セイウンスカイとバルファルク   作:エドレア

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皆様、日々ご愛読頂きまして誠にありがとうございます。
基本的にARKばっかり遊んでる私ですがアウトランダーズにARKっぽさを見出だしてます。モンスターテイムできないかな……


急転直下

 

 

 

 

 

 

「主上! 西シュレイド側より、山頂の百竜様について詳細を求めると……!」

「不遜な……! 百竜様の威が分からぬと……!」

「あちらは激昂しておりますれば。こちらの制止を振り切り東へと居を移しております。いつでも砲撃できると!」

「島津は何をやっていたのですか!」

「木造船で行く手を塞いだところで鉄甲艦に弾かれるのが関の山と申しております。島津はこれら一件に関し、我々(朝廷)に疑義を申し上げると……」

 

 散発的ながら、東からは砲撃音が聞こえている。

 まだアヤ国本島へ攻撃している訳ではない。当初予定した"演習"の日程を大幅に早めアヤ国側の許可も得ずに見せつけているのだ。

 ナルハタタヒメの雷で尻尾を巻くだろうと考えていたアヤ国主上は、逆に事態がエスカレートしている事に焦燥を隠せていなかった。

 

「手段は問いません。なんであれ大陸人を入れてはならない。百竜様目当てなら尚更です。ここは、先祖より受け継がれし百竜様の楽土。百竜様の安寧の地を余所者に穢されてはならぬのです」

 

 朝廷は西シュレイド側の要求に混乱を起こしていた。

 これまでのアヤ国は使者や使節が来ようとも順当に追い返す事で鎖国を保っていた。しかし、自国の軍船を遥かに上回る鉄甲艦で初手から武力的な威圧をしてくる相手は想定できていなかった。長い鎖国の政策のせいでアヤ国国内では変化を促すような革新的アイデアに恵まれていない。それもあって純粋に武力で相手が上回るという想定が成されていなかったのだ。

 

「主上! 奴らは1日のみ猶予を設けると言っております。それが過ぎれば、如何な解答でも山頂へ砲撃すると! 奴らは百竜様をただのモンスターとしか見なしておりませぬ!」

「おのれ……! 出せる船は全て出しなさい! 別に砲撃でなくとも他に手段はあるでしょう! 直接乗り込み鉄甲艦を制圧しなさい!」

「しゅ、主上。直接攻撃してしまえば奴らに反攻の口実を与えるだけでは……あの船には西シュレイドの王女も乗っています。今ここで構えてしまえば交渉の芽は完全に潰れてしまいますぞ!」

 

 装甲艦を見て恭順する者、徹底抗戦を叫ぶ者、消極的ながら時間稼ぎが行えないか模索する者。

 アヤ国朝廷は内部で意見が纏まらず、それが元で主体政府であるにも関わらずこの後の動乱に蚊帳の外として捨て置かれる事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方で、西シュレイド側も意見が割れていた。

 

「会長!? せめてセイちゃんが来るまで待ちましょうよ!」

「ツルマルツヨシ。悪いがその時間は無いんだ」

 

 東方派遣艦隊を構成する水兵の大半はミナガルデ出身だ。そのためモンスターから受けた攻撃に対して反撃の意思は高かったのだが、セイウンスカイから話を聞いていたツルマルツヨシがシンボリルドルフに掛け合っていた。

 

「俺も性急過ぎるんじゃないかと思うがねぇ。何なら俺がモンスターのところにまで行ってきてやってもいいんだが」

「砦蟹がいる以上それは認められない。しかしアヤ国側からの解答は必須だ。奴らの態度を見極めなくてはならない」

「これを利用してアヤ国に要求を通すことには賛成だけれど……攻撃には賛成できないわね」

「第一王女殿下。"アヤ国"への態度としてはそれで間違いありません。しかし私達は事実としてモンスターからの攻撃を受けている。外交上問題があるからといってモンスターが意を汲んでくれたことがありますか?」

「けれど、貴方が私を飛び越える意味はあるのかしら? 貴方は私の意を汲んでくれないの?」

「殿下、私はこの艦隊の司令なのです。艦隊の無事は何に置いても最優先事項であって、そのために()の撃滅が必要なら躊躇いなく私は砲を向けるつもりです。明確に害意に晒された以上、反撃は必須と愚考します」

 

(不味いわね……きっとこれはスカイさんが望んでいた展開じゃないわ)

 

 西シュレイド使節団としては第一王女が筆頭なのだが、艦隊の指揮権はシンボリルドルフにあった。第一王女が退けと言ってもシンボリルドルフがそれに応じなければ艦隊が退く事は無い。

 ミナガルデ水兵の士気も高い。対モンスター用に作られたはずの兵器が、モンスターから攻撃を受けておいて何もせずむざむざ退くような真似になるのは本末転倒も良いところである。

 

「事前通告も無しに攻撃はしません。そのために1日だけ猶予を与えたのです。彼らが何と返事しようと、人に危害を加えるモンスターを見逃してはならない。違うか、レドゥアン殿」

「……せめて次の攻撃があるまでってのはどうだ? モンスターだって根拠も無く攻撃はしない」

「その根拠はなんだ? その攻撃で死者が出たら?」

 

 誰が見てもシンボリルドルフはモンスターのものと思われる攻撃に激昂しているのだが、困った事にシンボリルドルフは激昂していても冷静さは失っていなかった。艦隊の指揮権がシンボリルドルフにある以上、武力行使の是非はシンボリルドルフの一存で決められてしまう。第一王女とはあくまで協力者としての関係でしかないため、シンボリルドルフは我を押し通すために第一王女の意見すらもはね除ける心算であった。誰もシンボリルドルフの理論武装に敵わなかったのだ。

 

 このままでは事態が悪化する。

 キングヘイローはここで覚悟を決めた。

 

「ルドルフさん。私が今から、アヤ国本島に行きます。明日までに帰って来なかったら私を死んだ者として扱って下さい」

「キングヘイロー、何をするつもりだ?」

「ツヨシさんが言っていたでしょう? 今この島にはスカイさんが来ています。彼女の能力なら、モンスターと平和的に事態を収めることが出来るはずです」

「セイウンスカイに頼ると? ……ふむ……」

「キングちゃん! 私も連れてって! 地図が出来たから道案内できるよ!」

「ツヨシさん……」

「どのみちアヤ国に対して強硬策を取るなら、キングヘイローを送り込んでも一緒ね。私からも勅を下しましょう。王家の名において、アヤ国への潜入を命じます」

「俺はここに残るべきだな。さてどうするんだルドルフさんよ。セイウンスカイって言ったら最近話題のルーキーだぜ。キングのお嬢ちゃんが言う友達ってのに賭けてみないか?」

 

 ウマ娘以外はセイウンスカイの能力について知り得ないが、実力がある新人ハンターというのは周知の事実だった。対モンスター最大戦力であるレドゥアンはシェンガオレンに備えなくてはならないため離れられない。

 

「いいだろう。キングヘイロー、ツルマルツヨシにこの件を一任する。君達の帰還を待って判断しよう。だが、再度攻撃があるならこちらは遠慮なく反撃する。それを念頭に置いてくれ」

「「はいっ!」」

 

 キングヘイローの覚悟に少し頭が冷えたシンボリルドルフは彼女達の意思を尊重した。

 

 砲撃の間を縫って煙幕を展開する。流石に艦隊から小舟が発進する様子は目立つために少しでもアヤ国に潜入がバレないよう展開された煙幕だった。

 おかげで()()も潜入しやくなる。

 

「ふふふ……わらわを無視するとは良い度胸じゃ……それならわらわにも考えがあるぞ……」

 

 キングヘイロー、ツルマルツヨシ両名乗る小舟にこっそり第三王女が紛れ込んでいるとは誰も気付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『この縄張りの主が動いたな』

『さて、どうする? 監視の目は緩んだようだが』

 

 二体のシャガルマガラは倉庫の奥で身を起こしていた。

 少なくとも動くのに支障は無くなった。まだ全快とは言えないが飛んで逃げるだけの体力は付いた。

 ヤエノムテキはこの時タイミング悪く島津家に呼び出されており、誰も倉庫を監視する者がいなかった。それが彼らを動かす理由となっていた。

 

 無理に倉庫から押し出て辺りを見回す。まるで時代劇にでもありそうな町並みだが、人の姿は無い。実は今回の混乱に限って朝廷が外出禁止令を出しており、それが結果的にシャガルマガラ達を一般人に関わらせない事に成功していた。事実上の戒厳令だがそんなことシャガルマガラが知る由は無かった。

 

『あの龍は縄張りの主に挑むようだ』

『逃げるなら今だな。人間達の行動は分からなかったが助かった』

『礼に鱗の一つでも残そうか』

『ダメだ。あの龍がいる。また"私"の気配を追って来かねない。痕跡は残さず行こう』

 

 そのまま飛び立ちアヤ国を後にしようとするシャガルマガラ。

 彼らはセイウンスカイとアヤ国に巣くう古龍がぶつかって漁夫の利が得られないかと考えていたが────。

 

『存分に潰しあってくれ。運が良ければ"私"の糧になってくれることだろう』

『左様。疲弊した隙を狙えばあの龍とて仕留められるは────』

 

「グルゥァァァ!!!」

 

 突如として、紫炎の塊が彼らを襲う。

 

 ゆったりと飛んでいた二体を、爆発が纏めて地に叩き落とした。

 

『ぐぁっ……なんだ、またやつか!?』

『いや違うぞ。こやつは……』

 

 二体が墜落したのはちょうどよく彼らが流れ着いた砂浜であった。誰もいない砂浜にクレーターを作りながら、二体のシャガルマガラは不調のまま臨戦態勢に移る。

 

 そして彼らを叩き落とした紫炎────怨嗟響めくマガイマガドは、セイウンスカイのへの怨みを抱いたまま適当に目に付いたシャガルマガラ達に八つ当たり染みた攻撃を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待って……! 山の気配が動いた……!」

「ほう? やはりあそこにモンスターがいたか」

 

 偶然の邂逅から親睦を深めていたセイウンスカイ一味と"我らの団"団長だったが、山頂から放たれる落雷を見て彼らは足を急いでいた。

 

「おまえさん達に聞きたいことは山ほど出来たが、まずは山のモンスターを片付けないとな。俺の見立てじゃ、山頂のモンスターはここの人間達と結び付いてる。我ながら自分の出した結論に半信半疑だったんだが、セイウンスカイのおかげで確信が持てた」

「えっと……信じてくれるんですか。私の能力……」

「信じるも何も実際目の前でやってくれたじゃないか! 隊長のお墨付きもあるしなぁ。疑うだけ損だ」

 

 手紙にはセイウンスカイが異世界のウマ娘であるという事と、彼女の能力を含め一通り事情について説明が書かれていた。唯一複数のウマ娘が来てしまった事だけは事故によるものなのでセイウンスカイが説明したが、全て笑って団長は受け入れてくれたのだ。

 

「古龍の気配が分かるんだろ? おまえさんの見立てはどうだ?」

「私の見立て、ですか? 多分ですけど、物凄く強いと思います。地脈を完全に自分の物にしちゃってるのでエネルギー源がほぼ無尽蔵なんだと思います」

「なるほど、それ以外はどうだ? 例えば動向とか、感情とか」

「動向……そういえば、私に対しては気付いてるみたいですけど敵対的な感じじゃありませんでした。代わりにどこかにあの雷で攻撃してて……何を狙ったんだろう……?」

「攻撃か。今このアヤ国で目立ちそうな攻撃目標はなんだと思う? 例えば普段は存在しなくて、アヤ国の日常に沿わないような異物だったら古龍も気にするよな?」

「……! もしかして、ルドルフさんが乗ってる船……!」

「あの船には巨龍砲が積んであった。モンスターに攻撃された今、巨龍砲を使わない理由は無い。おそらくだがあの船に乗ってる奴らは山頂のモンスターについて攻撃を起こしかねないと思うぞ。そうなるとアヤ国と完全な亀裂が入る」

「止めなきゃいけない。それじゃあかつての過ちの繰り返しになる……!」

「待った待った。今闇雲に走っても意味が無い。作戦を立てなくちゃな」

 

 事態が驚くほど急変している事にセイウンスカイは焦ったが、そこは流石に年の功、団長が止めに入る。

 

「まず、古龍と対話できるのはセイウンスカイだけだ。だから、山頂に行くのはセイウンスカイとそのオトモだけで十分。俺とエルコンドルパサー達は船の方に向かうんだ」

「手分けするんデスか?」

「話を聞く限り、今はあちこちに気にしなきゃならんことがある。シャガルマガラ達は俺ともう一人で見てたんだが、この状況じゃそれも万全とはいかない。二体のシャガルマガラも動き出していておかしくないだろう」

「シャガルマガラも暴れ出したら……」

「その心配は無いと思いたいが、何せ狂竜ウィルスがな……シャガルマガラ達にその気が無くても被害を出しかねん能力だ。俺は隠してた船に戻って、狂竜ウィルスの抗体を作ってくる。感染する人がいないとは限らんからな」

 

 ウマ娘である事ももちろん明かしているため走る速度を誤魔化す必要も無い。団長の指示に従って、セイウンスカイが山の方へと走っていく。

 

「セイウンスカイ! 俺が渡した()()()()()、上手く使えよ! おまえさんなら使いこなせるはずだ!」

「ありがとうございます、団長さん! ……サシミ、急ぐよ!」

「合点承知ニャ~」

「セイちゃん、キングともまた後で……!」

「うん! 終わったらみんなで合流しよう!」

 

 ウマ娘の速度に団長はついていけない。エルコンドルパサーがおぶり全速で駆け出す。

 

 事態の一面は山の方にへと集束しだしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グォォォ!!!」

『こいつ……強い……!』

『抜かった……普段なら御しきれるだろうに……!』

 

 二体のシャガルマガラVS怨嗟響めくマガイマガド。

 古龍二体と非古龍という事で、本来ならシャガルマガラに軍配が上がりそうな内容である。しかし、戦闘の推移としてはマガイマガドが一方的に攻め立てる展開となっていた。

 

「グゥォ!!!」

『この……ちょこまかと……』

 

 飛び立つ事も出来ずにその場でまごつく二体のシャガルマガラ。

 シャガルマガラの周囲を高速でマガイマガドが疾走する。モンスターとしては比較的大柄なマガイマガドだが、爆破跳法により体格に見合わない機動戦を好むのがマガイマガドだ。前足の腕刃からは紫炎が迸っており、すれ違いざまにそれで切りつける事で二体の体には裂傷が増えていった。

 

『これならどうだ?』

 

 マガイマガドの接近に合わせてブレスを爆発させるシャガルマガラ。カウンターを狙えないかと放ったブレスだが、何とマガイマガドはそれを強引に切り裂いてしまう。

 蝕むはずの狂竜ウィルスは紫炎に焼かれて消えていった。

 

『やはり本調子とはいかないか……』

『どうする? このままでは……』

 

 何か打倒する手立てはないかと周囲を見渡すシャガルマガラ。しかし彼らの視界に入ったのは内陸の民家の陰から顔を覗かせる子供の姿だった。

 

『子供!? なぜこんなところに……!』

 

 外出禁止が言い渡されているとはいえ子供には理解できないだろう。大きな物音がしていれば誰だってそちらに注意が向く。

 

『まずい、人間を巻き込むのは……!』

 

 ────なぜ、人間を巻き込んではいけないのか? 

 

 一瞬でも思考に没頭してしまったのが仇となり二体の内一体のシャガルマガラがその場に組伏せられる。喉元を咥えられ、頸椎をへし折らんとマガイマガドはあらん限りの力を込めていた。

 

『"私"!?』

『あ……がぁっ……』

 

 もう一体が助けようと翼脚の叩きつけや体当たりを繰り返すがマガイマガドは動じていない。セイウンスカイに角をへし折られた後、雪辱を果たさんとイビルジョーもかくやという食いっぷりを発揮したマガイマガドは純粋な膂力でシャガルマガラを上回っていた。

 

『やめろやめろやめろ!!! ()はもう二度と、()()()()()()()()()()()()!!!』

 

 絶叫と言っていいほど吠えるシャガルマガラ。

 そこには古龍らしい強さなど無く、大切な物を守ろうとするだけの余地しか無い。だがそれも、不調を前に奪われかねない悲劇が襲いかけていた。

 だが、そこに思わぬ闖入者が訪れる。

 

「おい、落武者! シャガを離せ! おまえなんか怖くないぞ!」

『な……』

「グゥ?」

 

 人間の子供達だった。そこらへんの石や棒切れなどを投げつけてマガイマガドの気を引いている。物陰に隠れていた子が仲間呼んだのだろう。親の目を盗んで抜け出したようだが、しかしどう見てもやっている事は自殺行為だ。

 マガイマガドがシャガルマガラを咥えたまま子供達に近付く。牙が使えなくとも前足の一振で一掃できるだろう。子供達に注意が向いているおかげで咥える力は緩んでいるが、ほんの少しの延命に過ぎない。

 

『こやつらは関係無いだろう! くそ、言葉を持たぬ獣風情が……!』

 

 羽交い締めにしてでも引っ張ろうとするもう一体のシャガルマガラだが焼け石に水だった。このままでは惨劇が起きてしまう。その様子に、シャガルマガラ達は思わず自分達の事も忘れて焦燥を募らせる。

 

『なぜ、なぜ!? どうしてもこうも人間は利にならぬ行いをする!? "私"を受け入れた時もそうだった! "私"など捨て置けば良いはずなのに……!』

 

 マガイマガドの威容に子供達は怯んでしまっていた。尻餅を突きろくに動けぬ者もいる。

 彼らの事をシャガルマガラはよく知っていた。監視という名目でシャガルマガラが匿われている倉庫に遊びに来る事が多かったからだ。力の無い今、無闇に人間を傷付けると面倒だと理由を作って背に登られたり、顔に抱きつかれたりされても好き勝手にさせていたのだ。

 そんな無邪気な子供達に、怨みの腕刃が向けられている。

 

『"私"はいい! 誰か、誰でもいいから……!』

 

 腕刃が振り上げられる。

 

『子供達を助けてくれ……!』

 

 

 

 

 

 金属音。

 肉が裂かれる音ではなく、まるで剣戟の間に打ち付け合うような音が辺りに響く。

 

「全く、姿が見えないと思ったら」

 

 目を瞑っていた子供達に聞こえるのはマガイマガドの唸り声でも、シャガルマガラの断末魔でもない。どこからともなく現れて、ちょっと厳しいけどいつも遊んでくれる、力持ちの優しいお姉ちゃん。

 そんな日常を、シャガルマガラも子供達も知っている。

 

「ふんっ!!!」

「グゥオ!?」

 

 片腕の棍棒で腕刃を受け止めた姿勢のまま、烈昂の気合いと共に繰り出されるアッパー。

 したたかに下顎を打ち付けられたマガイマガドは牙が折れ、シャガルマガラを離してしまう。

 たたら踏んだマガイマガドは信じられないといった様子で目の前に立ち塞がる矮小なはずの存在に驚いていた。

 

 ちらり、と彼女は横目でシャガルマガラ達を見る。

 

「バルファルクがああなのだから、あなた方にも情はあるのでしょう。言葉は通じずとも礼は尽くします。────子供達を守ってくれてありがとう」

「お姉ちゃん……ヤエノお姉ちゃんだ!」

「下がりなさい。帰ったら説教────と言いたいところですが、まずはこいつを片付けてからですね」

 

 遠きフロンティアの地────メゼポルタの武器である試作型穿龍棍を構えるのはウマ娘きっての武道家。

 

「来るがいい。未だ未熟なれど、無法者に敗れる私ではないぞ」

「グゥ……グォォォ!!!」

 

 ヤエノムテキ────明らかな強敵の出現に、マガイマガドは己の内の怨嗟を、これでもかと響めかせたのだった。

 

 

 

 

 




やっぱり戦闘シーン書くのが一番楽しいですね

一発ネタの「YAMA育ちのタクトちゃん」が連載できそう。「セイウンスカイとバルファルク」が完結するまで控えるべき?

  • セイウンスカイとバルファルクに集中
  • 二作同時連載してほしい
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