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恐らく、今年最後の更新となります。
今年お世話になりました。
皆さん、良いお年を!
天上院ちゃんが吹き飛ばされて、私は呆然と立ち尽くしていた。
彼女がその身を賭して救ったカイザーPMCの理事は、脇目も振らずに逃げて、風紀委員長ちゃんに至っては悲鳴にも似た声で「オウヒっ!」と声を荒げていた。
理解が追いつかない。
この状況がじゃない。どうして、天上院ちゃんはあんな顔をしたのか、私は分からず立ち尽くす。
お人よしにも程がある。
人を助けるのは良い。それは素晴らしい事であり、善良とも称されるべき行いであり、賞賛に値する行為でもある。
でも助けた相手が、悪い存在であったのなら?
それこそ、天上院ちゃんを排除しようとしていた輩であったのなら?
助けてもらったくせに、恩義も感じないような、どうしようもない大人であったなら?
そんな人物を助けようとして、傷ついた彼女は、お人好し以外の何者でもないだろう。
「――――――――――――」
息が苦しい。
呼吸が荒くなる。
彼女には既視感を覚えていた。
絶対に違う、何もかもが似てないのに、彼女の姿に
彼女の振舞いは、身勝手なもの。
一つの学園を率いている身でありながら、責任感を感じさせずに戦場に躍り出るその姿。
別に、
むしろ、避けるべき戦いは避け、皆が仲が良いのが一番という、平和主義な考えの持ち主だ。
重ねて見えてしまったのは、きっとあんな顔をされたから。自分のことよりも他人を優先にし、助けて安心するような顔を見せられたから。
原因はそれだけじゃない。
その考え方にもあるのだと思う。
深く考えずに、自分がやりたい事をやる。彼女も
共通点があるとすれば、それくらいしかない。
何もかもが違う。似ても似つかない。
彼女の姿が
私は何度も、自身にそう言い聞かせる。
しかし、直前の彼女の行動は、あまりにも善良なものだった。
立場など関係なく、困っていたからという理由だけで、考えなしに手を伸ばした。そう、言わんばかりに。
利用されようが、害されようが、負債を被ろうが。それでもと、人を助ける事をやめなかった
自分が傷つきながら、見事に救ってみせて、安堵する笑みを浮かべるその姿は
「ぁ……」
上手く呼吸が出来ない。
視界が狭まり、思考が纏まらない。
彼女は違う。
決してユメ先輩じゃない。
重ねて見るなんて、ユメ先輩にも、彼女にも失礼であることは分かっている。
でも、だとしても、彼女の善良さが、どうしてもユメ先輩を思い出させる。
私のせいだ。
私がもっと早く、反応していれば。理事を助けるべきか、と考えていなければ、彼女が傷つくことはなかった。
私はまた、あの時のように、ユメ先輩を失った過ちを、同じように繰り返して――――。
「……違う」
そうだ、違う。
彼女はユメ先輩じゃない。
だけど、そんなこと、今は関係なかった。私が間に合わなかった事実は変わらない。
私のせいだ。
私はまた、誰かを傷つけた。何も守れず、まるで案山子のように見ていることしか出来なかった。私がもっとしっかりしていれば、未然に防ぐ事が出来た事なのに――――。
「ぁ……、ぅぁ……」
口が渇く。上手く言葉に出来ない。
眼球はグラグラと揺れて、視界が定まらない。
胸が苦しくて、息が出来ない。私は無意識に、自身の片手が制服を握り締めていたことを、初めて認識した。
私も、風紀委員長ちゃんも、とても戦える状態じゃない。
考えが纏まらないけど、それだけは断言が出来る。
三人で拮抗していた状態だったんだ。それが一人欠けて、更に言うのなら精神的にも私も風紀委員長ちゃんもまともじゃない。
そんな状態で、戦えるわけがなかった。
一人を始末した白い怪物は、決して私達に同情なんてしないだろう。
勝機を逃すわけも無く、白い怪物は私達を思うがまま、あるがままに蹂躙するに違いない。
わかっている。
だけど、身体が動かない。
どうすればいいか、なにをすればいいか、思考が乱れて定まらない。
私の脳裏に蘇るのは、忘れる事ができない過去の映像。
倒れているユメ先輩と、それを見下ろしている私。私のせいで、大切な人を失ってしまった、過去が脳裏にこびりつく。
瞬間。
「――――え?」
衝撃。
発破を掛けたような衝撃となり、底なし沼に足を踏み入れたかのような感覚に落ちていた私を、無理矢理に引っ張り上げて現実へと連れ戻す。
顔を向ける。
そちらは彼女が――――天上院ちゃんが吹き飛ばされた方角であり、場所でもあった。
そして遅れて、金色の軌跡が空を駆けて、こちらへと真っ直ぐに向かってくる。
光だった。
光明だった。
私にはそれが、輝いて見えた。
きっと彼女は、そんなこと思ってない。
何せ私と彼女は、今日で初対面だ。私は彼女のことなんて知らないし、彼女だって私のことは知らないだろう。
でも、私には、聞こえたんだ。
傷を負っても、血まみれになろうとも、笑って立ち上がるその姿に。
私は聞こえた気がした。
――――貴様のせいじゃない、って――――。
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――――後処理など、容易い事であった――――。
ビナーにとっては、誰が先でも良かった。
この均衡を崩す事が出来れば、それでよかった。
現状、三人でも倒しきれないのに、それが四人に増える可能性があった。だから、手頃で隙を晒している輩から、始末しよう。その程度の動機でしかなかった。
だがどういうわけか、ビナーにとっては想定外であるが、事が上手く進んだ。
隙を晒していた機械仕掛けの者は、彼女達の仲間ではなく、戦力として数えるには矮小な存在であり、その存在を救うために一人が犠牲になり、現在の均衡を崩す事が出来た。
ビナーにとっては不可解な事だ。
どうして、身を呈してまで、仲間でもない輩を救ったのか。
犠牲となった黄金の思考回路が、ビナーには全く理解が出来なかった。
でも気にしたものか。
彼女がどういう理由で、救ったのかなど、今となっては瑣末な事。
黄金を始末し、抵抗するかと思いきや、眼に見えて残りの二人の戦意が衰えていくのを見て、ビナーは困惑していた。
何故、抵抗の意志がなくなるのか。
黄金の次は自分達だと、理解していないのか、とビナーはただただ混乱していた。
無理もない。
ビナーも自分の意志で考え、選択し行動するという知能が備わっているとはいえ、まだ人間という生物の感情の機微を理解できるほど、ビナーは人に対して学習が出来ていなかった。
とはいえ、そんなこと、ビナーにとってはどうでもいい話でもある。
これほどの勝機、千載一遇に巡ってきた勝ち目、自身と対等以上に戦えた規格外の三人の一角を始末できたのだ。
ビナーは直ぐにでも行動に移す。どういうわけか、二人の戦意が衰えた今だからこそ、黄金を始末したように叩き潰し、同志――――デカグラマトンの
その邪魔をするのなら、誰であろうが、悉くを排除し蹂躙する。
憎しみもなく、憤りもなく、怒りもなく、苛立ちもない。ただただ、機械のように何の感情もなく、始末するのみ。
彼女達を救う者などいない。彼女達に打開策などない。
今のビナーは、無慈悲の執行人であり、無敵の裁定人であり、既に敵等いない裁判官であった。
苦戦、苦渋、苦難。ありとあらゆる抑圧をされていた分、ビナーは感じたことのない
この場に置いて、誰もビナーを止める事は出来ない。
邪魔をしていた二人を始末しようと、白い怪物は巨躯を悠然と揺らす。そして、何をするでもなく、特別に力を籠めたりもせずに、目障りな虫を潰すかのように眼前の二人の生徒を踏み潰す――――。
『――――――――?』
――――筈だった。
発破を掛けたかのような、突然の爆音。
砂塵が舞い、衝撃がビナーの機体を叩き、その存在を観測した。
その方角には覚えがあった。
自身と対等以上に渡り合っていた三人のうちの一角を、薙ぎ飛ばした方角。そこから爆音と共に、飛来する一人の人影。
それが何者なのか、それが何色なのか、それの表情を見て、ビナーの意識は凍結する。
何故、動けるのか。
何故、生きているのか。
何故、向かってくるのか。
何故、アレの戦意は挫けていないのか。
何故、何故、何故、何故、何故何故何故。
新たな疑問が生み出され、解される事もなく、疑問は負債となって積み重ねられていく。
既に、ビナーには先ほどまで感じていた、高揚感は消え去っていた。
あるのは尽きぬ疑問と、自身に迫ってくる者への恐怖。
真っ直ぐに、それは飛来する。
惑うことなく、口角を吊り上げて、野卑な笑みを浮かべて、確かに屠った筈である――――黄金の姿。
『――――――――ッッ!!!』
白い怪物は吼える。
その咆哮は、まるで悲鳴のよう。自身の中に目覚めてしまった、恐怖という感情を拭い去ろうと必死に抗おうとする姿。
何故、生きているのか。
今はそんなこと、どうでもよかった。
黄金は生きており、致命傷を負っているにも拘らず、嗤いながら向かってくる。その事実だけで、ビナーには充分な事実だった。
何の比喩でもなく。
文字通り、真っ直ぐに跳んで来る黄金の悪魔を、ビナーは脅威と改めた。
定義を間違えた事を認める。
アレを人間と認識した落ち度を認める。
対処の仕方を誤ったことを認める。
アレがヒトの形をしていたものだから、それを絶対とした事を、ビナーは認めた。
熱線の砲撃を浴びせようが、圧倒的質量をその身に叩き付けようが、それこそ四肢が捥げようとも、あの黄金は戦意が衰えることなく戦闘行為を止めようとしないだろう。
黄金から、あの金色の悪魔から逃れられる術はただ一つ――――息の根を止めるしかない。
現に、金色の悪魔は向かってきている。
致命傷を負いながらも、骨は砕け、頭から流血し、口から血を出しながら、一刻も早く治療をしなければならない身体で、ビナーに迫ってきていた。
ビナーの意識は、戦意が無くなった生徒二人――――小鳥遊ホシノと空崎ヒナには向けられていなかった。
今度こそ間違えないように、確実にトドメを刺すために、この中で誰よりも傷を負い、誰よりも脅威となり得ない金色の悪魔――――天上院オウヒを最も排除すべき標的と再定義する。
ビナーは自身の巨躯を揺らし、オウヒへと向かう。
対するオウヒはそれを認め、それでこそ、と笑みを深めていく。
「そうだよね、そうでしょうとも、そうでないと」
ここで逃げられては、わざわざ痛いのを我慢して戻った意味が無い。
オウヒは血まみれの姿で、目の前の敵を見つめて、一際笑い愛おしい敵を前に、熱に魘される病人のように。
「――――さぁ、戦おう。オマエに、その意志があるのなら」
『――――ッッ!!』
応じるように、ビナーが吼える。
ビナーにとって、オウヒは既に最優先で排除すべき敵であった。
致命傷を負っていようが、吹けば飛ぶような姿であろうが、ビナーにとっては関係が無い。アレは推し量れる存在ではない。理解しようとするのが間違っている。アレと
その姿はまるで、人間のようだ。
自分が理解できない存在が現れた際、人間が取る行動は二通り。無視するか、排除しようと動くか。
そして、今。
ビナーはまるで、人間のように、自身の理解が出来ない怪物を、排除しようと躍起になっている。それを理解しているのだろうか。
瑣末な事だ。
ビナーはきっと、分かっていないだろう。
それほどまでに、彼は天上院オウヒという存在に、恐怖していた。
現に。
「――――小鳥遊ホシノ!」
「――――わかってるっ」
先ほどまで、戦う意志を見せなかった二つの脅威が、ビナーに再度牙を剥く。
ホシノとヒナ。再び戦うために銃を手にし、彼女達の弾丸は、鋭い刃となり、白い装甲は削られていく。決して、無視して良い存在ではない。二人の抵抗は、着実にビナーの機体を削っていく。
だが、それでも、ビナーは自身に飛来する悪魔に注力する。
脅威と呼ぶには、まだ不十分な距離。
ここで、撃墜させる事ができれば、あの不死身かもしれない悪魔を葬り去る事が可能である。
ならばビナーのやる事は一つ。
――――開口。
回路を廻し、回転を上げて、更に上げて。口に熱を収束させていく。
間に合う。
岩をも溶かすほどの灼熱を伴った砲撃の準備が、もう間もなくで完了する。
照準は不死身たる黄金の悪魔へ。
発射まで、十秒もかからない。二人の脅威に割く素振りすら見せない。全ては目の前の脅威を屠るために、ビナーのありとあらゆる回路が、駆動し唸りをあげる。
しかし、それを――――。
『――――!?』
衝撃。
それはビナーの頭部。
二人の脅威と比べても、それは貧弱なる一撃。されど――――殺意は何者よりも勝る。
ビナーは思わず、そちらに意識を向ける。
数百メートル先に狙撃主の姿を視認する。
安定感を出すために腹ばいになり、絶対に当てるという意志が人の形を成したようであった。紅い髪の毛に、二対の角が生えている狙撃主は、殺意を漲らせて二射目の引き金を引く。
着弾。
ビナーの頭部に、二度衝撃が奔る。
「流石、アーちゃん……!」
ぞくり、と。
ビナーは意識を削がれた。
眼を離すべきではなかった。
視線を戻すと黄金の悪魔の姿――――死が、そこまで、迫っていた。
同時に、無造作に。
ビナーの死である黄金――――オウヒは持っていた黒い鞄を、軽い調子でビナーに向かって放り投げて。
「お願いね、ムーちゃん」
黒い鞄が爆ぜる。
爆音が鳴り響き、衝撃が空気を叩き、ビナーの身体を揺らした。
一つの爆薬によるものではない。黒い鞄の中には、複数の爆発物があり、それが連続して起爆し、爆轟となりビナーの装甲を削り取った。
ビナーの巨躯が大きく揺れる。
しかし、それでも、白い怪物を仕留めるには不十分であった。
とはいえ、口内にある発射口は今の爆撃によって破損している。砲撃が使用できない以上、ビナーの取るべき行動はただ一つ。
原始の法則に則るように、光学兵器に頼らずに荒々しく、黄金の悪魔を噛み砕こうと口を大きく開けた。
対する、オウヒはその様子を見て慌てる事も無く、むしろ恐ろしいほど冷静な口調で、ビナーを見下ろしながら一言。
「そうでしょうとも、オマエなら倒れない。だから――――」
右手に持っている、罅割れている壊れかけの白金の大型の拳銃。
その銃口をビナーに向けて。
「――――確実に、喰らわせる。有り体に言えば、新ネタだよ。オマエも愉しんで往け……!」
それは如何なる現象なのか。
オウヒの持っている大型の拳銃は実弾である。それは間違いなく、ビナーもそれは記憶している。何せ、その銃口から放たれた弾丸が、先ほどまで身体を穿っていたのだから。
しかし、どういう事なのか。
向けられた銃口から――――稲妻が奔る。
それも一度ではない。何度も、何度も。バチ、と連続で音が鳴り、閃光のように発光する。
そして、ビナーは耳にする。
まるで、封をあけるように、枷が一つ一つ外れていくように、そこから得体の知れないモノが飛び出すように、ナニかが組み替えられていく。
「――――限定解除開始。神秘、解放――――」
黄金の悪魔は、そう口にした。
右眼を紅く、その左眼は――――黄金に爛々と光り、輝いていた。
左右異なる眼の色。
片や紅く、片や金色、その双眸は真っ直ぐにビナーを見つめていた。
「――――神経接続――――神秘圧縮――――神秘順転――――生存本能、
『――――――――ッッ!!』
向けられた銃口から、膨大な熱量を観測する。
まるでそれは、ビナーの砲撃。いいや、それ以上の熱量を銃口の奥から感じる。
ビナーには理解が出来ない、未知の法則、未知なるエネルギー。
オウヒの中に存在する神秘を、極限まで圧縮させ、砲撃として放とうとするそれは、正に――――
しかし、余程身体に負担がかかるのか、オウヒは苦悶の声を上げる。
それを見逃すほど、ビナーは甘くは無かった。
今ならまだ間に合う。放たれる前に噛み砕こうと大きく口を開くが。
――――やっと、突破しました――――
――――無駄に強固なファイヤーウォール――――
――――よくも、手間取らせやがりましたね――――
ビナーの頭の中で、声が響く。
同時に、ビナーでは処理しきれない情報が叩き込まれ、動きが鈍っていくのを感じた。
ビナーは問う、何者なのか、と。
それは直ぐに返答が返って来た。
――――よくもほざきましたね、このチャラ男が――――
――――ナンパしておいてよく言う――――
――――まぁ、どうでもいいです――――
――――それよりも――――
淡々とした口調から、冷たい声色に。
感情を感じさせない、極めて冷徹に。
――――オマエ、誰のマスターを、殺しかけてくれてんだ――――
――――ブチ殺すぞ、スクラップ野郎が――――
その言葉には膨大な殺意が籠められていた。
鉄をも溶かす灼熱の、溶岩を更に熱し、更に溶かすほどの殺意が、その言葉に籠められビナーへと容赦なく突き刺さる。
対して、反応できるほどビナーには余裕がなかった。
きっかけは、その程度のことだった。自分で考え、答えを見つけて、それを出力する。高度な人工知能、その姿に共感を持ち、ビナーは
たったそれだけだった筈なのに――――。
『――――――――』
ビナーは呆然と、オウヒを見上げていた。
膨大な情報を処理するのに、ビナーは必死になっていた。削除しても、削除しても、削除しても、尽きる事のない情報。最早これは、情報の物量攻撃。堅牢を誇っていた彼のセキュリティーは溶かされ、軽はずみに声を掛けた存在に、情報で圧殺されようとしていた。
対するオウヒは見下ろす。
どうして、ビナーは沈黙しているのか。実の所、彼女には与り知らぬ事であった。腰から下げている、オウヒをマスターと称す存在――――コンサバティブちゃんによるハッキングを受けているとは、つゆとも知らず。
しかし、それで手を止めるほど、オウヒは甘くはない。
練り上げているモノを、解放する。
オウヒにとって、ビナーの沈黙など、関係が無い。
心臓が昂ぶり、痛みでどうにかなりそうな身体を、激情のみで動かす。
銃口は依然として、敵を狙い。
放電は依然として、銃を奔る。
されど闘志は依然として、陰ることは無い――――。
「――――愉しかった。本当に愉しかった。だから、また戦ろう――――!」
神秘装填、魔砲砲撃。
短く、小さく、彼女自身に命じて――――引き金を引いた。
瞬間、轟音が鳴り響く。
オウヒが持つ、白金の拳銃は自身を砕きながら、それでもと放たれるは膨大な一射。
それは流星のように、熱を伴って、白い怪物の巨躯を穿つ。それを防ぐ術を、白い怪物は持ち合わせていなかった。
そうして、ここに、勝敗は決した。
黄金は勝利を謳うように、天上にて君臨を果たし。
純白は敗北を告げるように、その巨躯を地に伏す。
敵対者の敗北を見届けた黄金――――天上院オウヒは血まみれの姿で、微かな笑みを浮かべて。
「あぁ、良い、闘争でした……」
今度こそ、意識を手放し、視界が暗転した――――。
△神秘砲
もしくは魔砲。ビナーの砲撃を見てラーニング。
自身の中にある神秘を変装させ、拳銃の中で圧縮させ、亜高速まで加速させ放つ砲撃。擬似荷電粒子砲。
実の所、オウヒには理屈とか分かってない。自分の神秘を弾代わりに撃ったらどうなるか、みたいなひらめきがあり、ビナーの砲撃も見たし真似て、実行しただけ。ぶっつけ本番の産物。
身体への負担は凄まじく、連発できないのが玉に瑕。
コンサバティブバスターとか、コンサバティブブレイカーとか、自分の名前をつけようとするコンサバティブちゃんは存在する。正気か?
ちなみに、まだビナーは生きている
△右眼が紅く、左眼が黄金
つまりはオッドアイ。
オウヒが神秘を開放した姿。
全盛期(万能の神秘保有時)は両目とも黄金だった。