時系列はワカモ襲撃前です
ヒナ委員長の絡みが見たいというリクエストを頂きましたので投稿させてもらいます。
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ソロモンちゃんねる
オウヒ「余にとって、貴様達などチェスの駒だ」
アリウス生徒達「殿下……(´・ω・` )」
アズサ「……」
オウヒ「ククッ、だから一つでも減るとめっちゃ困る」
アリウス生徒達「うぉー!! 殿下ー!!(`・ω・´ )」
アズサ「殿下……!ᓀ‸ᓂ」
アツコ「良かったね、サッちゃん」
サオリ「」
ミサキ「な、泣いてる」
ヒヨリ「そんでもって、気絶しています……」
とある昼下がり。
アリウス自治区は今日も平和です。
サオリとアズサはアリウスの生徒達との訓練で忙しく、アッちゃんとミサキは書類整理に没頭しているだろう。ヒヨリは――――わからないや。多分、どこかで日向ぼっこでもしているかもしれない。でもなんだろうね。ワタシもだけど、アリウスの皆も、ヒヨリには強く言えないんだよね。そのままの君で居て、って気持ちなんだ。
そんな平和なアリウス自治区。
ワタシと、隣で歩くのはもう一人。ゲヘナの風紀委員長の空崎さんだった。
初めての邂逅から、ワタシ達はこうして週に一度。最近は週に二度、顔を合わせて遊びに出ている。
とはいっても、遊びといっても大したことはしていない。主に近況の報告程度。最近のゲヘナの治安はどうかとか、ミレニアムではこんなことが起きているとか、アリウスで新しいスイーツ店が開業されたとかその程度なもの。
傍から見たら、放課後に寄り道をする生徒同士にしか見せない。
その筈なんだけど、やたら注目を集めている気がする。アリウスではそうでもないのだけど、他の学園の自治区内ではやけに視線を感じる。
なんでだろう。空崎さんが可愛いからかな? だとすれば納得だ。お人形さんみたいだもんね、空崎さん。
そうなってくると自然と、ワタシ達の行動範囲は狭まってくるというもの。
注目を浴びないアリウスを中心に。気が向いたら他の自治区内に足を運ぶ。
数える事も忘れた。
それくらいの頻度で空崎さんと行動をする現在。
隣を歩く空崎さんにこの後の予定をどうするか問う。
「風紀委員の、今日はどうする?」
「ばにたすに行きたいわ」
「好きな貴様も~。最近新しいメニューが出たらしいぞ」
「えっ、本当?」
隣に視線を向けると、どこか眼を輝かせてワタシを見上げる空崎さんの姿。心なしか、ゲヘナの制服の下から覗く羽がパタパタと動いていた。
本当に歳上だろうか。いや、いい意味で。可愛いが過ぎる気がする。
ワタシは断る理由もないので、空崎さんの希望通りに『カフェばにたす』へと向かった。
お店は大変、繁盛していた。
パッと見座る席はないくらいには。
でもそれは喜ばしい事だと思う。
ワタシが年増を追い出してから、娯楽と言うものがアリウスにはなかった。
皆、機械的で。どこか刹那的に、空っぽのようだった事を今でも思い出す。
でも今は違うようで。今まで無骨極まりなかった自身の銃に飾りつけをする程度にはお洒落に目覚めて、スイーツに夢中になる程度には甘みに飢えている。それはとても人間的で、生産的なことで、とても良い傾向だとワタシは思う。
それもこれも、アッちゃん達の尽力のおかげなのだろう。本当に凄いと思う。
それはそれとして、席がないのは問題だ。
さてどうするか、とワタシが考えていると。
「殿下!」
店内の奥から、一人のアリウス生が駆け寄ってきてくれた。
この娘は、カフェばにたす責任者である事はワタシも知っている。今日も制服可愛いな、と思いつつ。
「息災か」
「ハッ! 本日もお食事においでになって頂けて、光栄の極みでございます!」
「そのつもりだったのだが、繁盛しているようだな?」
「恐縮でございます」
「では余達は出直すとしよう」
「え?」
「え?」
ワタシと責任者ちゃんは二人揃って首を傾げる。
だって席がないんだもん。違う所に行こうとしていたのだけど。
思わずお見合いになるワタシ達。
空崎さんは見かねて、助け舟を出すように事実だけを口にした。
「……席がないようだけれど」
「あぁ! そういうことですか!」
責任者ちゃんは半歩引いて、片手で促して。
「こちらへどうぞ。殿下の席はいつも空けておりますので」
「……えー?」
いつも? 本当に?
まさか顔パスになっているとは思わなかった。待たなくていいのは嬉しいけど、それはそれで申し訳ない気持ちでいっぱい。
「ククッ、良い働きである。あと、なんかゴメンね」
「いいえ、殿下も風紀委員長殿もお楽しみください!」
そうして、ワタシ達が案内されたのは二階にある個室だった。
見晴らしが大変良くて、大通りを一望できる。視界の端には公園があるのを確認した。お花畑になっており、アッちゃんがお世話していることを本人から聞いている。
ワタシ達は座ってそんな景色を楽しんでいた。
しかし、本当に良い場所。
座る椅子もフカフカ。机も高級感に溢れている。トリニティで出てきても何の違和感もない。
ここって、みんなも使えるんだよね? ワタシ専用とかじゃないよね?
「……まるで貴女専用みたいね?」
「ちょっとこれには余もビックリしている」
どうやら空崎さんも同じ気持ちだったみたい。
そうだよね。何か凄い違和感あるよね、この一室だけ。お金かけているのはわかる。もっと違う所にお金使うべきだと思う。ここがワタシ専用だというのなら、後でこういうのは止めるよう遠回しに言っておこうかな。ハッキリ言うと傷ついちゃうかもしれないし、何より善意でやってくれていることだから言い辛い。
どうするか考えが纏まらないうちに、案内される前に頼んでおいたカフェばにたすの新商品シュークリームが運ばれてきた。
自分の前に置かれたのを確認した空崎さんは。
「シュークリームが新しいメニュー?」
「あぁ。ヒヨリが試食に試食を重ねて頑張ったと聞いている」
「ヒヨリってあの大きい子?」
「あの大きい子」
どこがとは言わない。
それだけでワタシ達は伝わる。その程度の仲には発展しているのだから。
空崎さんは視線を落し、自分の胸に両手を当てて、考えている。
「何を考えている、風紀委員の?」
「……いいえ、なんでもない。いただきます」
何やらやる気を出した――――ように見える。
空崎さんは勢いよく齧り付き、眼を見開き、頬が緩んでいった。どうやら甘みにやられたらしい、うん、良き哉良き哉。頑張っている娘はこれくらい幸せになってもいいと思うのです。笑っている貴女で居てほしい。
「そういえば――――」
「待て、風紀委員の」
「え?」
「クリーム、ついてる」
そういうと、ワタシは慣れた手付きで、空崎さんの口元をティッシュで拭う。
歩いている姿も隙がなく、座っていても何が起きても即座に反応できる気配を纏っている空崎さんだが、割と抜けている部分がある。歳上だけど、世話を焼きたくなるというか、彼女にはそんな魅力があった。
空崎さんも、んっ、とされるがまま。本当に慣れたものだ。
そこでワタシは見てしまう。
空崎さんの目の下に隈があることを。またあまり寝てないのかな?
「貴様、最近何時間寝た?」
「えっ? そうね、四時間くらい?」
「わぁ……」
それ、寝てない余。
もっと寝ないと壊すよ身体。
「……ゲヘナの風紀委員の仕事とやらは、そこまで激務なのか?」
「激務、というわけではないわ」
「普段は何をしているのだ?」
「えーっと、規則を犯した生徒を鎮圧して、その後始末をして、書類仕事をして、終わらなかったら帰った後も――――」
「あー、うん。だいたい理解した」
つまりは、問題を起こされる件数があまりにも多く、対処する風紀委員の人員が圧倒的に足りず、仕事が終わらないのだろう。
それもその筈、ゲヘナ学園とはそういう学風でもある。誰も彼もが自由で、規則に縛られない生徒ばかり。むしろ学園として成り立っている今が不思議なくらいだし、学園として機能しているのは取り締まっているゲヘナの風紀委員の力によるものなのだろう。
それにしても忍びない。
うら若き乙女が隈まで作って、仕事に没頭するなんて、本当に眼も当てられない。
「提案なのだが、余が手伝うことは出来ぬのか?」
「オススメしないわ」
「何故に?」
「ミレニアムの生徒がゲヘナの治安維持に出張ってくるなんて、政治的に良い案とは言えない。うちの万魔殿のバカマコ――――いいえ、議長がミレニアムに難癖つけるに決まってるわ」
「面倒なことだ。そうなれば、またリオに叱られてしまうな」
ため息を吐くワタシに、どういうわけか空崎さんがピクッと反応をする。
何に対して反応したのかはわからないけど、一つ冗談半分、本気半分の提案をする。
「なぁ、貴様さ~。いっそゲヘナを武力で治め、貴様が新しく統治する発想はないのか? 貴様の武力であれば可能であろうし、何よりそっちの方が今よりマシだと思うのだが」
「ないわね」
「ないかー。そっかー」
「えぇ、性分じゃないもの」
そこで一度区切り、空崎さんは続けて。
「貴女と同じで」
「うん?」
空崎さんはシュークリームを口に運び食べながら。
「こうして遊んでわかったけれど、貴女って人の上に立つタイプじゃないでしょ」
「それはまぁ、そうだが」
タイプというか、器じゃない。
ワタシなんてイノシシなやつは、鉄砲玉のように突っ込んで大暴れしていた方が性に合っていると思う。
「私もそうよ。組織の長はともかく、学園のトップなんて面倒臭い。絶対にやりたくない」
「絶対?」
「絶対」
「んー、そっかー」
やりたくないなら仕方ない。
何事も適性というものがあるしね。ワタシ達の場合は、政治よりも現場で動いていた方が性に合っているようだし。
「余達は似た者同士、というわけだな」
「――――――――えぇ、そうね」
え、なにその沈黙。
もしかして、嫌だった? その割に嬉しそうと言うか、何と言うか。あっ、シュークリーム食べているから嬉しそうに見えるだけ? 本当はワタシと似た者同士で嫌だった? 何かごめんね。
「話を戻していいかしら?」
「……うん」
「なんでそんな泣きそうになっているの?」
「いいや、続けて」
そういえば、ワタシが遮ってたね。
それも何だか申し訳なくなってくる。
「貴女、私の名前知ってる?」
「妙な事を聞くな?」
「答えて」
随分と真剣な眼差し。
知っているもなにも。
「空崎ヒナであろう」
「えぇ、そうよ。それで貴女は普段、私のことをなんて呼ぶ?」
「風紀委員のだが?」
「――――――――そう」
え、どうしてそこでへこむの?
シュークリームを食べて幸せオーラから、どんより不機嫌オーラに変わっている。一体この短期間で何があったの?
「ミレニアムの生徒会長のことは?」
「リオ」
「アリウスの生徒会長のことは?」
「アッちゃ――――じゃなくて、アツコ」
「……貴女に忠誠を誓っているあの子は?」
「んー、サオリ……?」
「…………私は?」
「風紀委員の」
「――――――――そう」
うわっ、不機嫌になってる。どうして?
苦虫を噛み締めて飲み込んだかのような顔だよ。何だろう、可愛い乙女がする顔じゃないよそれ。銃弾が腹部に命中して、致命傷に耐えているような顔をしているよ。
あれ、そう考えるとキヴォトスでは当たり前の顔なのかな?
そうして、ワタシは謎に不機嫌になってしまった空崎さんの機嫌を直そうと悪戦苦闘が始まる。
何をしても、何をやってもそっぽを向いてしまう。
機嫌を直してくれたのは、アレから一時間経過してのことだった――――。
△ヒナ委員長の交流
いつの間にか、週一から週二に増えていた。
普通に女子同士の遊びみたいな事をしている。プリクラも撮ってる。
ヒナ委員長が強いのはしっているけど、戦闘意欲より可哀想が勝つ。その結果、世話を焼くオウヒになってしまった。つまりは母性が生えた。
世界戦が違えば、オウヒをお姉様と慕うヒナ委員長がいたりいなかったりする。
名前で呼ばれないのが不満。それだけで不機嫌になる。