傭兵、荒廃した世界を行く   作:セニョール・大介

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 今更ながらドルフロにハマった筆者が、テキトーに思い付いたほぼ処女作です。暖かい目で見守って頂ければ幸いです。

 キャラの口調が全然違うとか、誤字などの報告はバンバン下さい。



プロローグ

 とあるグリフィンの基地、その中のバーにて七人の男と三人の女たちが杯を重ねている。

 

「─しゃあッ、飲むぞ飲むぞ!」

「ああ、久しぶりの新入り、それも二人だぜ、酒が進む進む。ガッハッハ」

「よしソーンツェ、どっちが酒につええか勝負だ」

「今度こそおめえにゲロ吐かせてやんよズィムリャー」

 

 酒瓶をどんどん空にしていく男二人に─

 

「ねぇプレェトゥンく〜ん、このあと部屋に来ない? お姉さん気に入っちゃった」

「え、そんな…、えへへ、メルクーリさん自分も…一目惚れしました」

「いいな…プレェトゥン」

「ん〜? サトゥールン君もよーく見たら好みじゃない?」

「へ?」

「3Pだ、よしそうしよ〜♪」

 

 関係へと発展しかける”男三人”に─

 

「ハハハ、どっちも相変わらずだな…ハハハ」

「ルナー、遠い目をしちゃってるわよ…」

「…ユピーチェル、ルナーはあいつが男って気づいたけど俺は…ウッ、アタマガ」

「マールス…貴方…」

 

 それらを眺める男二人と女一人に─

 

「ウーちゃん、このおつまみ美味しいね。また作ってよ」

「ウーちゃん言うな。ヴェネラ、私はウーランって言うのよ…。まぁ、偶には作ってあげるけどさぁ」

 

 二人だけで慎ましく舌鼓を打ち酒を楽しむ女二人。

 

 思い思いに酒場を楽しむ彼ら、彼女らはグリフィンに雇われた傭兵グループ、『プラニエータ』の構成メンバーである。

 

 プラニエータという傭兵グループは核、コーラップスの汚染地域での活動や反乱を起こした鉄血人形の相手を生業にする、第三次世界大戦移行に生まれた傭兵の代表格とされる集団である。正規軍やG&KなどのP.M.Cの手が届かないところを仕事場としている彼らは正規軍や民衆からの評判も良い。そう─

 

 

 

「─貴様らは本当に使えないな。機械のくせして満足に任務をこなせんのか!」

「─ッ」

 

 民衆、正規軍や所属組織の人間からも嫌われる戦術人形と違って…

 

──

 

(どうして…どうして誰しもが私達を嫌うの? 私達を生み出したのはあなた達でしょう?)

 

 失意の戦術人形が宿舎へ帰ろうとした時、バーのほうが盛り上がっているのがわかった。その人間の何倍も精度のいい眼はその光景を捉えてしまう。

 

 バーを我が物顔で占領するプラニエータの様子を。

 

「どうしてッ? なんであいつらが、あんなのがチヤホヤされて私達が批判されるの? おかしい…こんなのおかしいよぉ…」

 

 失意に人形はその光景に耐えられずに逃げ出してしまう…

 

 

「あの…メルクーリさん。さっきの女の子がすごい形相でこっち睨んでましたけど…」

「…二人とも、あれは戦術人形よ」

「で、でも…、あんなに苦しそうな顔してましたよ」

「ええそうね。でも仕方がないのよ」

「仕方がないって─」

「─実力がない、実績がない。戦うために生み出された存在なのにあれ程に不甲斐ない。当然の待遇じゃない?」

「…」

「いい、二人とも? 雇われの私達がこうやって騒げるのも、基地の人たちと良好な関係を持てているのもこれまでの実績が、確かな実力があるから。仕事ぶりが認められたからよ」

「…」

「彼女たちのスタート地点は私達よりも恵まれていたのよ? 組織からのバックアップを受けられて衣住食が保証され、訓練施設も使い放題。彼女たちからしたら不満かもだけど、傍から見れば充分すぎるほどよ…」

「…そう、ですか」

「まあまあ、あれは彼女らの問題。それより二人とも、あなた達自身の心配をなさい。ご自慢のものがコリブリ拳銃とかやめてよね?」

「任せてください俺のはG3です」

「俺のはStG344です」

 

 

 新入り二人は先程の戦術人形のことなどすっかり忘れ、このあとのピンク色の出来事へと頭を切り替えていた。

 

 

 

…それが悪夢のような出来事になるとも知らずに…。

 

 

 

 

 

──

 

「嘘だ…こんなことがあっていいはずがない…」

「…コロシテ、コロシテ…」

「〜♪」

 

 翌朝、ホクホク顔のメルクーリとやつれて生気を失った新入り二人の姿が確認される。詳しくは彼らの名誉のためにも言えないが、メルクーリの見た目からは想像もつかないゴリラパワーの前に、ンアッー! (≧д≦)、になっただけである。

 

「アッハッハ、あ〜、腹いてぇ」

「…フフ。可哀想に……フフッ」

  

 そしてそれを面白がる他のメンバー。これこそがプラニエータの日常であった。

 

「…トラウマが」

 

 一部トラウマを再発した男もいたが。

 

──

 

 

「何用でしょうか? 指揮官」

「ああ、よく来てくれたねルナー君。ささ、掛けたまえ」

「失礼します」

 

 昼前、プラニエータの隊長であるルナーはこの基地の責任者である指揮官に呼び出されていた。

 

「おいッ! 何をしている、早く飲み物を用意せんか」

「…承服しかねます」

「なんだとッ!」

「私達の役目は戦うことです。決して…決してこんな雑用ばかりするためではありません」

 

 ピンクの髪の戦術人形がついに異を唱える。しかし…

 

「貴様ぁ、本部のッ、ペルシカリアとかいう女の直属だからこそ此処に泊めてやっていたものを…」

 

 それは人間の指揮官の感情を逆なでするものでしかなかった。

 

「失礼、指揮官殿、要件を先にお伺いできないでしょうか?」

 

 ルナーが不穏な空気を察し、流れを変えようと口を開かねばそのまま回収分解されていたのではないかと思われるほどに…。

 我に返った指揮官が戦術人形を退出させるとついにルナーと指揮官が向き合う。

 

「お見苦しいものをお見せしましたな。申し訳ない」

「いえいえ、私も下っ端のときは訓練や実戦を望み、雑用から逃げたいと思ったことはありますので」

「ほほう、それは意外ですな。…それで要件というのがですな─」

 

 

 

──

 

「お、ルナー。要件ってなんだったんだ?」

「ソーンツェ、すぐに全員を集めろ。でかい仕事だ」

「ふはは、ようやくか」

 

 

 プラニエータがついに動き出す。

 

 

──

 

「で? でけえ仕事ってなんだ?」

「簡単に言うと…、戦術人形との合同作戦だ」

「は?」

 

 ソーンツェが理解不能、といった感じで声を返す。他のものも声こそ出さないが似たような顔をしている。

 

「なんで? 意味がわからない。人間と人形がなんで組むの?」

「メルクーリが言ったとおりだ。あの嬢ちゃんたちは、そりゃあ色々やってんだろうけど集団戦で組みたかねえぞ」

「まあ雇い主がやれっていうんならなぁ」

 

 

 こういうときに雇われの傭兵は苦しい。雇用主の意向に逆らえないからだ。

 

「…」

 

 そしてルナーが苦い顔をする。他の隊員はどうしたのかと疑問に思うが…

 

「えぇと、その組むことになった彼女たち、もう来てます」

 

 そう、合同で任務に当たるはずの相手への不満を聞かれてしまっていたのだ。

 

 

「…AR小隊のリーダーのM4A1です」

「M16A1だ、…よろしく頼む」

「ST AR-15よ」

「M4 SOPMODⅡです…」

 

「「…」」

 

 かくして人間の傭兵集団プラニエータと戦術人形の部隊、AR小隊との出会いは最悪に近い形で行われた。

 

 

──

 

 私達戦術人形は人間が動けない場所で動くために、数の少ない人間の代わりとして働くために、人間によって生み出された。

 

 私達の親である人間に対しては感謝している。でも、この待遇は違うのではないか。

 

『第2世代の戦術人形のくせして、なぜ第一世代の多い鉄血を倒せんのだ!』

 

 いくら世代が違うと言っても外見が人間に近づいた程度で基本性能はそんなに変わらないのだから圧倒なんてできるはずがない。

 

『人形のくせに上官に歯向かうのか?』

 

 人形といえど思考能力は持っている。より良い方法があったから提案しただけだ。

 

『人間と人形がなんで組むの?』

『集団戦で組みたかない』

 

 貧弱な人間なんかと組むなんて、こっちから願い下げだ。

 

「見返してやる…。今回の作戦で、私が、私達が戦果を上げるんだ」

 

──

 

 もう何年になるだろうか、こんな最悪な環境に身を投じてから。

 

 最初は良かった。人間のみなさんが期待に満ちた目で私達を眺め、たくさんの支援を私達にしてくれた。でも…。

 

『どうして勝てない?』

『どうしてこんな損害が出る?』

 

 実戦投入されるにつれて、実際の戦術人形の被害と戦果が想定よりもよっぽど酷いことがわかるにつれて、私達を見る目は非難の色を帯びてきた。

 

『あいつ等だけ装備が充実していてずるい』

『あいつ等だけ待遇が違う』

 

 戦術人形のエリート部隊とされていた私達と他の人形との待遇の差に、同じ戦術人形からも妬みを、嫉妬を向けられる。

 

「…私がしっかりしないと…。AR小隊のみんなだけは私が守らないと…」

 

 人間の部隊と合同という初めての状況でも私がM16姐さんを、AR15 を、SOPⅡを絶対に…守る。

 

 

──

 

「はぁ…」

 

 ため息をつくのが今日何度目かもわからない。

 

 人間が未知のものを、自分と違うものを恐れるというのは知っている。だが、作ったのはお前たちだろう。なのになんでだ…。

 

「終わりは近いかもな…」

 

 この作戦が終わって、果たして小隊の全員が顔を合わせることができるだろうか。どうせ人間のことだ。命惜しさで自分たちを盾にでもするだろう。

 

「M4…」

 

 AR小隊の隊長であり、かわいい自分の妹のM4。自分が、AR15 が、SOPⅡがいなくなったらあいつはどうなるだろうか。

 

「…」

 

 空のスキットルを眺めていると、かつて飲んでいた酒を思い出す。長らく飲んでいないせいで味はもう朧げだが、飲んでいて楽しい気分になり、嫌なことを忘れさせてくれた感覚だけは覚えている。

 

「…死ぬまでにもう一度飲みたいなぁ」

 

 

 

──

 

 

 嫌だ、嫌だ。もう嫌われたくない。私達が何をしたっていうの?

 

『な、なんて粗暴なやつだ』

 

 うるさい、人間には迷惑かけていない。

 

『機械のくせに満足に任務達成もできんのか?』

 

 うるさい。人間のくせにああだこうだ言わないで。

 

 AR小隊のみんな、お姉ちゃんたちがいればそれでいい。だから…

 

 

「お願いだから迷惑だけはかけないで」

 

 

 

 

──

 

 

「どうしたもんかねぇ…」

 

 ベランダで月明かりのもと、スビテン(はちみつベースのショウガやクローバーを入れた甘い飲み物)を煽る。やはり甘い。

 

「重要な情報ねぇ…」

 

 この基地の指揮官が言うには今回の任務は重要な情報を得るためのもので、だからこそ精鋭のAR小隊とプラニエータが合同で、とのことだった。なら、人形と人間という組み合わせは良くないだろう。どう考えても人形だけで、人間だけでチームを組んで任務に当たるべきだ。

 

「はぁ…」

 

 最悪の顔合わせのあと、自己紹介やらなんやらで少しでも仲を取り持とうとしたが…

 

 

『…』

『…』

 

 両者ともに喋らない。

 

 プラニエータの面々は戦術人形というものにいい感情を持っておらず、戦術人形の面々は人間に不信感を募らせている。そんな状況で重要な任務など泣きたくなる。

 

「まあ、やるだけやるかぁ」

 

 それでも自分はプロの傭兵。雇われた以上最善を尽くそう。

 

 

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