こちら、世界征服推進部ソロモンである   作:兵隊

4 / 113

 ※注意※
 
 番外編のため、一部キャラが著しく崩壊しています。


 


番外編 オウヒ「過ぎ去りし刻のオラトリオ?」

 

 

 ────妙な視線を感じるのは、きっと気のせいでじゃないと思う。

 

 空は快晴。

 雲一つない。

 太陽の光がアリウス分校を照らす、今日この頃。

 

 珍しく、ワタシは現在一人で辺りを散策している。

 

 サオリやアズサはアリウスの皆の訓練に忙しいのか、ワタシに構う余裕がないみたいだ。

 

 ミサキとアッちゃんは書類の山と現在格闘中。あとで差し入れに、喫茶ばにたすのスイーツを持って行こうと思う。やっぱり、頭を使ったのなら糖分は必要だしね。

 ワタシも食べたいから、数はそうだね。三十個あれば充分かな?

 

 ヒヨリは、きっと食べ歩きでもしているか、どこかでお昼寝でもしているだろう。

 結構ずぶといからね、ヒヨリは。この前だって、訓練をサボってたところをサオリに見つかって怒られてたし。

 

 しかし、いいなぁお昼寝。

 ワタシもどっかいい感じの場所を見つけて、うたた寝でもしてみようかな。

 

 

「…………」

 

 

 現実逃避は、ここまでにしよう。

 

 うん、絶対に気のせいじゃない。

 現在進行形で、何者かにワタシは見られている。

 

 ちらり、と。

 ワタシは見られている気配を眼で追ってみた。

 

 それはアリウスの生徒であり、何者かなど疑問に思うこともなく、直ぐに誰なのか理解する事が出来た。

 

 木の陰からワタシを見る人影。

 黒いシャツ、緩んだネクタイを巻き、アリウス特有の白い上着を羽織っている。スカートも太ももくらいの丈のもので、その太ももは健康的で眩しく見えるのはワタシだけではない筈だ。

 

 そして、彼女の紫色の瞳が、ジッとワタシを逸らさずに射抜き、観察している。

 

 正直な話、これが初めてではない。

 何度か、数十度か。数えるのも億劫になるくらい、ワタシは彼女の視線を受けていた。

 

 そう。

 今のように、影から。ジッと。サオリと話すときなんか、怖いくらい睨まれている。ワタシをじゃない、()()()()()()()()()

 

 

「……スバルよ、言いたい事があるのなら聞く。近う寄れ」

 

 

 そうして決まって、ワタシから話しかけるのが現状となっている。

 

 スバル。

 つまりは、梯スバルは木陰に隠れたまま、少しだけ驚いた様子で方を震わせて。

 

 

「流石は、我が君。よく私の存在がわかりましたね?」

 

「……で、あるか?」

 

 

 いいや、わかるよ。アレだけ見られたら。

 本当に穴が開くほど見てたからね貴女。なんであんなに、ワタシを見ているのかわからないくらい。最初の頃は、闇討ちをするきなのかな、って思ったくらいですよ?

 

 そう思うのも、仕方ないのです。

 今では、みんな殿下、って慕ってくれているけどね。年増を追い出した後なんてみんな血気盛んだったし。よそ者が偉そうに、って言われるのは日常茶飯事の闘争の毎日だったからね。

 

 でもアレはアレで愉しかった。

 油断なんて出来ないし、少しでも気を抜くとやられるくらいには、みんなピリピリしていた。

 平和なのはいいことだけど、闘争ってのはああじゃないと嘘だ。

 

 

「我が君、如何しました?」

 

「ん、いいや。なんでもない」

 

 

 おっと、いけない。

 顔に出ていたのか、ニヤニヤしてしまった。

 

 だらしない顔をしていたのかもしれない、と改めるけどそれは遅かったみたいだ。

 

 スバルはどこか不敵な笑みを浮かべて。

 

 

「いいえ、私にはわかりますよ。キヴォトス征服を思案しておいでなのでしょう。なんて残酷な我が君」

 

「えっ?」

 

 

 そんなこと、考えてない余。

 本当に本当だ余。

 天上院、嘘つかない。

 

 って、そんなことを言っていられる状況じゃないことは、ワタシでもわかる。

 この手の勘違いは、サオリ相手に何度も経験しているけど、スバルの場合は不味い気がする。

 

 サオリと違って、ここでちゃんと否定しておかないと、取り返しの付かない事になりそうな予感がするんだもの。

 

 

「スバルよ、落ち着け。余は一言も、そのような言を漏らしておらぬぞ?」

 

「えぇ、わかっております」

 

「えっ、ホント?」

 

 

 なんだ、ワタシの早とちりだったみたい。

 ワタシはホッと、胸を撫で下ろす。スバルは満面の笑みを浮かべて。

 

 

「まだ、その時ではない。そういうことですね?」

 

「そういうことでもないが」

 

 

 思わず、反射的に、異を唱えた。

 

 訂正。

 全然、わかっていなかった。

 

 そもそも、ワタシはキヴォトス征服だとか、そんな大それた野望ないんだけど。

 人を暴の者みたいに言うの、本当に良くないと思うわけ。

 

 そんなワタシの微かな反抗を、スバルは聞こえてないのか、不敵な笑みを張り付かせて。

 

 

「私にはわかっています。やはり、我が君の大望のお手伝いできるのは、私だけでしょう」

 

「……待て。本当に待つが良いスバル。やる気は買うが、人の話を聞かないのは貴様の悪い癖だ。少しは余の話を聞いてほしい」

 

「錠前サオリも手緩い。御身の近くに我が物顔で陣取っている癖に、何一つ分かっていませんね」

 

「勘違いさせる余も悪いが、サオリもそうだが、貴様も大概では? 実は、似た者同士だったりする、貴様ら?」

 

「ですがご安心を。私は違います。必ず、我が君のお役に立って見せましょう!」

 

 

 凄いやる気に満ちている。

 ふっふっふ、って悪い笑みを浮かべて、凄いやる気に、満ちている!!

 

 どうしよう。

 壮大な勘違いしている。でも本人のやる気をなくさせる発言をしていいものなのかどうか。

 

 いいや、いいに決まっている。

 このやる気の出し方は本当に不味い気がする。

 さもないと、本当に世界征服をする、流れになる予感がするから!

 

 

「スバル、落ち着け。少し余の話を────」

 

「こうしてはいられませんね。直ちに執行部を召集し、今後に備えて訓練してきます。それでは、我が君!」

 

「スバルさんー!? ちょっとー! 待って、本当に待ってー!!?」

 

 

 手を伸ばすがその手は空を切り、スバルは既に遥か彼方に。

 しかし、それにめげては居られない。ここで逃がしては、本当に不味い事になりそうだから────!!

 

 

「うぉぉぉっ、スバルぅー! 直ちに待って! ジャストナウだよぉ!!?」

 

 

 それから何とか追いついて、誤解を解けたけど、その際にまた妙な勘違いをされて、一悶着あったのは別のお話。

 

 

 





 △梯スバル
 アリウス分校の生徒。
 サオリとは似た者同士だけど、別ベクトルで熱量が違う人。
 『殿下の良さは私だけが知ってれば良い派』の一人。(Vol.2 第8話 高嶺の聖園さん参照)
 オウヒの事になると多分早口になる。いつも我が物顔で、一番の忠臣です、って顔をしているサオリが大嫌い。
 サオリとは違う種類の忠誠を誓っている。
 アリウスの中で、一番オウヒに脳を焼かれている人。
 普段は面倒見がよく、頼りになる人なんだけどね。オウヒが関わると暴走する。ついでにサオリも暴走する。どうしてこうなった。


 △執行部
 オウヒのために作られた部。部長はスバル。
 何をしているのかはオウヒは知らない。むしろ、そんな部活あるのすら知らない。
 オウヒ「執行部? えっなにそれ知らんこわっ」



 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。