―――喫茶リコリコ―――
「おはよう諸君!今日も千束が来ましたよ〜っ!!」
「そろそろ千束のこのテンションにも慣れてきましたね。」
「たきな〜!たきなもテンション上げて上げて〜!」
「お断りします。うるさければいいという訳ではないですよ。」
「わお。たきな辛辣〜。」
「その話は置いておいて、今日でしたよね?」
「そうだよぉっ!どんな子なのかな〜!えーっと…名前は〜」
「安藤菫、というらしいです。」
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「えっと......ここ、で合ってるのかな......。」
私、菫はマップアプリを二、三度見て確認する。良かった。ここで合ってるみたい。それにしても、ほんとにお店だ。ここにリコリスが二人居るって聞いてるんだけど......
よし。とりあえず入ってみよう。
「あの〜......こ、こんにちは......。」
ドアの開閉とともに チリンチリン と音を立てる。私の挨拶よりもそちらの音の方が大きかった。そんなに私の声って小さいかなぁ......なんてさらに自信を無くしそうな事を考えてしまう。
「いらっしゃいませ。......あ。安藤菫さんですか?」
綺麗な黒髪ロングの女の子が私に話しかけて来た。落ち着いているけれど、私と違って堂々としていて背筋も ぴんと伸びている。
「私と千束に用があるのでしょう?少し待っていてください。千束を呼んで来ますので。」
「あ…は、はい。」
やっぱりこういうしっかりした子がリコリスに向いてるんだろうなぁ……。なんて思いながら突っ立っていると、
「菫…だったか?ここに座るといい。」
ここの店主……だったりするのだろうか。中年くらいの男の人だ。
「私はミカだ。そして、隣の席で酒を飲んでいるのが中原ミズキだ。」
横を見ると、何故か結婚雑誌を見ながらお酒を飲んでいる女の人がいた。
「ん〜?ああ、昨日言ってたリコリスの?」
「だろうな。ミズキ、そろそろ酒瓶仕舞っとけよー。」
ミズキさんに小さい子供?が話しかける。
「ボクはクルミだ。よろしく。」
どうやらクルミ、というらしい。
そうこうしていると、店の奥の方からふたつの足音が聞こえてきた。
そして小走りで私に飛びついてきたのは、ボブヘアの女の子。そしてその子は目をキラキラさせながら口を開く。
「はじめまして〜っ!!君が安藤菫ちゃんだよね!?私は錦木千束〜!千束って呼んで〜♪ちなみに17歳だよ〜!」
千束は嬉しそうに、自己紹介をする。
「はじめまして。自己紹介が遅れました。井上たきなです。」
続けて先程の黒髪の女の子、たきなも自己紹介をしてくれた。
「ねぇねぇ、菫〜!歳はいくつ〜?」
「16歳……です。」
「お〜!たきなと同い年じゃん!もしかして知り合いだったりしちゃうの〜!?」
「何故同い年イコール知り合いなんですか。」
「ん〜?何となく?」
「あ。ですが、噂は聞いた事があるような……?」
「え!?どんなの〜?」
「訓練期間が千束に次いで短くリコリスになった人がいる……という噂です。」
その話に私は少し俯いた。私が優秀だと言われていたのはせいぜい訓練所卒業前後に限っての話だから。
すると、その様子に気づいた千束が私に優しく笑いかけた。
「菫の事情は私たちも聞いてるよー。頼れる先輩、錦木千束サンが君のお悩みを解決してあげよ〜う!!」
「頼れる先輩って、自分で言う事じゃないですよ。」
「いいのいいの〜!さ、菫、私たちに着いてきて〜!」
千束はミカさんから鍵をもらい、その鍵のリングを人差し指でくるくるしながら私に手招きをした。