今話が一つの節目となり、そして次に繋がる回でもあります。
今後とも連載を続けていきますので、皆様何卒最後までご愛読頂ければ幸いです。
父上が卵の僕を人間に渡した時、僕はなんか嫌だった。
父上は信頼していたみたいだけど、人間にしちゃ気配が強すぎてなんだが気持ち悪かったんだ。
それからしばらく、色んな人間に見られたけど誰もしっくり来なくて。
それに飾り扱いも気に食わなかった。誤魔化すための方便っていうのは分かるけど、夜は一人ぼっちで寂しかったんだよ?
そんな日々に嫌気が差してて、いつ産まれようかなーって悩んでたけどそんなある日僕に話しかけてくれた人がいたんだ
────君、私のこと見えるんだ
キレイなお姉さんだった。お姉さんは色んなことを僕にいっぱい教えてくれたよ。まだ何も見えない僕に、世界はこうなんだってたくさん話してくれたんだ。
それがとても嬉しかったから、僕はお姉さんがお母さんだと良いなって言ったんだ。でも、
────ごめんね、私じゃ君のお母さんになれない
お姉さんは
────"お姉ちゃん"ならきっと良いお母さんになれるよ
お姉さんはお母さんのことを教えてくれたよ。とても優しくて、妹思いのがんばり屋さんなんだって。でもちょっと頑張り過ぎるから、誰かに見ててほしいなって言ってたんだ。お姉さんは見ててあげないの?って聞いたけど、
────見ることしかできないんだ。"今"を変えられるのは生きてる人だけの特権だからね
────もしお姉ちゃんに会えたらこう伝えてほしいんだ。恨んでなんかないよって。"お姉ちゃん"が走ってる姿を見たいって
────えっと……あとは……そうだね。死者の言葉なんてあんまり長く聞かせるのも縁起が悪いから……
────"愛してる"。うん、愛してるよ、お姉ちゃん
「それを最初に伝えたかったんだ……お母さん」
「ああ……とっくの昔に私は────救われていたのね」
アドマイヤベガは嗚咽に濡れていた。
アステラは急激に成長したが、それは何も体格に留まる話ではなかった。赤とも青ともつかない黒ずんだ体にほぼ成体と同じほどにまで成長したアステラは、その口から言葉を発していた。
「えっと大丈夫?たくさん泣いてるけど嫌なこと言っちゃった……?」
「違うの……人ってね、嬉しい時にも泣けるのよ」
「悲しい気持ちじゃない……ってこと?」
「ええ。貴方と出会えて良かった。あの子の言葉が聞けるなんて、思ってなかったから」
「今はもう聞けないけど、きっと今でも見守ってくれてると思うよ」
「ええ……あの子は優しい子だから、きっとそうね。本当にありがとう、アステラ」
アドマイヤベガは大きくなったアステラの顔に抱きつき心からの感謝の念を伝えている。
それがどうにも恥ずかしかったようで、アドマイヤベガを押し倒さない程度にアステラはほんの少しかぶりを振った。
「えっと、お母さん。その……とりあえずどうしようか?地上の戦いは終わったみたいだよ」
「それもそうね。今なら声が届くかしら」
「それもいいけど、僕、おっきくなったんだ。ちょっとお兄さん達を驚かしてやりたいんだけどいいかな?」
「ふふっ、あなたはいたずら好きだものね。成長した姿を見せてあげましょうか」
体格差が完全に逆転した今ではアステラの上にアドマイヤベガが乗る形となる。アステラは背にアドマイヤベガを乗せると、これまで全く使い道が無かった翼を大きくはためかせた。
セイウンスカイが赤衣の男と話す少し前。
地上ではアドマイヤベガとアステラの行方について、人も龍も巻き込んだ騒ぎへと発展していた。
「『だから!無理に掘り起こすと崩して埋めてまうかもしれへんやって!』」
『そんなことは分かっている。分かっているが、しかし……!』
「『あのガキの気配が消えた。たぶん死んで────』」
「『縁起の悪いこと言うなクソボケ!』」
「『待てタマモクロス、それは俺に使う技では……あべべべべ!?』」
『ふん、だからこのような奴、さっさと殺してしまえば良かったのだ。妾の都市をも崩しおって……!』
「『いや……そのことについては全く以て弁明の余地が無く……』」
『大変だのう。これでは無理に歩くことも危険ではないか』
『でも、セイウンスカイがダイジョウブって言ッテタ!』
「あの、皆さん落ち着いて下さい……」
喧々囂々とはまさにこの事。
慌てるイナガミをタマモクロスが叱りつけているが、それと同時に不穏な発言をするバルファルクを帯電した手で触れて痺れさせていた。
マム・タロトは一時危篤状態であったが、バルファルクが本土にいるネオユニヴァースから大量の薬草を受け取りそれを口に突っ込む事で調子を取り戻していた。当初地啼龍を抹殺すべしとまた躍起になっていたが、それをタマモクロスが電撃を当てる事で止めている。ラオシャンロンとゴグマジオスはそれを外野から呑気に眺めていたのだった。
タマモクロスが帯電しているのは目の錯覚でも何でもなくセイウンスカイ同様特訓の成果である。ネオユニヴァースの尋問から得た知識で古龍が扱う龍属性は何か他の自然物に変換できる能力があるのではないかという仮説がアグネスタキオンによって立てられた。タマモクロスはその二つ名として【白い稲妻】が有名だが、それを自身に見立てる事で発動する事が可能になったのである。
タマモクロスは本来この能力を対古龍戦で使うつもりだったのだが、今回の戦闘では大半が船上であったために使う機会に恵まれなかった。そんな訳で、ここぞとばかりに胡乱な発言をしたバルファルクと未だ激昂するマム・タロトに浴びせていた訳である。
こんな調子では島の復興もままならない。自衛隊の一人が落ち着くよう諭していたが、全員が個性豊かな古龍達、人の言葉が分かる者もそうでない者も含めて皆一様に騒いでいた。
セイウンスカイもアドマイヤベガとアステラについては聞き及んでいるはずなのだが重要視していない。もっと言えば、放っておいてもいいなどと冷酷な発言すらしていた。実際には冷酷なつもりはなく、確かな根拠があってのセリフなのだがそれを説明していない。セイウンスカイは赤衣の男との話を優先していたためこの騒動に加わらなかった。
結局のところ、タマモクロスは一人奔走しようとして空回りしていた。
「『あ~、もうスカイのやつ、いつまで赤いのと話してんねん……』」
『ん?下から何か聞こえないか?』
『不届き者めが!また揺らしているのか!』
「『いや、私は何もしていない……』」
アドマイヤベガとアステラが落ちた穴の奥から不思議な青い光が漏れだしている。同時に羽ばたくような音も聞こえていた。
「『これって────』」
タマモクロスのセリフは続かなかった。何故なら穴の奥からゴグマジオスの熱線よりなお太い青い光線が大地を貫いたからだ。穴は広くなりそこから一人と一体が顔を覗かせていた。
「心配かけちゃったかしら。この通り、私達は無事よ」
「会話するのは初めてだよね。僕がアステラだよ。みんな、おっきくなってもよろしくね!」
「は……?」
「『一難去ってまた一難か……』」
「はぁぁぁ!?!?!?」
成長し言葉を話せるようになったアステラに一同また騒ぎへと発展していた。
「黒龍ミラボレアス。私はその伝説を追っていてね」
赤衣の男────もとい、正体を明かしたジョン・アーサーはこれまでの旅路を語っていた。
「私達の世界は概ね、古龍が生物としての頂点に位置している。古龍でなくてもそれに匹敵するモンスターはいるが、環境そのものを恒久的に激変させられるモンスターは古龍だけだ」
「ミラボレアスも古龍なの?」
「ああ……ただミラボレアスはその実在が信じられていなかった。ミラボレアスという名前そのものも、"運命の戦争"を意味する言葉でね。ミラボレアスは存在そのものが伝説なんだ。お伽噺としては各地にいくらでも残っているのだがね」
キョダイリュウノ ゼツメイニヨリ
デンセツハ ヨミガエル
黒龍伝説の冒頭である。黒龍の伝承は各地に残っているが、その内容は多岐に渡っており隣合う地域ですら、相反する内容であったりとその伝説には不確実性があった。
「ミラボレアスはどんな古龍なの?古龍って言うからには、例えばバルファルクみたいに凄く早かったり、イナガミみたいに植物を操ったりとかそういうことができるんだよね?」
「何と言えばいいか……確実なことを言うのであれば……あれは……人類の敵、だ」
「人類の敵?」
「そうだ。私の世界には過去、栄華を誇った巨大な王国があったのだが、それが一夜にして滅んだという歴史がある。そしてその巨大な王国を滅ぼしたモンスターこそミラボレアスだと私は結論づけているんだ」
「モンスターが国を……?」
「流石に現実味を感じないか。向こうの世界とこちらの世界では文明レベルに大きな開きがある。君にとって分かりやすく言えば、私の世界はおおよそ中世ほどの文明レベルだ。飛行船や蒸気機関など、ある程度は越えているがね。小国であれば、強力な大型モンスター一体の被害で国が傾くくらい普通にある話なんだよ」
「とんでもない世界だ……」
「巨大な王国────シュレイド王国というのだが、なぜか末期の資料が極端に少ない。それを追う内にミラボレアスの存在に行き着いた訳だ」
「ミラボレアスの存在は分かったんだよね?ならなんでこっちに……?」
「竜大戦時代────ミラボレアス以上の禁忌に、私が触れてしまったからだ」
赤衣の男が懐からある道具を持ち出す。それは幾つもの歯車が露出した懐中時計だった。どうやら壊れてしまっているようで、針が動く様子は無い。赤衣の男はそれを、ガラクタでも扱うように叩いていた。
「私はミラボレアスを追う内にそれがどこから来たかを調べようとした。古龍とて生物、生物であるならば食性や繁殖など本来の生態行動があるはずだと考えたからだ。しかしミラボレアスはシュレイド王国の伝説以前に全くその存在が記されていなかった。故に私は視点を変え、シュレイド王国ではなくより古い古代遺跡に目を付けたんだが……驚いたことに、これら古代文明は君が住むこの世界の文明すら上回る技術があったようだ」
「それがその懐中時計?」
「ああ。今でこそこれは動かないが、発動するとランダムな未来移動と空間跳躍が行える。私はこれを使って君達のこの世界と私の世界を行き来していたのだ」
「SFの世界じゃん……」
「このランダムな未来移動というのがキモでね。私はこれを使って最初にこの世界に来た際にそこで家族を設けたんだが、その後に戻ってもう一度来てみれば数百年も時間が進んでいたんだ。私の世界ではそのままだというのにね」
「あーなるほど。我が子孫っていうのでびっくりしたけど極端に長寿なんじゃなくて未来に時間が進んじゃってたのか」
「しかも過去には跳べない。おそらくだが本来は別の、何か正しい使い方があったのかもしれないがこれの資料もほとんどない。僅かな記録を頼りに私はこの世界に逃げてきた」
「逃げてきた?」
「私が調べていたミラボレアスや竜大戦時代というのは、どうにも明かされたくない禁忌の知識だそうでね。由来不明の刺客が何度も私の命を狙ってきたのだ」
赤衣の男は手記を手に開く。そこには生物のような、機械とも言えるような謎の物体のスケッチが描かれてあった。
「なにそれ……まるでフランケンシュタインの怪物みたいな……」
「君は洞察力が鋭いな。その答えで合っている。これは幾つものモンスターを解体しそれを繋ぎ合わせた人工兵器────竜機兵、またの名をイコール・ドラゴン・ウェポンだ。去る時代、古代文明は素材から生命を作り出すほどの技術を持ちこれを使って次々とモンスターを殺戮していった。そして殺戮したモンスターを元にまた新たに竜機兵を作るという負の循環がなされていたんだ。そんな古代文明に抗うために竜が人間と争い────詳細は不明ながら、結果として古代文明は滅亡した」
「禁忌の知識……」
「こんな兵器がかつてあったと知られれば世に混乱を招くと思われるのは当然だろう。私の世界の古代文明と現代文明は完全に断絶している。今のところミラボレアスと古代文明との間に繋がりを示す記述は無いが、もしかしたらミラボレアスはかつての人類の蛮行を覚えていてその復讐にシュレイド王国を滅ぼしたのではないか、根拠は無いにしろそう見えて仕方ないのだ」
手記を閉じる赤衣の男。そしてそれをそのままセイウンスカイに差し出す。セイウンスカイは赤衣の男がなぜ手記を渡してくるのか、それが分からないでいた。
「セイウンスカイ、君に頼みがある。私の代わりにこれらについて調べてほしい。本来なら私の仕事だが、時計は壊れている上に元の世界では私の顔が割れていて満足な調査が行えない」
「……マジかー」
「無論、ただでとは言わない。向こうには私の事情をよく知ってくれている友人や仲間達がいるんだ。彼らに向けて紹介状を書こう」
「それもいいけど向こうの知識がほしいです。モンスターもそうだけどお金とか言語とか、そういう一般常識」
「もちろんそれも教えよう。その上で……かなり危険な旅になる。それでも引き受けてくれるか?」
「……調査してどうすればいいの?」
「編纂して広めてほしい。混乱を招くのではなくかつてあった繰り返してはならない人類の負の歴史として、学びとなるように」
迷うように手を上げたまま止めていたセイウンスカイだが、やがて意を決するように力強い手付きで手記を受け取った。
「……いいのか?」
「ついでに調べるくらいなら、まぁ、って感じかな。元々向こうに行くのは確定だし。ミラボレアスっていうのも、私なら話せるから動機ぐらい分かるかもね」
「最後に私が向こうに行ったのは十年以上も昔だが、ハンター業が隆盛して間もない時代だった。ハンター業が軌道に乗るのは良いが、それがまたかつてのような殺戮を繰り返す引き金になってはならない。古代文明を知る極一部の者は古代文明の知識を危ぶんでいるようだが、例え知らなくとも歴史とは繰り返すものなのだ」
「……もしかすると私が古龍と話せたり、龍属性使えるのもその辺が関係あるのかな」
「龍呼びの声については私も詳しいことは分からない。ただ似た現象はあったな。確か竜人族の共鳴だったか……」
「まぁその辺はおいおいで良いかな。やるよ、そのミラボレアスと古代文明の調査ってやつ。この世界でもクローンとか命の倫理に関わる技術はあるからね。参考にはなるかも」
「忝ない」
一言、赤衣の男は深々と頭を下げ最上級の礼を取った。心苦しいのだろう。本来は自分がやるべき使命を未だ若い娘に任せるのは酷な決断であった。
「まだ年内に走る予定もあるし……向こうの世界の勉強もしたいから……行くのは来年かな」
「そうだったな、君はウマ娘だ。……向こうの世界にはレースどころかウマ娘もいない。走り競い合うことを渇望する君達にとってはあまり良い世界とは言えないが……」
「心配性だね。行くって言ってるじゃん。それじゃあ向こうに行かせたくないみたいだよ」
「本音を言えば、君はシャーロットの友人だ。それを私の都合で取り上げようとしていることに何も思わない訳ではない」
「勘違いしないでほしいんだけど、行くのは私の都合だよ。貴方のはあくまでついでだってば」
「それもそうだったな……」
浜辺に打ち寄せる波打ち際、その向こうから手を振る影が見える。船でネルギガンテを捜索してくれていたシャーロットが来てくれていた。
「そろそろ行ったら?今の話、知られたら不味いでしょ」
「ああ。近い内に、また会おう」
踵を返して去っていく赤衣の男。
それをセイウンスカイは見送る事もせず、再び横になると満天の星空を楽しんでいたのだった。
顛末として。
古龍大戦と名付けられた戦いの後始末はそれはもう多方面に混乱を招いた。
まずは政治のターン。
ダラ・アマデュラ、ラオシャンロンを相手に戦っていた中国は硫黄島に集結した古龍達を見て日本による陰謀などといつもの持論を展開したが、それが受け入れられる事は無かった。むしろ日本政府はそれに対して開き直ってすらいた。珍しい日本の態度に諸外国の注目を集めたが、なんてことはない、ただ古龍達が強力過ぎてどうしようもないためほとんど放置せざるを得ないが故の諦めである。同盟国である米国はこの日本の心情を理解しており、代わって台湾近海で軍事演習を行うなど日米の結束力を中国側に見せつけていた。米海軍も艦艇を喪失しているため演習などやるどころではなかったのだが、ただでさえ古龍大戦で疲弊しているところにぐだぐだと中国から難癖付けられるのは米国としても苛立ちを抑えられなかったからだ。中国もまた、結局古龍を仕留められなかったために軍事力による権威が失墜しないよう軍内部の引き締めに力を入れていた。日本への難癖などいつもの事であり、ただのポーズでしかなかった。
壊滅した硫黄島だが復興しつつも一部の古龍達に住みついてもらう方向へと舵を切っている。具体的にはラオシャンロンやマム・タロト、ヤマツカミや地啼龍など、帰る場所が無かったり泳げなかったり飛べなかったり、総じて休眠していたくない古龍達が島に住む運びとなった。マム・タロトは当初こそ故郷であるコロンビアに帰る気満々だったが、不可抗力とはいえ人間を現地で殺害しているマム・タロトを帰すのは混乱が生じるとの事でタマモクロスが電撃を流して言うことを聞かせていた。普段ならともかく、持ち直したとはいえ未だ疲弊しているマム・タロトがこれに抗えるはずが無かった。
例外的にゴグマジオスは元のユクモ村近郊の採掘プラントに戻る事になっている。ただし休眠するのではなく、積極的に起きては重量物の運搬など人間の手伝いをしたがるようになっていた。重油の件があるため自由に外へ出るのは難しいが、セイウンスカイが頻繁に訪問する事で解消している。
海棲古龍三体とダラ・アマデュラ、ゾラ・マグダラオスは硫黄島を中心にしばらく日本近海を回遊するつもりとの事だ。ナバルデウスは叔父である亜種の元で修行するらしい。一方でオストガロアは人間に協力した態度が評価され、監視の目まだあるもののレールガンを搭載した駆逐艦による警備の目は無くなった。結果的にはオストガロアの思惑通りと言える。そして巨体過ぎる二体は基本的に止めようが無いので人間に被害さえ出さなければそれで良いと放置されていた。喧嘩友達でもあるこの二体は時折海のど真ん中で派手な喧嘩を繰り広げるものの、それ以外は人間に手を出さずに大人しくしてくれている。というか、ダラ・アマデュラに至っては人間が通行する航路を自分から気にするなど特に聞き分けが良かった。尤も巨体のため、接触だけでも事故が起こらないようGPSによる監視はあるが、それ以外は基本自由だった。
そしてウマ娘達と共に暮らす古龍達。
バルファルク、イナガミはこれまで通りである。しかし物議を醸したのはアステラだった。数日の間に40mを越える大きさにまで成長したのだ。今までのようにアドマイヤベガと共に暮らすのは難しい。ただアステラはトレセン学園にさえいられればそれで良いようで、バルファルクと同じターフで過ごす事を希望した。バルファルクはアステラがターフへと入ってくるのにひどい嫌悪感を示したが、最終的には他に場所が無いという事で渋々了承している。
そしてアステラの変化も話題を呼んでいた。成長したおかげで誘引能力が制御できるようになり、これまでのような無差別な誘引は無くなった。ただそれ以上に変化が大きいのは言葉だった。なんとアステラは龍の言語が全く使えず日本語しか話せないのである。バルファルクはともかくとして、龍呼びの声にも反応しないためイナガミなどとは会話が成立しなかった。これまでとは全く逆の状態にアグネスタキオンやシャーロットなど学者勢が頭を悩ませている。恐らくは卵や幼少期の成長過程に秘密があるのではと推論が立てられているが、肝心のアステラがそれを上手く口頭で説明できないために研究が難航していた。
ただ親であるアドマイヤベガは全くそれを気にしなかった。人の認識についても分別が付くようになったため、ナリタトップロードを始めとするアドマイヤベガの友人を中心に他の人間とも交流を重ねるようになったからだ。アステラの変化にトレセン学園のウマ娘達は皆驚きはしたものの、これまでよりもずっと付き合いやすい性格になったアステラの人気は高まっていった。
総じて、変化はあったものの古龍大戦の後始末は何とか丸く収まったと言えよう。
セイウンスカイはこの後6月末に宝塚記念に出走したが、ここで初めてと言っていい八着という惨敗を喫した。原因は言わずもがな、古龍大戦の後始末によりろくなトレーニングが出来なかったからだ。セイウンスカイはこの結果にいつものような昼行灯な態度をしていたが、共に出走していた同期の仲間達にこの態度を咎められている。というか、勝ったキングヘイローを激怒させていた。
「やる気が無いなら、レースに出るな!」
要約するとこれである。もちろんセイウンスカイとしてはやる気が無い訳ではなかった。ただ万全かと言えばそれにも当てはまらない。古龍大戦の後始末で忙しいセイウンスカイが満足にレースを意識出来たとはとても言えなかったのだ。
元々激情家の側面があるキングヘイローだが、いつもの振る舞いすらかなぐり捨てた魂の叫びに、セイウンスカイとしても考えを改めるしか無い。折しも、宝塚記念は有マ記念と同様ファン投票によって出走が決まる。しかも今回のレースは同期六人が初めて集まったレースだった。ライバルにもファンにも不甲斐無い走りをしてしまった事にセイウンスカイと言えども申し訳無さがいっぱいだったのだ。
ダービーの時とは全く違った理由でセイウンスカイは心機一転を心がけるしか無かった。
そして季節は夏。
ウマ娘達に、再び熱い合宿の日々が訪れる。
ヌッ!(ワイルズの挨拶)
まさかびっくり新種族の頭足種ですよ。今まで軟体モンスターはみんな古龍でしたからね。油を纏って炎上してることから火はもちろん油で水を弾くので水耐性もありそう。なおかつ非竜(龍)種という事で龍属性も通りづらい印象。熱帯のモンスターは氷属性に弱い法則と考えると弱点属性は氷が効いてその次が雷といった感じですかね
ワイルズが非常に楽しみです。個人的には情報公開の流れが4ととてもよく似ていると感じます。4の時も3以降音沙汰無かったクックやババコンガなどの復活モンスターがいましたし、合わせて両生種鋏角種蛇竜種の新種族新モンスがお披露目されていました。そろそろ蛇竜種の新規モンスほしいですね。同期の他の種族は新モンスいるのに……
あ、でも極限ガララアジャラ亜種はいらないです。あれは控えめに言っても悪意の塊でしかない(n敗)