~お詫び~
何故か途中までの話しか投稿されていませんでした。
投稿し直しますので、どうかよろしくお願いします。
~ソロモンちゃんねる~
アズサ「ねぎとろ軍缶って英語にしたら何て言うの?」
ヒヨリ「お腹空いてきました」
オウヒ「ツナミンチバトルシップだ」
アズサ「おぉ、流石殿下だ……!」
ヒヨリ「強そうです! それはそれとして、お腹が空いてきました!」
オウヒ「ククッ……!(ドヤ顔)」
ミサキ「ちょっと、ツッコミは?」
アツコ「なんか盛り上がってるからいいかな、って(ニコニコ)」
「ふんふんふ~ん♪」
ミレニアムサイエンススクール自治区にある、メインストリートにて。
ご機嫌な鼻声を、ミドリが耳にしていた。
隣に視線を送るとそこには、ご機嫌な調子の双子の姉、モモイがそこにいた。
その足取りは軽い。
とても機嫌が良いといった調子で、その顔には満面の笑みが張り付かせている。
誰がどう見てもテンションが高いモモイだが、少し前まではそうではなかったとミドリは記憶している。
ゲーム開発部の備品の買出しに、じゃんけんで負けた姉妹の二人は、ミレニアムの自治区内を練り歩いていた。
備品の買出し、といっても些細なもの。お菓子であったり、ジュースであったり、そういった些細なもの。
つまりは、おやつである。
ならば、今のモモイのご機嫌なのは、好きなお菓子を買いにいけるからなのか、とミドリは一人で納得する。
単純な姉の事だ。日頃からコロコロと機嫌が変わるので、今回も特別な理由もなく、機嫌が良いのだろうと。
しかし。
「良いアイディアも浮かんだし、早く帰って構想を纏めないと~♪」
モモイが何気なく発した独り言。本人は特に深く考えずに呟いた発言に、ミドリの思考にノイズが奔った。
理由もなくご機嫌であったのなら、放置していても問題はなかった。だがそれが理由があるのなら、ましてやモモイ一人では収まらない理由であるのなら、話は変わってくる。
良いアイディアが浮かんだ、とモモイは確かに呟いていた。
ゲーム開発部の役職として、モモイはシナリオライターだ。イラストが上手かろうが、プログラミングが卓越していようが、デバッカーによりバグがなかろうが、シナリオだけでゲームの良し悪しが変わってくる。
それは料理で例えるなら味付け。
素材がどれだけ優れていようと、味によって上手くもなるし不味くもなる。
一番、心血を注がないとならない担当を、モモイが担っているのだ。
だからこそ、ミドリは恐る恐る問う。
モモイのシナリオによって、ゲームが神ゲーなのかクソゲーなのか変わってくるのだから。
「お姉ちゃん、良いアイディアって……?」
「ふっふっふ、勿論シナリオだよっ!」
小さい体で、これまた小さい胸を張って、えっへんと態度だけは大きく居丈高に。
あまりにも自信満々。
だがミドリにや嫌な予感がしていた。生まれたときからずっといる姉だ。こうまで自身に満ちていることに限って、禄でもないことを考えている、とミドリの妹としての経験が告げている。
不審な目を向けながらミドリは問う。
「新作でも考えたの?」
「ううん。続編だよ続編!」
対するモモイは、そんな視線すら気付いてないのか、朗々とした口調で応じた。
続編。既存の作品の続き。
皆で協力し、力を合わせて完成させ、廃部から救った神ゲー、ミレニアムプライス特別賞受賞作品にもなった『テイルズ・サガ・クロニクル2』の続編のことをいっているのだろうか、とミドリは一瞬だけ考えた。
でも、悲しいかな。
モモイのことを一番理解しているミドリでさえも、姉の考えを察するには力不足だったようで。
「────王様カノジョの続編!」
「は……?」
眼を見開き、モモイをただ見つめる。
この姉、今、なんと言ったのか。
あの王様カノジョの続編。
攻略対象が全員金髪紅眼。全員がおもしれー女と言ってくるが、決してバグではない。全員が全員、金髪紅眼のキャラしか出ない、シナリオライターの癖がこれでもかと詰め合わせている、あの自己満足ゲームの続編を、そのアイディアを浮かんだと、言ったのだろうか。
「前作は学園物だったけど、今回は無人島。サバイバルをしながら仲を深めていく、見たいな感じで!」
「お姉ちゃん、前作とか言わないで。王様カノジョは一作のみだよ」
「いいや、続編作るよ。アイディアが湧いて出てきたからね!」
冗談ではなかった。
テンションが上がってく姉を見て、相対的に下がっていくのをミドリは自覚する。
何せ、一番苦労するのはイラスト担当のミドリなのだ。
少しでも納得されないとリテイク。その癖、注文が多かったあの苦行を、またやれというのか、と。
王様カノジョは恋愛シミュレーションゲーム。攻略対象も一人であるのなら不満はなかった。
だがどういうわけか、攻略対象の金髪紅眼の女子生徒が何人もいて、全員が同じような風貌であるのなら、狂っているとしか思えない。
差別化されているとはいえ、性格と口調くらいなもの。同じような容姿、同じ姿を何枚も書いているミドリとしていは、気が狂いそうになるのも無理はない。
そればかりは阻止しなければならない。
『テイルズ・サガ・クロニクル2』のおかげで、暫くは安泰なのだ。またよくわからないゲームを作って、今の平穏が崩されてはたまったものではない。
「やめてよ、お姉ちゃん。王様カノジョに将来性はないよ」
「知らないのミドリ。意外と人気なんだよ?」
「嘘はいいから」
「本当本当。ミレニアムとかゲヘナとか、あとはトリニティ、アリウスやアビドスとかにも売れてるんだから! それに、あのワイルドハント芸術学院にも!」
「はいはい、嘘はいいから嘘は。誰がアレを買うのさ」
ミドリは真面目に取り合うつもりはなかった。
それよりも早く帰って、ゲーム開発部の全員で、創作意欲が高まってしまっているモモイを止めなければならないことに、注力することのみに集中することにした。
そうでもなければ、地獄が始まるから。
また同じ容姿のキャラを書き、その差分を何枚も作る、といった作業が始まってしまうから。
そういうこともあってか、ミドリは少しでもモモイの注意を逸らそうと辺りを見渡す。
そうしていると、あることに気付いた。
──あれ、そういえば。
──他校の生徒が多い気がする……。
ミレニアム自治区のメインストリート。
大抵の雑貨は、この道を歩けば揃えられると言われている、ミレニアム生徒御用達のストリート。
そこを歩くのは、ミレニアムの生徒だけではなかった。
他校の生徒の姿があり、マスクをしていたり、ヘルメット被っていたりと様々。
ただ共通して言える事は。
──みんな、ガラが悪い。
どこか威圧するように、攻撃的な目を向けている。
ミレニアムではそんな生徒はあまり見たことがなく、強いてあげるのなら美甘ネルが似たような空気を纏っているが、それは敵対時に限り、普段から攻撃的で威圧しているわけではない。
どこか剣呑な雰囲気。
少しでも触れたものなら爆発するかのような、そんな危うさを見慣れない他校の生徒達はその身に宿していた。
触らぬ者に祟りなし。
ジロジロと見て、因縁をつけられても困ると、ミドリは直ぐに視線を逸らすと。
「あっ……」
ミドリからみたら、ある程度交流を深めているとはいえ、未だに
他校の生徒に絡まれても、守ってくれるかもしれないという可能性を、
ミドリは隣にいるモモイに視線を移して、声をかける。
「お姉ちゃん、アレって────」
だが、最後まで続く事はなかった。
ミドリの視界には、取り出したのか手鏡に映る自身の姿を一生懸命チェックするモモイの姿。前髪は乱れてないか、服装は問題ないか、身嗜みは整っているか。ミドリが見たことがないくらい必死になっている姉の姿。
その姿はまるで、恋する乙女のよう。
普段からガサツなモモイであるが、こうまでいじらしくなるのか、と彼女が知る人物が見れば微笑ましくなる光景。
だがそれは肉親には当てはまらないようで。
「─────────」
どこか、イラッ、と。
先の王様カノジョの続編が始まり、また無茶振りされるかもしれない、という苛立ちもあったのか、ミドリはモモイの準備が終わるのを待たずに、
「オウヒちゃーん!」
手を振って声をかける。
隣では「ミドリ、まだ準備が……っ!」なんて切羽詰った姉の声が聞こえるが関係ない。
ミドリは後になって語る。
──むしゃくしゃしてやった、後悔はしていない──と。
そうして、モモイとミドリ、そして件の生徒────天上院オウヒは合流する事となった。
モモイはミドリの後ろに隠れるようにして、いつもとは違う立ち位置となっている。
先ほどのハツラツとした様子はどこへやら。
違和感しかない自身の姉に呆れる調子であるものの、妹は咎める様子を見せない。
それよりも気になる点がひとつ。
「才羽姉妹か。息災で何よりである」
「あの、オウヒ……」
「おぉ……?」
「──様も元気そうで嬉しいです……!」
「あぁ、また惜しい……」
オウヒとモモイのやり取りを見て、ミドリは違和感を感じる。
どこか覇気がないような、元気がないような、ガッツが抜けているような。
そんな印象を、オウヒから感じる。
ミドリは、未だにオウヒの人となりを、図れずにいる。
物騒な異名があるにも関わらず、気難しいというわけでもない。王様のような口調であるものの、威圧する態度を見せたことなど微塵もない。
だからこそ、沸点がわからず、距離感が掴めないでいる。
それでも、今のオウヒが元気がないことだけはわかる。
チラッ、とミドリは背後にいるモモイを見る。
オウヒの様子に、気付いていてないようだ。自分のことで精一杯、会話をすることだけでいっぱいいっぱいな、姉の姿がそこにはあった。
となれば、自分しか切り込める者がいない。
ミドリはおずおず、と。言葉を選びながらオウヒへ問いを投げた。
「オウヒちゃん、その、もしかして……」
「ん、なんだ?」
「なにか、ありました……?」
その一言で、モモイは漸く気付いたのか、オウヒへと視線を向ける。
対するオウヒは、ハハッ、と乾いた笑みを浮かべて簡潔に答えた。
「────人付き合い、ってむつかしいね……」
────すごい、シワシワした感じになってる!
ミドリは心の中で叫ぶ。
比喩ではなく。どこか遠い目で。なおかつ、遠目からもはっきりわかるくらい皺を眉間によせ、目をこれでもかと細めた表情。
正に、その泣きっ面。何もかもに打ちのめされたかのような、しわしわな顔をオウヒは浮かべている。
はぁ、とため息を吐いてオウヒは続ける。
「既読スルーされていてな。困っていた」
「オウヒちゃんが、ですか?」
「然り。もうね、どうしようかと。その人と話がしたいのだが無視されていてな。ヒマリに相談はしたまではいいのだが、ヒマリも何も言わずに無言で立ち去るし。本当に、もう、どうしようかと……」
「心当たりとかは」
「ククッ、めっちゃある」
「めっちゃあるんだ……」
少しだけ凛々しい顔になり断言するオウヒに、ミドリは思わずツッコミを入れた。
それから直ぐに、オウヒは例のしわしわ顔になり。
「途方に暮れる、とはこのことよ。やはり、あちらから連絡があるまで、行動しないほうが良かったのかもしれぬ」
「それは、確かに……」
人には人の都合がある。
連絡がないとは、相手が忙しいということなのだから、待つのも一つの手だろう。
ミドリはそう考えていると。
「えー、そうかなー?」
いつの間にか、ミドリの背後ではなく、一緒に肩を並べてオウヒへと向き直りモモイは首を傾げて。
「相手のことを考えるのも大事だけど、待っているばかりじゃ進展しないと思う」
「それもそうだけど、相手が忙しかったら……」
「それこそ、今は忙しいから今は返信できない、って伝えるべきじゃない?」
「───────」
ぐう音も出ない正論に、ミドリは黙っているしかなかった。
モモイは、うん、と。
自分の言った言葉を、肯定するかのように力強く頷いて。
「やっぱり、連絡し続けるべきだと思うな」
「それでも、連絡がなければ、どうすれば……?」
自信がなさそうに、問うオウヒに、モモイは堂々と胸を張り自信満々に。
「諦めずに連絡をし続ける!」
ポカンと、と眼を丸くさせるオウヒを見て、モモイは迷うことなく告げる。
「事情はよくわからないけど、オウヒ様がお話ししたいのなら、そうするべきなんじゃないかな、って」
「……………」
単純な話だ、と言わんばかりにモモイは事実だけを口にしていた。
話したいのなら、話してくれるまで、話し続ければ良い。
一度の拒絶がなんだ、二度の無視がなんだ、三度の放置がなんだ。
特別な悩みでもない。ややこしく考えすぎだった。一度の拒絶で重く捉えすぎた。
オウヒは勇気を出して、過去の経験から対話する事を選び行動した。それが出鼻を挫かれて、どうしたものかと途方に暮れた。
だって、彼女は知っているから。
話さないと伝わらない事を、天上院オウヒは知っているのだから。
「そうだな」
オウヒは目を向ける。
その先には、ミレニアムタワー。その最上階へと、オウヒは意識を向ける。
悩んでいる暇はない、挫けている場合じゃない、迷う時間すら惜しい。
目が覚めた。
顔を引き締めて、改めてモモイとミドリに向き直り。
「流石は音に聞くゲーム開発部。貴様達の言葉は、金言にも勝ると言えような」
オウヒは笑みを浮かべて。
「ありがとう。もう少し、頑張ってみるよ」
モモイはその笑みに見惚れて、ミドリは思わず心の中で感想を漏らしていた。
この人も、こんな綺麗に笑うのか、と。
しかし、直ぐにそんな感想は吹き飛んだ。
ミドリはこれより思い知る事になる。
何故、天上院オウヒが『アリウスの王』と称えられているのか。
何故、天上院オウヒが『王たる黄金』と恐れられているのか。
何故、天上院オウヒが『戦闘卿』と畏怖されているのか。
何故、天上院オウヒが『
そう、これより始まるのは、ミレニアムサイエンススクールを揺り動かす、動乱である。
△王様カノジョの評判
実は、コアなファンがついている。
もっと見てみたいとか、解釈違いとか、殿下はそんなこと言わない、とか色々あるが、続編に期待という文で全て締め括られている。
一定の層に、意外と、人気がある。
△ガラの悪い生徒
リオ会長がミレニアムを空けているのも原因の一つ。
もちろん、偶然じゃない。何者かが扇動している。
誰なんだろう(すっとぼけ)
△しわしわオウヒ
リオ会長に無視されて、メンタルにキテいたオウヒ。