「私についてはこんな感じ……です…。」
話終えると、私はチラリと二人を見る。静かに聞いてくれていた千束は、一度銃に目を落としてから、真っ直ぐに私を見た。
「実はね、私も実弾で人が撃てない、というか撃ちたく無くて、の方が正しいかな。菫とはちょっと違う理由だけどね。」
え。千束が…?たきなが私の噂を聞いたように、私も歴代最強のリコリスの話を聞いた事がある。当時はもちろん誰の事かは分からなかったが、今ならわかる。千束の事だ。
千束は人の命を奪わずともリコリスの仕事をこなしている。
でも、私は……人に頼ったてばっかりだなぁ。あの日からはずっと犀羅が私のフォローに回っていた。
やっぱり私にできることなんて……
無いんだろうか。
再び負の思考に陥った私。そんな私に千束は、これはあくまで私の考えなんだけど、と前置きして
「ずっと菫は人を殺さなかったんだよね?それだけでも、相手の死への恐怖は無くせてると思うよ。だって生かしてるんだからね。」
「つまり、過程では無く結果に意識を向けるという事ですか。」
「そーそー。」
私は目を見開いた。そんな考え方、した事無かった。
「命があれば、時間があれば、感情は変わるかもしれない。」
そう……なのかな。
「でも私は、菫の考えを尊重したいって思ってる。私は菫の優しさが素敵だと思うから!」
なんだろう……千束の言葉からは命の重みを感じる。私には分からない何が……きっと千束がそう思うようになったきっかけがあるんだろう。彼女の人生の中でも大きな出来事が。
眩しいな。何よりも、二人は私のことを考えてくれたんだね。
「……千束、たきな、ありがとう。」
そう言い、私はここに来て初めての笑顔を見せる。
千束もたきなも優しく笑いかけてくれた。
「ねぇ、菫!私、もっと菫の事知りたいからさ、明日三人で出かけない!?」
「千束……あなたは明日定期検診の日ですよ。」
「げっ!?」
「ふふ。じゃあ……定期検診のついでにショッピングモール行ってみる……?私……あんまり行った事……無くて。」
私が初めて自分の考えを言ったことが嬉しかったみたいで、千束は太陽のような明るい笑顔で
「よぉーし!!じゃあ三人で行っちゃおーう!!2人とも〜明日は夜まで帰さないよー?」
「それは困ります。」
「いや、ほんとに夜までいる訳……無い……かもしれないから!!」
「可能性はあるんですか……。」
千束のおかげで少し前向きになれそうだな。私は今できることをしていこう。
もう沈んだ重い感情は、雨雲が開けた後の快晴の空のように綺麗に晴れた気がした。
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「……真島……リコリスに共有された情報から推察するにまだ逃亡中……か。」
「あんまり大人の手を借りたくなかったけど仕方ないか……。真島の意思を継ぐ者達の集団……そのリーダー山川……。使えるな。」
「……んぁ?こんな時に電話……はい、もしもし。あ〜"研究員さん"ですか。最終的に基準に達したのはそれだけか。わかりました。明日あたりに○○地区にお願いします。」
通話が終わると狭いその空間は静まり返った。
「さぁて……どうやって分断するかな。」
モニターに映し出されていたのは、千束、たきな、菫の三人の姿だった。