こちら、世界征服推進部ソロモンである   作:兵隊

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Vol.2 アリウスの王
事ノ終ワリ


 

   ────これは過去か未来か。

                 まず貴女は疑問に思うことだろう────。

 

 

 

 

 答えるのならばこれは未来の出来事であると我々は断じる。

 そう遠くない未来。一年後か十年後か、はたまた一ヵ月後かもしれないし、一週間後かもしれない。

 

 貴女の見ている光景は、未来の出来事であると、我々は断じる。

 

 

 箱舟の世界に生じる小さな異変からそれは始まり、指数関数的に増加を続け、やがては大きな異変となりキヴォトスを呑み込む事が約束されている。

 貴女が住まう世界の日常は砂上の楼閣。表面上の傷を治療したところで、大元を治さなければ膿みは出続けるのと同じように、ありきたりの日常は容易く崩れ去り、疑念と陰謀が渦巻く非日常へと顔を変える。

 

 空は鮮血のような紅い空へと変わり、天を突くほどの異形の塔が聳え立つ。

 はてさて、これに対して、貴女達はどうするのか。

 

 事ここに至って、我々はどうでも良い。

 そう、どうでもいいのだ。これは終わりではない、始まりに過ぎない。終焉へと導かれる、きっかけに過ぎないのだから。

 

 

 終わりの始まり。始まりの終わり。

 結末はどうであれ、我々の目的は達成されたといえる。

 

 覚えているだろうか。

 黄金のヘイローなる天輪を冠する者。我々が打倒しなければならない、黄金なる存在を。

 この世界に、斯様な不要なモノは必要がない。

 

 

 許してはならない。

 不純物、雑音であり、不要物でもある。

 

 この世界において、『黄金』の居場所などない。

 この物語に置いて、『黄金』を語ることなど許されない。

 この箱舟の中では、『黄金』の存在を認めてはならない。

 

 我々は必ず、あの黄金を、必滅すると誓った。

 

 

 そうだ。

 これから起こる厄災に、あれは無力である。

 ならば、我々はただ傍観するだけで良い。

 これは物語ではない、乗り越えるべき試練でもない、ただただ座して迎えるべき結末なのだから。

 

 

 さぁ、予言の貴女よ。刮目するといい。

 黄金がやって来るぞ。どうしようもない絶望を軍勢とし、恐怖に染まった死の神と共に、異形の躯を伴って、黄金はやって来る。

 

 

 

 遂には黄金は降り立つ。

 瓦礫の山で、倒れ伏す生徒を足蹴に、何もかもを無価値と断ずる視線で以て黄金は告げる────。

 

 

『傾聴────』

 

 

 それは無機質な声であった。

 感情が宿っていない、希薄な声であった。

 告げる。

 

 

『────こちら、世界征服推進部ソロモンである』

 

 

 予言の貴女よ、どうか照覧あれ。

 アレなる黄金こそが、我々が打倒する事を誓った────黄金の終焉である。

 

 

 

 

 

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「────っ!?」

 

 

 そうして、彼女は飛び起きた。

 窓を見ると空は青く広がっており、彼女が夢で見た紅い空は広がっていない。

 

 鳥の囀りが耳に入り、朝日が差し、今日の一日の始まりを告げている。

 

 

 そう、夢だ。たかが夢なのだ。

 だが、彼女の様子がおかしい。これから始まる災厄の断片を垣間見たというかのような、回避する事が叶わない結末を見たかのような、そんな表情で小さな両手で顔を覆う。

 

 顔を青色に染めて、ひたすらに彼女は困惑していた。

 以前見た、内容とは違い未来のもの。そこには過去の()()ではなく、未来の()()がそこにいた。

 しかし、過去の()()よりも感情は希薄であり、あまりにも声色は無機質なそれであった。

 

 だけど、見間違える筈がない。

 長い黄金の頭髪、白く玉のような肌、だがその双眸は紅色ではなく────黄金のそれ。

 

 黒い何者かにかつて『天上のアヌ』と呼ばれていた存在。

 その名は────。

 

 

「天上院、オウヒ……?」

 

 

 玉のような冷や汗を流しながら、予言の貴女と呼ばれた少女────百合園セイアはポツリ、と呟いた。

 

 

 

 

 





 △予言の貴女
 セイアのこと。
 ことのはじまり、を見ていたのは彼女だった。
 なので、オウヒがアヌと呼ばれいたことも知っていたのだけど、ここに来て非常に厄いものを見てしまう


 △黄金の終焉
 世界征服推進部ソロモンを名乗る。
 無機質で無感情。それ以外は不明。



 チキ・ヨンハさんよりイラストを賜りました!
 一生使う事がないと思っていた挿絵を使わせていただける事になるなんて。
 綺麗なイラストをありがとうございます!
 それにしても、オウヒってこんなに美人だったんですね。

【挿絵表示】
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