トイ・ストーリー if after   作:生牡蠣

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場面は変わり、機関車からだいぶ離れた荒野地帯の国境付近。

そこを黄色いオープンカーが走っていた。

そう、アイパッチ軍団である。

 

「ハーハッハッハ! 予想より儲けたぜ。これはマイハニーに新しい宝石でも買ってやるとするかな」

 

「まぁ、素敵よ貴方!」

 

アイパッチ夫妻は金のプールに溺れながら、これらの使い道に胸を躍らせている。

 

「ん。これだけあれば、みんなにラーメン奢れる」

 

スナオオカミも自分の取り分を数えて、先輩や同級生、後輩たちと一緒に食事をする算段を立てていた。

 

「おいバート、俺様の取り分も奮発してもらうぜ!なんたって今日の為に最高の車を用意したんだからな!!」

 

そんな3人を尻目に、運転席のワリオが話しかけた。

実はワリオはバートの部下というわけではない。金儲けの為なら何でもやるというゲーム会社の社長兼冒険家だ。

偶々今日アイパッチ軍団が列車強盗をすると耳にし、おこぼれにあやかろうと逃走用の車の手配を買って出たのであった。

 

大金を前に、何処か和気藹々とした空気を纏っている悪党たち。

世の中金が全てはないという言葉がある。しかし大抵の事はおぁねでどうにかなってしまうのもまた事実なので、こんな反応になるのも仕方のない事だ。

だからだろうか。金銭に興味がないアイパッチ・バートの子ども達と、オープンカーはいち早く気が付いた。

 

 

自分たちの目の前から、スペースレンジャーが腕のレーザーを構えながら飛んで来るのに。

 

 

“キュキュキュイィィィィン!!”

 

バズ・ライトイヤーがレーザーを打った瞬間、車のハンドルが丸で意思を持っているかのように一人で荷動き、レーザーを避けた。

しかし、急なハンドル操作であった為か、車はそのまま横転。アイパッチ軍団も車の外へと投げ出されてしまった。

 

「どわぁ!アゥ!ノォン!!……っだ~…」

 

車から投げ出されたアイパッチ・バートは、身体が丸いため何回転もして地面を転がった。

しばらく転がって、何とか止まる。

 

「うぅ~“ザッ!”…ぅん?」

 

苦悶の声を漏らしながらも何とか立ち上がることに成功するバートがだ、近くから聞こえて来た足音の方向を振り向く。

 

「よぉ、さっきぶりだなアイパッチ・バート。 全員銃を捨てて手ぇあげな」

 

そこには、キメ顔で仁王立ちをするウッディの姿があった。

ウッディだけではない。ジェシーも、タイキシャトルも、電王もギャングたちを逃がす気がないという雰囲気を纏って隣に立っている。

それに追い打ちをかけるかの如く、バズ・ライトイヤーも上空から着地し、彼らにレーザーを向け始めた。

ギャングたちは追い詰められていた。

 

しかし、アイパッチ・バートの余裕の表情は崩れなかった。

 

「へっ、俺を捕まえようなんて無理な話だ。こっちにはバリア使える犬が居るんだからな!」

 

そう言ってバートは口笛を吹く。すると、どこからか一匹の犬が現れた。

その犬は頭とお尻は普通の犬なのだが、胴と尻尾はバネで出来ているという奇妙な生き物であった。

犬は胴のバネを伸ばし、ギャングたちの周りを囲むと自らの尻尾に噛みついた。

その瞬間、彼らの周りにエネルギー波で作られたドームが現れた。

どうやらバートの言っていたことは本当の様で、あの犬はバリアを作れるのだ。

バリアの前では、バズのレーザーも分が悪い。

しかし、ウッディもまた余裕の表情を崩さなかった。

 

「こっちには恐竜がいる、そんな犬などイチコロだ!」

 

「ヨッロレイヒイイィィィィィィ!!」

 

ウッディの言葉に応えるように、ジェシーが突然叫び出す。

その瞬間、彼らが立っている大地が裂け、その中から大きな影が飛び出す。

緑の鱗に鋭い爪と牙、そしてすべてを飲み込んでしまいそうな大きな口。

その姿は、まさに太古の王――――Tレックスだ!

 

Tレックスはギャングたちを発見すると、彼らに向けて咆哮を轟かせた。

まるで『今日のランチはお前らだ!』と言っているかのようだ。

Tレックスの登場に流石のバートの表情も引き攣る。流石に恐竜相手は分が悪い。

再び絶体絶命のギャングたち。その状況を打ち破ったのは、意外にもワリオであった。

 

「ガ~ハッハッハ! 安心しなバート、こんな事もあろうかと特別性の車を要したって言ったろ。 さぁ、高いガソリン代払って雇ったんだ!きっちり仕事してもらうぜ!!」

 

ワリオは何故か横転している車に向かって叫んだ。

すると驚くべきことが起こった。なんと、横転していた車が“ガゴガゴ!”と金属音を鳴らしながらその姿を変えていったのだ。

ドアから腕が、足が生えて、最後にはボンネットから顔が飛び出し、あっという間に黄色い機械の巨人へと変身したのだ。

 

「どうだ、この前中古自動車店で見つけた金属生命体だぜ!恐竜なんて目じゃないね!!」

 

ワリオの言葉に呼応するように機械の巨人―――バンブルビーがファイティングポーズを取る。

ワケあってワリオに雇われる身となったバンブルビーだが、本当は正義の心を持つ誇り高いサイバトロン戦士だ。本当は気は進まない。

しかし、色々あってワリオに恩があるのも事実。ここは心を押し殺してでも戦うと覚悟を決める。

バンブルビーの登場にTレックスも一瞬怯むが、すぐに気を持ちなおして機械の巨人に吠える。

太古の王者と遥か宇宙のかなたの金属生命体。世紀の対決が今ここに始まる…!

 

「……?」

 

そう誰もが思っていたのだが、突如その場の全員の顔に影が掛かり、思わず上を見上げてしまう。

そこには、深い緑色をした巨大機動巡洋艦―――ザンジバルの姿があった。

ザンジバルは本来、ジオン公国軍が所持する宇宙の船だ。

何故突然ジオン軍が来たのかウッディ達は疑問を持つが、バズだけは違った。

バズ・ライトイヤーは知っていたのだ。スペースコマンドからの情報で、恐るべき科学者がジオン軍を襲い、MSや戦艦を奪っていったのだという事を。

その科学者の名は―――

 

 

 

 

「ドクターポークチョップだ…!」

 

 

『ドクターポークチョップ様と呼べ!』

 

バズの言葉に返すように、ザンジバルに搭載されたスピーカーから声が響いた。

その名を聞いたウッディ達は、思わず身構える。

悪の科学者・ドクターポークチョップ。ブタの様な見た目からは想像できない天才的な頭脳の持ち主で、ウッディやバズ達も何度も戦ってきた相手だ。

バリアを張れる犬という改造生物をバート達が持っていた時点で何かがおかしいとは感じていたが、まさかアイパッチ軍団と手を組んでいたとは…!

 

ポークチョップの声が響いた後、ザンジバルから謎の光が放たれ、バート達を包み込む。

するとどうだろうか、彼らの身体が光となり、ザンジバルの中に吸収されていくではないか。

本来、ザンジバルにはこのような機能はない。しかし、あの恐るべきポークチョップの事だ。きっと謎の技術で改造したに違いない。

 

ポークチョップはバートたちが戦艦の中に乗った事を確認すると『お猿のミサイル』と書かれたスイッチを押す。

それに反応し、ザンジバルはウッディと対峙するように方向を変えた。

そしてウッディ達は見た。ザンジバルに搭載されているJミサイルが、自分たち目掛けて発射されるのを…!

 

「み、みんな逃げろー!」

 

ウッディの言葉に、バズ達は走り出す。

走り出したのが早かったのが幸いしたのか、ミサイルはウッディ達からはるか離れた地面に直撃し、大爆発を起こした。

運が良かったって? いいや違う、ドクターポークチョップの狙いは別にあっただけだ。

 

「ウキ―!」

「ウキキッ!」

「ウホウホッ!」

 

なんとミサイルが爆発した瞬間、爆炎や煙の代わりに無数の真っ赤な猿たちが辺りに飛び散っていったのだ。

猿たちは大地を掛け、ウッディ達に向かって襲い掛かっていく。

猿たちを何とかしようとTレックスが対峙するが、その物量に押されて猿の波に飲み込まれ、電王は武器やパスを奪われなすすべをなくし、タイキシャトルが自慢の足で逃げようとするも囲まれてしまい…ジェシー、バズと次々に捕まっていき、ついにウッディまで猿たちに捕まってしまった。

ウッディ達を捕まえた猿は、今度は互いに手を繋ぎ、まるでパズルのように自分たちもろともウッディ達を地面に張り付けにしてしまった。

 

「うっ…くっ…!」

 

「う、動けない…!」

 

「ちょっと、髪引っ張んないでよ!というか手を離しなさいよ!」

 

「オゥ、モンキー、シェイクハンドは嬉しいけど、今はやめて欲しいデース…!」

 

「あー…これ駄目な奴だ。先輩、後はお願い!――あっおい亀!こういう時ばっかこうたいすん…だぁ~!痛ててててて!!」

 

猿に四肢をガッチリつかまれ、牛裂き刑のように引っ張られるウッディ達はそれぞれ苦悶の表情を浮かべる。

それに追い打ちをかけるように、ポークチョップの更なる魔の手が伸びてきた。

ザンジバルが、反対側のミサイルを放とうと準備を始めたのだ。

しかし、そこに搭載されているのはJミサイルではなく、別の恐ろしい兵器であった。

真っ赤な拳を模したそれは、全てを“PON!”と砕き(CRUSH!!CRUSH!!)、文字通り粉みじん(PA PA PA!)にしてしまう。

その恐るべき兵器は、まるでスパイスを作る様に敵を粉のようにしてしまう事からこう呼ばれていた―――――グルメスパイザーと。

 

『はーはっはっはっは! これで最後だな、あばよ保安官!』

 

バートの声がスピーカー越しに響く。

絶体絶命のウッディ達。もはやこれまでなのか?

…いや、待てよ。

その時、ウッディの頭にこの状況を打開するナイスアイディアが浮かび上がった!

それは―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジュニア、今日はもう遅いから寝なさい」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、もう!今いい所なのにぃ…」

 

そう言ってカウボーイ人形とジャガイモの様な人形―――ポテトヘッドを両手で持ちながら一人の男の子が立ち上がる。

男の子の周りには、宇宙飛行や恐竜の人形、何故か脱線して倒れている汽車やブタの貯金箱、その他にもアニメなんかのキャラクターを模したアクションフィギュアやソフビ、ぬいぐるみなんかが散乱している。

 

「ママ、これからがいい所なんだ!今からウッディがバスと協力して…」

 

「わかってるわよジュニア、でもそれは明日のお楽しみに取っておきなさい」

 

「ちぇ…」

 

男の子は母親の言葉にいじけたそぶりを見せる。

せっかくここから自分が一番大好きなヒーローが大活躍するのに、このママお預けなのはひどすぎる。

明日なんてものは待っていられない、今日の遊びは今日でなきゃできないのだ。

 

「ほら、歯を磨いてベッドへ行きなさい。明日は早いんだから」

 

「…? 何言ってるのさ、明日は学校休みでしょ?」

 

「えぇ、それは―――――」

 

「それは僕から答えよう」

 

男の子の疑問に答えたのは、母親ではないテノールボイスであった。

その声と共に、男の子の部屋にもう一人の人物が入ってくる。

その人物を見た瞬間、男の子の顔は歓喜に染まった。

 

 

 

「―――――パパ!」

 

男の子は部屋に入ってきた人物――父親に抱き着いた。

 

「パパ、出張はもう終わったの?」

 

「あぁ、意外と仕事がスムーズに終わってね。1週間早く帰って来れたよ」

 

男の子の問いに父親が答える。

どうやら、男の子の父親は長期の出張へ行っていた様だ。

父の帰宅を喜ぶと同時に、男の子の顔には期待の色が掛かる。

 

「パパが帰って来たって事は…!」

 

「うん、1週間早いけど、明日は約束通り遊園地へ行こうか!」

 

「やっっっっったああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

父親の言葉を聞いて、男の子の感情は爆発した。

待ちに待った家族での旅行、しかも楽しみにしていた遊園地だ。興奮するなという方が無理だろう。

 

「それじゃあ明日の為に早く寝ないと! おやすみ、ママ!」

 

興奮しきっていた男の子は“ハッ!”として部屋から出て行く。

明日は朝早くから遊ばなくてはいけないのだ。なら、早く眠りについて明日に備えなければ!!

 

「あっ、こら!おもちゃ片づけてから寝なさい!」

 

「あぁ、いいよ。今日は僕がやっておくから。寝かしつけは頼んだよ」

 

「……もぅ、貴方は本当にあの子に甘いわね」

 

母親はため息をつきながら言った。

しかし、その表情に落胆の色はなく、逆に優しく微笑んでいるようであった。

 

母親が部屋を出た後、父親は部屋に散らばったおもちゃ達を片付け始める。

汽車にお猿、様々なぬいぐるみとフィギュアたち、3匹のエイリアン、カウガールとその相棒、Tレックス、ブタの貯金箱、ポテトの夫婦、バネの犬、宇宙飛行士と次々におもちゃ箱や棚に戻していく。

そして最後にカウボーイ人形を手に取り、片づけようとした手を止める。

 

「……ただいま、ウッディ」

 

父親は、まるで人形に話しかけるかのようにそう呟いた。

 

本当に、本当に色々あった。

大学生になっても、自分のお気に入りのおもちゃ達を捨てられずに屋根裏部屋に仕舞うくらいに幼かったあの頃の自分。

そんな自分が大学を卒業して、大きい会社に就職して、そこそこのポストに就いて、そこで妻と出会って、子どもも生まれて……あの頃では考えられなかった生活を、今は送っている。

もちろん、悲しい事も、辛いことも沢山あった。

何度も心が折られそうになった。

 

その度に、励ましてくれたのは、大好きな友達たちであった。

 

その友達は、話したり動いたりすることができない。ただそこに居るだけの存在だ。

でも、彼らの顔を見ると、まるで『俺がついてるぜ』と励ましてくれている様に見えて、それに何度勇気づけられただろう。

彼らと遊んだ思い出に、何度明るい気分を思い出させられただろう。

本当に、感謝してもしきれない。

 

時が流れて、色々と変わってしまった。

自分は身体が大きくなって、色々と背負わなきゃいけないものも多くなって、彼らと遊べなくなって、代わりに自分の大切なものを全部子ども達にあげて……本当に、変わってしまった。

 

でも、きっと、時が流れても変わらないもの(彼らとの絆)が、確かにある。

 

そう、信じてる。

 

父親はおもむろにカウボーイ人形の後ろについている紐を引っ張る。

 

『あんたは俺の相棒だ!』

 

ボイスボックスから流れる音声に、まるで自分の思いが肯定されている様だと小さく笑い、カウボーイ人形もおもちゃ箱に大切に仕舞った。

 

片付けも終わり、部屋から出ようとした父親は足を止め、部屋のおもちゃ達に向き直る。

 

「いつも子ども達と遊んでくれてありがとう」

 

そう言うと父親―――――アンディは今度こそ扉を閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、みんないいぞ」

 

誰も居ないはずの部屋から、突然男性の声がした。

声の方向を見ると、なんとカウボーイ人形――ウッディがひとりでに立ち上がり、言葉を発しているではないか。

 

「ふぅー…今日もハードな1日だったな」

 

今度はウッディの隣から声がした。

そこには、ウッディと同じようにひとりでに動いているバズ・ライトイヤーのフィギュアがいた。

 

「もぅ最っ高だったね!」

「ほんとほんと!あの子は天才だよ!!」

「あん?おい、俺の腕どこ行ったか知らないか?」

「あなた、ここにあるわよ」

「今日の遊びもベリーグッドだったネー!」

「どうよ、俺様が一番かっこよかったろ?」

「バカ言え!俺が一番に決まってんだろ!!」

「まぁまぁお二人さん…」

 

バズを皮切りに、次々に先程男の子と遊んでいたおもちゃ達が動き出す。

そう、おもちゃ達は私達人間が見ていない時に、こうして動いたり話したりする、心を持った存在なのだ。

 

「待ってくれみんな、色々言いたい事や予定もあるだろうが、一旦締めさせてくれ」

 

口々に話し出すおもちゃ達に、ウッディが言葉を投げかける。

彼らもリーダー的存在のウッディに従って静かになり、彼に視線を向ける。

 

「ありがとう。まずはみんなお疲れ様、今日もいい仕事してたぞ。特にシロコ、まだここに来て日が浅いのによくあそこまで迫真の演技ができたな!」

 

「まったくだ、ボス役だった俺も思わずブルっちまったぜ」

 

ウッディの言葉に、アイパッチ・バート役のポテトヘッドも賛同する。

実際、彼女が銃を落としてもなおドローンで攻撃を始めた時は迫真の演技過ぎて本物のギャングだと錯覚してしまう程であった。

 

「ん。ありがとう」

 

その言葉にアイパッチ・スナオオカミ役の砂狼シロコはそっけなく返す。

しかし、頬を仄かに赤く染めているのが見え見えで、照れているのが隠しきれていない。

 

「本当、すごかったよね。演技!」

「ウン!」

「そんなにすごかったの?僕、出番後半だったからよく見えなかったよ…」

「次の機会にでも見ればいいさ…まぁ、その頃にはゴジラかウルトラ怪獣に出番取られてるかもな」

「まぁ、暁程じゃないけど、良かったわね!」

「ポチャ!」

 

本当にシロコの演技が素晴らしかったと、また周りのおもちゃ達が騒がしくなる。

シロコは表情は変えていないが、頬の染まり具合が濃くなっているのは気のせいではないだろう。

 

「おいおい、興奮するのはわかるがまだ話の途中だぜ?ちゃんと聞いてくれよ。…よし、次は来週のスタッフミーティングの軽い打ち合わせなんだが…」

 

ウッディは再び騒がしくなるおもちゃ達を納めつつ、話を続ける。

しばらくして、ウッディの話は終わり、最後の締めに入った。

 

「……よし、今日はここまでだ。聞いたと思うが、明日ジュニア達は遊園地に行くらしい。つまり明日は実質1日フリーになるはずだが、朝と夕方は顔を出すかもしれないから注意しろよ。それじゃあ解散。各自朝まで自由時間といこう」

 

 

「「「お疲れ様―!」」」

 

 

「貴方、今日は月が綺麗らしいから窓際でデートしましょ」

「えっ、今日はハム達とポーカーを……わかったわかった。行くよ」

 

「あー…ポテトヘッド連れて行かれちゃったね」

「はぁ~しょーがない、今日はポーカーは諦めよう」

「がっはっは! それじゃあ俺様と一緒にあっちの部屋へ来いよ、今からミニ四駆の賭けレースすっから!」

「ワォ!レース!! 是非私も参加したいデース!!」

「『俺もいくぜ!』『ついてきな、ベイビー!』『ぶっちぎりだぜぇー!』」

「……流石にウマ娘とトランスフォーマーは参加できないと思うよ?」

 

「ねぇシロコちゃん、今から暇なら僕と一緒にお茶しない?」

「ん。いいよ」

「やった!それじゃあ早速…痛てて!ちょっと先輩、いきなり引っ張んないでよ!」

「うるせぇエロ亀!お前には猿に襲われてる時に俺に交代したワケをきっちり聞いてやる!」

「ちょ!?それはジュニアの判断であって僕のせいじゃ…!」

「……忙しそうだし、また今度ね」

「あぁ!待ってシロコちゃーん!!」

 

ウッディの話が終わり、おもちゃ達はそれぞれ思い思いの行動をする。

おもちゃ達は子どもに愛され、遊んでもらえる事が至福の時だ。

しかし、それだけでは行き詰ってしまうので、遊んでもらえる時間以外はこうして息抜きも必要なのだ。

“わいわい”と賑やかな様子の仲間たちを見ながらウッディは優しく微笑み、自分もその輪の中に入ろうと歩みだす。

 

「………」

 

その前に、ふと立ち止まり、子ども達が出て行ったドアの方を向く。

あの子に…アンディに触れられたのは久しぶりだった。

思えば、あれから色々な物が変わった。

昔ながらの仲間たちはほとんどがいなくなってしまった。

アンディは大きくなり、自分とは遊んでくれなくなった。

大学生になって、仕事について、結婚して、子供が生まれて、他のおもちゃ達(仲間たち)がたくさん出来て今度はその子のおもちゃとしての仕事を与えられて…

本当に色々変わってしまった。彼の成長を嬉しいと思う反面、寂しいと感じる時もある。

もう、アンディは自分と遊ぶことはないのかもしれない。

 

でも、どれだけ時が流れても、変わらないもの(俺達の絆)がある。

 

そう、ウッディは信じている。

この気持ちが伝わらなくても、いつの日か本当の別れの時が来ても、それでもかまわない。

いつまでも、俺達は友達だ。いつも、俺は君を思っているよ。

 

「ウッディ…」

 

そんなウッディの気持ちに寄り添うように、バズはウッディの肩に手を乗せる。

その目は、自分も同じ気持ちだと言っているのがウッディにはわかった。

 

「…きっと、アンディにも私達の気持ちが伝わってるさ」

 

「……だと、いいな」

 

それは気休めの言葉である。その事は2人が良く知っていた。

しかし、そうだったら、嬉しいな。2人の思いは同じであった。

 

「ウッディ! バズ! 私達も行こうよ!」

 

2人が離れた所にいる事に気が付いたジェシーが手を振りながら彼らを呼んだ。

 

「…おーう、今行くよ! 行こうぜ相棒」

 

「あぁ、無限の彼方へさぁ行くぞ!」

 

2人はしんみりとした空気を吹き飛ばすように軽口を叩きながらみんなの元へと向かう。

この2人の関係()もいつまでも変わらないのだろう。

 

それはきっと、星に願わなくても叶う願いだ。

 




・時系列
「3」にてアンディがボニーにおもちゃ達を上げなかった世界線。
ウッディは大学に連れていき、他のおもちゃ達は数年間クリスマスの飾り達と一緒にアンディを待ち続けていた。
就職を機に、おもちゃ達を屋根裏から自分の部屋に戻したらしい。

・アンディの仕事
アンディは大学卒業後、おもちゃ会社に就職した設定。
その為、サンプルや試供品として家におもちゃを大量に持って帰って来て子ども達にあげている。
大手メーカーの為給料はそこそこ良いらしい。
明らかに子ども向けではないおもちゃもあるって?……気にしたら負けよ。

・アンディの子ども
多分息子の名前はアンディJrとかそれ系。
登場させられなかったけど、妹と弟も居る設定。


登場キャラ出典
シロコ:ブルーアーカイブ
タイキシャトル:ウマ娘
電王(ソードフォーム・ロッドフォーム):仮面ライダー電王
ワリオ:スーパーマリオシリーズ
バンブルビー:トランスフォーマー(実写)
ザンジバル:機動戦士ガンダム
グルメスパイザー:トリコ

機関車のモブ乗客
ショコラウサギ:シルバニアファミリー
リカちゃん:リカちゃん
ちいかわ ハチワレ ウサギ:ちいかわ
暁 雷 電 響:艦隊これくしょん
ポッチャマ:ポケットモンスター

夏だしお祭り系の作品を書きたかった+トイ・ストーリー5の情報解禁記念に書いてた奴。
色々なキャラクター出せて楽しかった。
本当はベジータのアッパーカットとかチャクラ宙返りとかグラグラゲームとかのネタも拾いたかったし、気が向いたらまたやりたいなぁ…

ここまでご拝読ありがとうございました
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