的を撃った後、私は感動、驚き、様々な感情がごちゃ混ぜになり、しばらく固まっていた。そんな私の横、千束は
「いい感じじゃーん!君たち優秀だね〜?」
「たち って私も入ってるんですか?」
「もちろん!!」
「そ、それはどうも……」
千束の純粋な褒め言葉にたきなは少し照れた。
「この弾だと……少し精度が落ちるんですね……。」
「そうですね。私が初めて使った時も同じ事を思いました。」
あ。たきなも使ったことあったんだ。千束はコツが要るって言ってたし、やっぱり難しいのかな?本当にこれで戦うなら、練習しないといけないかも。
「あ、あの。ち、千束……はどうやってこの弾を使いこなして……ますか?」
私の言葉に、千束は、ん〜?と言って振り向いた。
「私も完璧に使いこなせてる、とは言いきれないけどね〜。私は近距離戦闘だからかなぁ。多少ズレても大丈夫なんだよね〜!」
そっか……ん?近距離戦闘!?相手が銃持ってるのにそんなに近づけるの?
「射撃精度の高さが必要な時はたきながいるし〜?」
千束の言葉に、たきなは少し顔をほころぼせ、優しく笑った。
「そうですね。」
どうやら、2人とも信頼し合ってるみたい。私にはこんな関係はつくれなかった。少しだけふたりが羨ましい。
「……あ!えっと、この非殺傷弾でどうやって敵の動きを止めるんですか……?」
ふと、思った事を聞いてみた。この弾であれば、出血で意識を失う事も無いだろう。相当な技術が要るのかもしれない。
「私は〜、シンプルに相手がこの弾喰らってすこーしひるんだり、動きが遅くなった隙にこちらのワイヤー銃で拘束してまぁーす!」
「実はこの弾当たると結構痛いからね〜!」
「ワイヤー銃の使い方も教えた方がいいかもしれないですね。こちらはそこまで難しくないですが。」
「あ〜!確かに〜!よしっ。じゃあ次はワイヤー銃の使い方をレクチャーしよ〜う!!……ってあれ?菫?どうかしたの?」
当たると結構痛い……か……。そりゃそうだよね……これが痛くないわけが無い。そもそも、痛くないほどの威力の攻撃なんて意味が無い。私が期待し過ぎたみたい。リコリスやっておきながら、こんな思考の私がやっぱりおかしいのかな……。
私は二人の会話もろくに聞かないまま、考え事をする。
二人はそんな私の様子をしばらく黙って見つめていたが、千束は、はっとなにか気づいたように少し顔を上げる。
「もしかして、これを使うのも菫には抵抗がある?」
千束のその言葉にたきなも腑に落ちたように軽く目を見開いた。
私の課題は多分この二人が聞いた内容よりももっと深刻なんだ。
私がリコリスとしてやっていけないだろうという、その理由、私の課題。それは――――――――――――――――――――
私は人を撃つことはおろか、人に攻撃が出来ないこと。
正確に言えば、その時の相手の「苦」の感情。それが苦手なんだ。初めて実弾で相手を撃ったその日に私は知ってしまった。
裏の世界に生きて、死と隣り合わせの環境に身を置いた人であっても大なり小なり、死というものへの絶望、自己の喪失感、未練などの感情を抱く事を。
生物として当たり前の反応。だけど、私は相手に苦痛を与える側。奪う側なんだ。そう思うと、私には耐えられなかった。
私は、リコリスとしては持ってはいけない感情を抱いてしまった。