こちら、世界征服推進部ソロモンである   作:兵隊

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 セイア、リオ会長!!
 実装おめでとうございます!!!

 うわー!!
 ナギサ様、助けて!!
 私この会長好きになっちまう!!

 6thティザーPVかっこよすぎませんか?
 これは夢のキヴォトス最強クラスアッセンブルしても許されるのでは??


 Vol.1の最終話です!!よろしくお願いします!!
 


最終話 そして三人は再会を果たす

 

 

 

 小さい頃から、ワタシはトリニティに良い印象をもてなかった。

 それは、ワタシがイジメられていたからではない。何せアレはワタシの自業自得。手加減を知らなかったワタシが、“あの娘”を怪我させてしまった事により起きた。原因はワタシにあり、10割ワタシが悪いので、そこに文句なんてある筈がない。

 

 だから、ワタシも同じ目にあわせようとするのはいい。これも、身から出た錆というヤツなんだと思うし。

 でも、ワタシなんかを庇ってくれていた、アーちゃん達が目障りという理由だけで、関係がなかった二人にまで暴力を振るおうとしたのは違うと思う。

 

 それは道理が合わない。

 その憤りの矛先はワタシに向けられるものであり、決してあの二人に向けられて良いモノではないのだから。

 

 なので、ワタシにとってトリニティの生徒は理不尽なことをする生徒という認識しかなかった。

 決して、優しく思いやりがあって、他人を助けることが出来る生徒がいるとは、とてもじゃないけど思えなかった。

 

 

 

 

「私とはぐれてから、そんな事があったんですね~」

 

 

 のんびりと、とても穏かな口調で。もりもりとメロンを頬張りながら、ヒヨリは呑気に自身が思ったままの感想を呟いた。

 

 彼女の表情はとても幸せそう。

 メロンの食感、そして押し寄せる甘みに舌鼓を打っていた。

 

 満面の笑み。

 モグモグと口を動かし、また新しいメロンを頬張りながら、ヒヨリは続けて言う。

 

 

「トリニティの生徒でも、優しい人はいるんですね~」

 

「あぁ。話には聞いていたけど、トリニティの生徒達はそこまで酷い人達ばかりじゃないみたいだ」

 

「えへへ、良かったですねアズサちゃん」

 

 

 ヒヨリの言葉に対して、あぁ、とアズサは頷いた。

 

 

 アズサの話を総合すると、ヒヨリと一緒になってワタシのお見舞いにトリニティに訪れたのはいいもののはぐれてしまい途方に暮れていたところ、一人のトリニティの生徒に助けてもらったとの事だった。

 

 何というか、本当に意外だった。

 トリニティにも良心的な生徒もいるという事に、ワタシは少しだけ驚いている。

 でも当たり前だろう。この世界は千差万別、様々な人が今もこうして生きている。トリニティの生徒が全員性悪というわけでもない。

 

 なんだか、恥ずかしくなってくる。

 ワタシは自分が思っているよりも、狭い見識だったみたいだ。

 

 

 そういう意味では、ワタシなんかと違って二人は柔軟だ。凝り固まった印象で判断するのではなく、自分で見て聞いたモノを信じる事が出来ている。

 

 

 ヒヨリは、あれ? と言うと首を傾げて。

 

 

「そもそも、誰からトリニティは酷い人達の集まりだ、って聞いていたんでしたっけ?」

 

「そういえば……」

 

 

 そういうと、アズサも一緒になって首を傾げ始める。

 二人は、うーん、と唸りヒヨリはワタシの方へと視線を向けて。

 

 

「殿下ですか?」

 

「余ではない」

 

 

 アズサから借りたナイフを使って、メロンを切り分けながらワタシは答える。

 

 もちろん、ワタシではない。

 確かに、トリニティには良い印象を持っていないワタシだけど、それを他人にまで強要するほど身勝手ではないのです。

 

 

 でも心当たりならある。

 ヒヨリやアズサだけではなく、アリウスの生徒達の境遇を誰かのせいにして、彼女達の心に憎悪という薪を焚べ、生まれた猜疑を着火剤とし、憤怒となった炎が燃え上がる。

 洗脳と言って過言ではない扇動。それによって、アリウスの生徒達は、何もかもを憎むように仕向けられていた。それこそが、ワタシが叩き潰した大人の女────年増のやり方であった。

 

 どうして年増がアリウスの皆が何もかもを憎むように仕向けたのかは、ワタシにはわからない。正直言うと、分かりたくもない。考えるだけでも忌々しい。なんであんな大人に、アリウスの皆が搾取され続けないとならないのか、理解が追いつかない。

 本当に気に入らない。あの女とワタシは、きっと死ぬまで分かり合えることはないだろう。

 

 

 きっとアズサもヒヨリも、他のアリウスの娘達も、そうやって育ってきたのだろう。

 トリニティもゲヘナも、ありとあらゆる者を、憎むように仕向けられてきたのだろう。

 ならばもう、幸せになってもいい。いいや、報われるべきだ。彼女達は誰も取りこぼす事もなく、笑って自分の人生を謳歌するべきだ。

 

 だから。

 

 

「他人の眼など当てにするな。今ここで感じた事こそ、貴様達の真実だ。見て聞いて感じたものを、信じてやれば良い」

 

 

 過去を顧みないで欲しい。

 それが彼女達の全てではなく、これから見て感じたものこそ、未来に続くものだと思うから。

 

 

「なるほど、わかりました殿下」

 

「何がわかったのだ、ヒヨリ?」

 

「殿下が切ってくれたメロンは美味しい。それが真実ということですね!」

 

「……おかわりが欲しいと?」

 

「はい! もっと食べたいです!」

 

「食べすぎだ、ヒヨリ。殿下の分がなくなる」

 

「構わん。アズサよ、貴様ももっと食べるが良い」

 

 

 ワタシはアズサの返答を聞くこともなく、メロンをまた切り分ける。

 対してアズサは少しだけ興奮気味になりながら。

 

 

「また食べて良いの? ど、どうしよう。幸せすぎて、もうどうしよう……!」

 

「分かりますよ、アズサちゃん。今まで食べた事ありませんでしたからね、メロンなんて高いもの」

 

「あぁ。七つ揃うと願いがかなうモノだとばかり思っていたけど、食べてみたらこんなに美味しいんだな……」

 

 

 アズサよ、貴女もか。

 これは本格的に、アッちゃんに言い聞かせないとダメみたい。純粋無垢な娘に嘘ついて騙すの、天上院ダメだと思うわけ。

 

 

 ふと、アズサは手を止めて。

 

 

「私達だけで食べて、いいのかな……?」

 

 

 自分達だけ食べて、申し訳なく思ったのかアズサは切り分けられたメロンを口に運ぼうとしなかった。

 続いて、あっ、とヒヨリの手も止まってしまう。先ほどまで笑顔で食べていた姿とは打って変わって、どこか消沈してしまった二人の姿。

 

 ワタシは、そんなことか、と思うと同時に。

 

 

「構わん」

 

 

 二人の顔を上がる。

 ワタシは続けて言う。

 

 

「他のアリウスの者達には、後日余が下賜を賜わす故、貴様達は遠慮なく食べるが良い」

 

「アリウスの全員にメロンを配るの?」

 

「然り」

 

 

 人数が人数だ。

 お金が飛び散るかの如く、散財する事になるかもしれないけどそれはそれ。やっぱり皆にも食べて欲しいしね。足りないお金は賞金首を狩ったり、どこかでアルバイトすれば何とかなるでしょ。

 

 ヒヨリは嬉しそうに。

 

 

「わー! さすが殿下、太っ腹ですねー!」

 

「言いたい事はわかるが、ヒヨリ、ヒヨリよ。女の子に太っ腹って言うのはどうか。余とて傷つく」

 

 

 ククッ、なんて不敵に笑みを浮かべているワタシですが、ヒヨリの言葉にはしっかり効いていますとも。太っ腹っていう表現は良くない。ヒヨリはアレだね、悪気なく言うから質が悪いよね。それがヒヨリだから是非もないのだけど。

 

 

「それで、アズサ。貴様を助けたというトリニティの生徒はどのような者なのだ?」

 

「普通に優しい生徒だったぞ」

 

 

 そういうと、アズサは当時の状況を思い出そうと、腕を組み眼を瞑る。

 だけど直ぐに見開き、ワタシへと詰め寄りながら、興奮気味に。

 

 

「そうだ、聞いてくれ殿下!」

 

「どうした?」

 

「その生徒、モモフレンズが大好きだった」

 

「ほう、推しは?」

 

「皆好きって言っていたけど、ペロロが好きみたいだ」

 

 

 ペロロっていうと、白く丸っこい鳥の様な姿で、常に舌を出しているキャラクターだ。

 その見た目から好き嫌い分かれるものの、好きな人はとことん好き、って感じだった筈。リオ会長が少しだけときめいてたのは記憶に新しい。

 

 アズサは興奮気味に続けて。

 

 

「その子は凄いんだ。私の知らないスカルマンのグッズまで持っていたんだ!」

 

「推し以外のグッズまで押さえているとは、大した者だ。それでその者の名は?」

 

「名前、名前……」

 

 

 そこで気付いたのか、アズサは少しだけ慌てながら。

 

 

「どうしよう、殿下。その子の名前を聞くのを忘れてしまった……」

 

 

 初対面でありながら、それだけ盛り上がったという事だろう。

 もしかしたら、アズサとその子は相性がいいのかもしれない。何せ名前を聞きそびれてしまうほど、モモフレンズの話題で盛り上がったのだから。

 

 だからだろうか。

 アズサは名前を聞きそびれてしまった事を後悔しているようだけど、ワタシはそこまで重く考えて居なかった。

 

 人の縁とはそういうもの。

 モモフレンズ仲間という縁が出来た、アズサの事を助けてくれたその子とアズサはまた会える。

 ワタシはそう確信している。

 

 

「全く、おっちょこちょい屋さんめ。是非もあるまい。名を聞くのを忘れてしまうほど、モモフレンズトークが盛り上がったのだろう?」

 

「うん」

 

「ならば良し。同好の志を得られたことを今は喜べ。必ずまた会える故、名はその時に聞けば良いだろう」

 

「教えてくれるだろうか……」

 

「で、あろうとも。助けてくれたことへの礼を尽くし、貴様の思いの丈をその娘にぶつければ、必ず応えてくれるだろうさ」

 

 

 思い浮かべるのは、ワタシの大事な幼馴染達の姿。

 何の取り得もなく、力だけが強く、戦う事しか出来ないワタシと友達をやってくれる二人を、ワタシは思い出しながら。

 

 

「アズサよ、結んだ友誼は大切にする事だ。今はわからずとも、いずれそれは貴様の大きな掛け替えのない宝となる」

 

「殿下も、そういう人がいるのか?」

 

「いるとも。余には勿体無い、尊敬すべき友だ」

 

 

 そういうと、ワタシは立ち上がる。

 近付いて来る気配に胸を高鳴らせ、足取りは軽い。

 

 ヒヨリはメロンを食べながら首を傾げて。

 

 

「どこに行くんですか?」

 

 

 そんな事は決まっている。

 ワタシは病室の出口のドアの前まで行くと振り返り。

 

 

「――――友に会ってくる。直ぐに戻る故、貴様達はゆっくりしていけ」 

 

 

 満面の笑みで、答えるのだった――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「うぅ、酷い目にあったわ……」

 

 

 目に涙を浮かべて、アルは呟いた。

 髪の毛はボサボサで、肩で羽織っているロングコートは煤で汚れており、衣類の裾は少しだけ焦げている。

 

 酷い目。

 つまりは先ほど起きた爆発の事を言っているのだろう。

 

 どうしてこうなったのか、それもこれも。

 

 

「あはは、災難だったねー」

 

 

 アルの隣で満面の笑みで、悪びれる様子もない彼女――――ムツキが原因でもあった。

 

 

 彼女達がトリニティ自治区に姿を見せるのは珍しい。

 トリニティ総合学園とは犬猿の仲でもあるゲヘナ学園の生徒でもあり、拠点としている学区からは離れている。

 ならばどうして、彼女達がここにいるのかというと────。

 

 

「私達は、オウヒのお見舞いに来ただけなのに……」

 

 

 ポツリ、とアルは呟いた。

 

 

 彼女達は問題行動を起こしていない。

 先の戦闘により、大怪我を追ったアル達の幼馴染である天上院オウヒの様子を見るために、アルとムツキ、そしてカヨコとハルカの便利屋68のメンバーはトリニティまで足を運んだ。

 

 自治区内に入るや否や、一瞬でトリニティの治安維持部隊でもある正義実現委員会に取り囲まれた。これまたどういうわけか、アルとムツキがトリニティへの出入りを禁止されていることを説明され、アルがどういうことか詳しく説明を求める前に、ムツキがキレてしまい手持ちの爆発物によって辺りを吹き飛ばし、正義実現委員会に追われることとなり現在に至る。

 

 これが事の顛末であった。

 

 

 カヨコとハルカとは離れ離れとなってしまっている。

 

 

「二人は無事かしら」

 

「カヨコちゃんが一緒だし、大丈夫でしょー」

 

「大丈夫でしょって……」

 

 

 元はといえば、軽率に正義実現委員会に手を上げたムツキに問題があり、それをアルは指摘しようとするもどこか違和感を覚えた。

 

 そうだ。

 ムツキはやることが過激であるものの、軽率に自分の感情を爆発させて場を掻き乱すような性格ではない。

 蠱惑的に振る舞いはするが、その視点は俯瞰したものであった。

 

 だがどういうわけか、今回の振舞いはその真逆。

 短絡的で後先考えないモノであり、とてもじゃないが普段のムツキからは考えられない行動だった。

 

 

「ムツキ、どうしたの?」

 

 

 だからこそ、アルの問いは真っ当なものだった。

 どうしてあんな真似をしたのかではなく、どうしたのかという疑問であり心配。

 

 対してムツキも普段の笑みはなく、どこか意気消沈するような声色で。

 

 

「ごめんね、アルちゃん。キレちゃった」

 

「見たらわかるわよ。珍しいわね?」

 

「トリニティは色々あったし、ちょっと押さえが利かなくて、ね……」

 

 

 色々。

 つまりは、オウヒへのイジメであり、それを庇ったアルへの嫌がらせ。

 

 とはいってもアルへの嫌がらせは、オウヒの行動によって未然に防がれたものの、オウヒのイジメはなくなることはなかった。オウヒとしては戦う相手が事欠くことなく、気にしていないもののムツキとしては思う所があるのも事実だ。

 

 アルもムツキの複雑な心象に理解を示し、それ以上の追求はしなかった。

 それよりも、アルは余裕がない様子で。

 

 

「それよりも、何て声をかければいいのかしら」

 

「……一応聞くけど、誰に?」

 

「オウヒよオウヒ! 本当ならもっと有名になって、あの子に会う筈だったのに……!」

 

 

 頭を抱えるもう一人の幼馴染を見て、ムツキは呆気に取られ直ぐに笑みを浮かべた。

 

 落ち込んでいた自分が馬鹿馬鹿しく思えてきた。

 何故なら、それ以上に馬鹿馬鹿しい理由で悩んでいる人物を目にしているのだから。

 

 

 ムツキは、くふふ、と笑みを浮かべて分かりきった問いを投げる。

 

 

 

「それじゃ帰るー?」

 

「そんなのダメよ! 大怪我を負った友達を放ってなんておけないわ! アウトロー以前の問題、人としてどうかしてるじゃない」

 

「それじゃ会いに行こうよ。ヒーちゃん、絶対に喜ぶと思うよ?」

 

「そう、かしら。失望されない?」

 

「されるわけないでしょ。ヒーちゃんはアルちゃんのことを唯一カッコいいって褒めてくれる子だよ?」

 

「そうよ……ん、唯一? 他の人は? 他の人は私のことなんて褒めてくれるの?」

 

「それは言えないかなー。言っちゃったら、アルちゃんが可哀想だし」

 

「ちょっと、ムツキ! 可哀想ってどういう――――」

 

 

 追求しようとするアルの口が止まった。

 視線の先にいる人物を見て、停止せざるを得なかった。

 

 黄金の頭髪、紅い双眸、患者衣を身に纏っている女の子の姿がそこにはあった。

 周囲は彼女の事を『アリウスの王』というが、アルの眼に映っているのは、小さい頃から変わらない笑みを浮かべた彼女の姿。

 

 片や王と呼ばれ、自身といえば零細企業の社長。

 遠い存在になってしまったと、無意識のうちに思っていたけれど、彼女は何も変わっていなかった。

 

 屈託のない笑みで、本当に嬉しそうに、本当に愉しそうに、本当に幸せそうな顔で、花の咲いたように。

 

 

「来てくれてありがとう、アーちゃんムーちゃん! 遅いから迎えに来ちゃった!」

 

 

 えへへ、と笑う。

 そこには『アリウスの王』ではなく、アルやムツキが良く知る幼馴染────天上院オウヒの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 





 Vol.1の最終話でございました。
 色々ありましたVol.1でございます。
 結果的に、オウヒを欠損描写を削除してよかったな、ってなっている私です。
 
 周囲全部曇ること間違いありませんでしたからね。こんな爽やかな終わりになってませんでした。
 作風が違いますからね。作品の雰囲気大事。本当に勉強になりました。

 これからはVol.2になります。
 どうかこれからも、こちら、世界征服推進部ソロモンである をよろしくお願いします。

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