※注意※
番外編のため、一部キャラが著しく崩壊しています。
────妙な視線を感じるのは、きっと気のせいでじゃないと思う。
空は快晴。
雲一つない。
太陽の光がアリウス分校を照らす、今日この頃。
珍しく、ワタシは現在一人で辺りを散策している。
サオリやアズサはアリウスの皆の訓練に忙しいのか、ワタシに構う余裕がないみたいだ。
ミサキとアッちゃんは書類の山と現在格闘中。あとで差し入れに、喫茶ばにたすのスイーツを持って行こうと思う。やっぱり、頭を使ったのなら糖分は必要だしね。
ワタシも食べたいから、数はそうだね。三十個あれば充分かな?
ヒヨリは、きっと食べ歩きでもしているか、どこかでお昼寝でもしているだろう。
結構ずぶといからね、ヒヨリは。この前だって、訓練をサボってたところをサオリに見つかって怒られてたし。
しかし、いいなぁお昼寝。
ワタシもどっかいい感じの場所を見つけて、うたた寝でもしてみようかな。
「…………」
現実逃避は、ここまでにしよう。
うん、絶対に気のせいじゃない。
現在進行形で、何者かにワタシは見られている。
ちらり、と。
ワタシは見られている気配を眼で追ってみた。
それはアリウスの生徒であり、何者かなど疑問に思うこともなく、直ぐに誰なのか理解する事が出来た。
木の陰からワタシを見る人影。
黒いシャツ、緩んだネクタイを巻き、アリウス特有の白い上着を羽織っている。スカートも太ももくらいの丈のもので、その太ももは健康的で眩しく見えるのはワタシだけではない筈だ。
そして、彼女の紫色の瞳が、ジッとワタシを逸らさずに射抜き、観察している。
正直な話、これが初めてではない。
何度か、数十度か。数えるのも億劫になるくらい、ワタシは彼女の視線を受けていた。
そう。
今のように、影から。ジッと。サオリと話すときなんか、怖いくらい睨まれている。ワタシをじゃない、
「……スバルよ、言いたい事があるのなら聞く。近う寄れ」
そうして決まって、ワタシから話しかけるのが現状となっている。
スバル。
つまりは、梯スバルは木陰に隠れたまま、少しだけ驚いた様子で方を震わせて。
「流石は、我が君。よく私の存在がわかりましたね?」
「……で、あるか?」
いいや、わかるよ。アレだけ見られたら。
本当に穴が開くほど見てたからね貴女。なんであんなに、ワタシを見ているのかわからないくらい。最初の頃は、闇討ちをするきなのかな、って思ったくらいですよ?
そう思うのも、仕方ないのです。
今では、みんな殿下、って慕ってくれているけどね。年増を追い出した後なんてみんな血気盛んだったし。よそ者が偉そうに、って言われるのは日常茶飯事の闘争の毎日だったからね。
でもアレはアレで愉しかった。
油断なんて出来ないし、少しでも気を抜くとやられるくらいには、みんなピリピリしていた。
平和なのはいいことだけど、闘争ってのはああじゃないと嘘だ。
「我が君、如何しました?」
「ん、いいや。なんでもない」
おっと、いけない。
顔に出ていたのか、ニヤニヤしてしまった。
だらしない顔をしていたのかもしれない、と改めるけどそれは遅かったみたいだ。
スバルはどこか不敵な笑みを浮かべて。
「いいえ、私にはわかりますよ。キヴォトス征服を思案しておいでなのでしょう。なんて残酷な我が君」
「えっ?」
そんなこと、考えてない余。
本当に本当だ余。
天上院、嘘つかない。
って、そんなことを言っていられる状況じゃないことは、ワタシでもわかる。
この手の勘違いは、サオリ相手に何度も経験しているけど、スバルの場合は不味い気がする。
サオリと違って、ここでちゃんと否定しておかないと、取り返しの付かない事になりそうな予感がするんだもの。
「スバルよ、落ち着け。余は一言も、そのような言を漏らしておらぬぞ?」
「えぇ、わかっております」
「えっ、ホント?」
なんだ、ワタシの早とちりだったみたい。
ワタシはホッと、胸を撫で下ろす。スバルは満面の笑みを浮かべて。
「まだ、その時ではない。そういうことですね?」
「そういうことでもないが」
思わず、反射的に、異を唱えた。
訂正。
全然、わかっていなかった。
そもそも、ワタシはキヴォトス征服だとか、そんな大それた野望ないんだけど。
人を暴の者みたいに言うの、本当に良くないと思うわけ。
そんなワタシの微かな反抗を、スバルは聞こえてないのか、不敵な笑みを張り付かせて。
「私にはわかっています。やはり、我が君の大望のお手伝いできるのは、私だけでしょう」
「……待て。本当に待つが良いスバル。やる気は買うが、人の話を聞かないのは貴様の悪い癖だ。少しは余の話を聞いてほしい」
「錠前サオリも手緩い。御身の近くに我が物顔で陣取っている癖に、何一つ分かっていませんね」
「勘違いさせる余も悪いが、サオリもそうだが、貴様も大概では? 実は、似た者同士だったりする、貴様ら?」
「ですがご安心を。私は違います。必ず、我が君のお役に立って見せましょう!」
凄いやる気に満ちている。
ふっふっふ、って悪い笑みを浮かべて、凄いやる気に、満ちている!!
どうしよう。
壮大な勘違いしている。でも本人のやる気をなくさせる発言をしていいものなのかどうか。
いいや、いいに決まっている。
このやる気の出し方は本当に不味い気がする。
さもないと、本当に世界征服をする、流れになる予感がするから!
「スバル、落ち着け。少し余の話を────」
「こうしてはいられませんね。直ちに執行部を召集し、今後に備えて訓練してきます。それでは、我が君!」
「スバルさんー!? ちょっとー! 待って、本当に待ってー!!?」
手を伸ばすがその手は空を切り、スバルは既に遥か彼方に。
しかし、それにめげては居られない。ここで逃がしては、本当に不味い事になりそうだから────!!
「うぉぉぉっ、スバルぅー! 直ちに待って! ジャストナウだよぉ!!?」
それから何とか追いついて、誤解を解けたけど、その際にまた妙な勘違いをされて、一悶着あったのは別のお話。
△梯スバル
アリウス分校の生徒。
サオリとは似た者同士だけど、別ベクトルで熱量が違う人。
『殿下の良さは私だけが知ってれば良い派』の一人。(Vol.2 第8話 高嶺の聖園さん参照)
オウヒの事になると多分早口になる。いつも我が物顔で、一番の忠臣です、って顔をしているサオリが大嫌い。
サオリとは違う種類の忠誠を誓っている。
アリウスの中で、一番オウヒに脳を焼かれている人。
普段は面倒見がよく、頼りになる人なんだけどね。オウヒが関わると暴走する。ついでにサオリも暴走する。どうしてこうなった。
△執行部
オウヒのために作られた部。部長はスバル。
何をしているのかはオウヒは知らない。むしろ、そんな部活あるのすら知らない。
オウヒ「執行部? えっなにそれ知らんこわっ」