶのに成功していた。

 

「……今から駿大祭中止にならないかなぁ」

「今中止になったところで騒動の中心からは逃げられないわよ、スカイさん」

「逃げさせてよ!菊花賞頑張って逃げ切ったんだからさ!」

「菊花賞は逃げ切れてもバルファルクからは逃げられませんね~」

 

「だぁぁぁ!もう!あれもこれもみんな全部バルファルクのせいだぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 グラスワンダーからトドメのセリフもらい慟哭するセイウンスカイであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃。

 

『バルファルクおまえ……人の言葉が話せるだと……!?』

「『……はぁ。やっぱりこうなるか』」

 

 バルファルクはイナガミに問い詰められていた。

 

 ターフで二頭の龍が向かい合っている。バルファルクは面倒臭そうに明後日の方向を見ておりイナガミの事など気にもかけていない。それが堪らなくイナガミの嫉妬心を煽っていた。

 

『どういうことなんだ、タマモクロス!?何故我に言わなかった!?』

「『いや……言うも何も、バルファルクが話したい言うたのはイナガミと戦ったすぐ後やで。そん時に言える筈無いやろ。しかもあんた最初は結構な人間嫌いやったやん』」

『むぐ……それは確かにそうなのだが……』

「あっはっはっはっは!見たかいあの観客共の驚いた顔!あんた喋れるわ言葉が分かるわ心臓に悪い事してくれるねぇ!」

「『……人間の健康事情に詳しくないが、老いた身でそのような事を言うのは洒落にならないのではないか?』」

「あれま、気遣ってくれるのかい!?見なよ若僧、その辺の男よりも色男だよこいつは!」

「あはははは……。ごめんねバルファルク。しばらくは君の話題で持ちきりだろうから……」

「『それは想定の内だ。どうやら俺は特に人間の注目を集めやすいようだからな。セイウンスカイ達と付き合っていく以上そういう面倒は避けられん。……まぁちょっとばかし、面白くは思えているがな』」

『ええい、おまえらだけで話をするな!タマモクロス、我にも言葉を教えろ!』

「『別にええけど……やれるかどうかは別やで?タキオンが言うには、たまたまバルファルクの口がインコとかに似てて真似やすいからいけたっちゅう話や。今のままじゃ儘ならんから、とりあえず聞くのから始めよか』」

 

 チーム・ドラコの面々、セイウンスカイとタマモクロスの両トレーナーがバルファルクと親しげに話しておりそれに嫉妬するイナガミをタマモクロスが窘めていた。

 セイウンスカイとタマモクロスを除くと、最も龍に近い位置にいるのがこの二人である。特にセイウンスカイのトレーナーはセイウンスカイと共に最初期からバルファルクと接していたのもあって、話せるようになった頃には気兼ねなく会話をする間柄になっていた。

 

『まずは文字からか……』

「『別にやらなくてもええんやで。普通に考えたらできる方がおかしいんやから』」

『いや、バルファルクが出来て我が出来ぬというのは我慢ならん。よくよく考えれば人間と取引するのに文字は必要不可欠なものだ。いつまでもタマモクロスに任せる訳にはいかん』

「『そういう自立心は嬉しいんやけど……』」

「『貴様が今考えるべきは間に合わない言語の履修ではなく駿大祭の出し物じゃないか?俺はセイウンスカイと共にトークショーなるものを開催する予定だが』」

「えっ、トークショー?それってスカイと決めたの?」

「『いいや?だがアグネスタキオンと話して決定した。どうせ俺の事でセイウンスカイが巻き込まれるなど今に始まった話じゃないだろう』」

「す、スカイ……なんて不憫な……」

「あの娘も大変だねぇ。サポートはしっかりしとくんだよ」

『だ、出し物?とーくしょー?』

「『あー、イナガミはあれや、こないだ作ったオオモロコシを宣伝するんや。農場もな。お客さん沢山来るんやから商い時やで?』」

『それもそうか!よし、農場へ行くぞタマモクロス!いつものウマ娘達も集めてくれ。我に良い考えがある!』

(なんか嫌な予感するのは黙っとこ)

 

 タマモクロスの提案に気を良くしたイナガミが彼女を背に乗せて農場へ向かう。どうやらまた何か思いついたようだが果たしてそれは上手くいくのだろうか。

 バルファルクのトークショー開催もまた、セイウンスカイを無視した決定であるためセイウンスカイの不憫さが偲ばれる。おそらくセイウンスカイは単にターフでのふれあい体験などを想定していたため、また観衆の前に質問形式で引きずり出される事を考えていないだろう。

 セイウンスカイがストレスで体調を崩さないか、それが心配になるトレーナーであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ……ひどい目に遭ったよ」

「自業自得だと思いますが」

 

 ところ変わって旧理科準備室。

 セイウンスカイの八つ当たりから復帰したアグネスタキオンは全く反省の色を見せないいつもの調子で再びマカ錬金の大鍋をかき混ぜていた。

 

「実験は禁止されたのでは?」

「停止するよう言われているのはネオユニヴァースとの共同研究だよ。流石にネオユニヴァースのあの振る舞いを擁護する事は出来なくてね。とはいえ概要は聞いているから、一人で研究を進められなくもないのさ」

「……そうですか」

 

 鍋の横の実験台にはマカ錬金によって作られたであろう多数の装飾品が種別ごとに分けられている。ネオユニヴァースがお目当てとする装飾品はまだ無いのだが、アグネスタキオンからすれば多数のサンプルがあるだけでも上々である。アグネスタキオンは自らこれらの装飾品を装着しその効力を確かめていた。

 

「その装飾品というのは……本当に意味があるんですか?」

「おや、珍しい。カフェが私の研究に興味を示してくれるなんてね」

「正直に言えば……前のおかしな薬剤を作る研究よりはマシだと思っています。こういうアクセサリーなら付け外しは容易ですし」

「だからこそ慎重なのさ。ここに含まれる【スキル】の幾つかは走行能力を飛躍的に上げるものもある。例えば《ランナー》、これはスタミナを減り辛くするスキルだがレースでこんなものに頼るのは邪道だと私は考えているよ」

「……タキオンさんは装飾品の使用を奨励しているものと思いましたが」

「私が目指しているのはウマ娘がレースでケガを負う事が無いようにするための手段だよ。ドーピング染みたものを作ってレースを陳腐化させるなど以ての外だ。……私の足を、知らない訳じゃないだろう?」

「それは……そうでしたね。ケガを防止するようなスキルはあるんですか?」

「それが困った事にねぇ……直接的に防ぐ【スキル】は無いんだ。ただ確率的にケガの度合いを軽減する《加護》という【スキル】が今のところ一番有効だよ」

「確率的……というと絶対ではないと?」

「そう。それが私を悩ませているところだよ。【スキル】には幾つか段階があって、同じ種類の装飾品を付ける事で効果を高めたりする事ができるんだ。ただ《加護》の場合はあくまでも確率、100%にはならない。これをどうにかしたいんだが今はどんなに数を揃えても50%以上にはならないんだよ」

「ある意味装飾品らしいのでは?アクセサリーというのはお守りという側面も持ちますし、そう考えれば不思議ではないと思います」

 

 アグネスタキオンは言わなかったがもう一つ研究を困らせている理由としてまだまだサンプルとなる装飾品の数が少ないという点もある。本来ならネオユニヴァースがどこからかランダムに持ってくる装飾品を鍋に入れたいところなのだが、共同研究が停止されている今となっては難しい問題となっていた。

 マカ錬金を試してみて後から発覚した事だが、一つのアイテムを錬成するのに複数のアイテムが必要になる。これはマカ錬金の仕様上、作る一個に対して飽和する程の量が必要となる訳でそれが装飾品の研究への足枷となっていた。

 

「そういえば駿大祭、タキオンさんはどうされるので?」

「本来なら興味が無い、と言いたいところだが……今年はバルファルクの発話という最高の研究成果があるからねぇ。彼と共に開催するトークショーで私の研究成果を発表する予定だよ。どうやらあの記者会見以降、世界中でドラゴン探しの熱が高まっているようでね。別に探すのは良いとして、相手は人間と同等の知能を持ち、その上で特異な能力やウマ娘を遥かに越える体格と身体能力があるんだ。不幸な接触で犠牲者が出たらとんでもない。その点についても改めて周知するつもりだよ」

「そういうところはしっかりしているんですね」

「そういうところも何も私は常にそのつもりだが?」

「もう一度スカイさんに聞いてみたらどうです?」

「それは御免被るねぇ!駿大祭までに纏めなければならないレポートが多いんだ。また倒れる羽目になるのは遠慮するよ」

 

 マンハッタンカフェの辛口を全く意に介さないアグネスタキオン。

 この後トークショーの件でまたセイウンスカイの龍属性に襲われる羽目になるが、おそらくどこまで行っても懲りる事はないだろうと、マンハッタンカフェは人知れず嘆息する他無かった。

 

 

 

 

 




私に良い考えがある(別に言う程失敗してないのに何故かフラグにされるあれ)


ウマ娘、クリスマスイベいいですね
今回のガチャで初めてアヤベさんを当てて育成したのですが思っていたよりかなり闇のある子でびっくりしました。サバイバーズギルトじゃねぇかこんちくしょう
それだけにクリスマスイベントのストーリーはほっこりしましたね。MVPはおまえだ勇者デジたん
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